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新型コロナウイルス対策で社会的距離を保つことによる「5つの悪影響」とは?


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を抑えるために社会的距離を保つ対策が各国で実施されており、多くの人々や社会システムが影響を受けています。そんな中、スターリング大学で金融学の上級講師を務めるIsaac T. Tabner氏が、「社会的距離を取る対策によって社会に大きな悪影響が及ぶ」と主張しています。

Five ways coronavirus lockdowns increase inequality
https://theconversation.com/five-ways-coronavirus-lockdowns-increase-inequality-135767

依然として新型コロナウイルスについてはわかっていないことも多く、COVID-19の正確な死亡率や社会的距離を取る対策が経済に与える最終的な影響についても不明確です。しかし、記事作成次点の段階でも、社会的距離を取る対策が社会に悪影響を与えることは確かだとTabner氏は指摘。Tabner氏が主張する「社会的距離を取ったことにより増加する不平等や悪影響」が以下の5つ。

◆1:経済的な不平等
高齢者はCOVID-19に感染することのリスクが高いものの、他の年齢層の人々に比べると自由に使えるお金が多いとTabner氏は指摘しています。高齢者は年金をもらっている人も多いため、社会的距離を取る対策が実施されても、短期的には経済的な打撃を受けにくいとのこと。

その一方で、インターネットで単発の仕事を請け負うギグエコノミーに従事している若年層や小規模な自営業者など、十分な貯蓄を持っていない人々は封鎖措置によって仕事ができなくなったことで、大きな経済的ダメージを負う可能性があります。社会的距離を保つ戦略が長引けば、ローンや家賃の支払いが滞ったり、時には食料を購入することにも苦労したりする人が現れることも考えられます。


◆2:仕事へのアクセス
社会的距離を保つために多くの社会活動が停止している中でも、医療従事者や社会システムにとって必要不可欠な仕事に従事している人は仕事を続けています。また、高給なデスクワーカーなどは自宅からでも仕事を行う手段やノウハウを持っている場合が多く、人によっては通勤時間が削減できてラッキーと考える人もいます。

その一方で、接客を伴う多くのサービス業やブルーカラーの労働者、自営業者、中小企業など、「社会にとって必要不可欠ではない」と判断された業種については、社会活動が停止する中で仕事そのものが全くできなくなってしまうケースもあります。つまり、社会的距離を取る対策によって仕事にアクセスできる人、できない人の格差が増大する可能性があるとのこと。


◆3:教育機会の不平等
COVID-19の感染拡大を懸念した多くの教育機関は、全ての授業をオンラインで行うなどの対策を講じています。しかし、生徒によっては授業を受けるために十分な機器やインターネット環境、じっくり勉強できる家庭状況などが用意できないケースも考えられます。また、将来的に「全ての教育活動をCOVID-19終息まで延期する」という事態に発展した場合、経済的な余裕がなかったり家族の理解がなかったりする一部の生徒は、教育を諦めざるを得ないかもしれません。

◆4:健康的な不平等
自然の多い場所で定期的に運動することは、精神的・身体的健康に大きなメリットとなります。しかし、美しい自然が付近にあるエリアに住めるのは一部の人々だけであり、都市部に住む人々は気軽に自然と触れ合うことはできません。外出を控える動きが長期化した場合、都市部の人々が運動不足になったり自然との触れ合いが不足したりして、健康面での悪影響が出る可能性もあるとTabner氏は考えています。


◆5:社会の分断が加速する
COVID-19による非常事態でストレスを溜め込む人々も多く、不要不急の外出をしたり非常事態下で新たな楽しみを見いだしたりする人に対し、SNS上で攻撃する人も増えているとTabner氏は指摘。社会的距離を保つ戦略が長引けば、こうした社会的な分断が深くなって長期的な悪影響を与えかねないそうです。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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