ハードウェア

自己隔離している新型コロナウイルス感染者の呼吸・移動をワイヤレスで監視できるデバイスをMITが開発


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療法は確立されていないため、人工呼吸器を必要とする重病者以外の無症状者・軽症者については、「自宅での安静・療養」が推奨されています。そんな自己隔離を行う感染者のバイタルサインを、人工知能で解析して推測するという遠隔医療に役立つ小型装置「Emerald(エメラルド)」が、マサチューセッツ工科大学コンピュータ科学・人工知能研究所(CSAIL)の研究チームにより開発されました。

CSAIL device lets doctors monitor COVID-19 patients from a distance | MIT CSAIL
https://www.csail.mit.edu/news/csail-device-lets-doctors-monitor-covid-19-patients-distance

CSAILが開発した「エメラルド」は、空間内に存在する携帯電話が放つ信号のわずか1000分の1の大きさの信号を人工知能で解析して、患者の移動や呼吸回数など割り出すというデバイスです。「エメラルド」が実際どんなデバイスなのかは、以下のムービーで解説されています。

Non-contact health monitoring for COVID-19 - YouTube


以下の画像の緑枠部分、壁に設置されているのが「エメラルド」です。


「エメラルド」は部屋内の微少信号を絶えず受信しており、患者自身が計測装置を身につける必要はありません。


「エメラルド」は部屋内の患者がどのように移動したかや……


どのように呼吸したかを測定できます。さらに、対象が複数人でもそれぞれ別個に測定可能。


複数の病院・介護施設がすでに「エメラルド」を使用しており、その有用性も検証されています。自己隔離中のCOVID-19感染者を「エメラルド」で監視したところ、呼吸状況や歩行状況から病状の回復傾向が確認可能だったとのこと。「エメラルド」は、COVID-19患者の呼吸回数が平常時に近づいていく経過や、歩行スピードが通常に戻る経過を測定できていたそうです。

医師が直接検査を行ったり、看護師が各種バイタルサインを測定したりする際には、感染の可能性が発生するため、COVID-19パンデミックに最も重要な人材である医療従事者が多数感染しているという事実があります。「エメラルド」を患者のモニタリングに使用したというハーバード大学医学部助教授のIpsit Vahia氏は、「『エメラルド』は患者との接触なしに重要な健康データを生成可能なので、医師や看護師の感染リスクを最小限に抑えてくれます」とコメントしています。

COVID-19患者だけでなく、睡眠時無呼吸症候群の患者や認知症の患者の監視にも「エメラルド」を使うという試験が始まっているとのことです。

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in ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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