レビュー

色とりどりのひし形タイルを並べて誰よりも美しい王宮の床を作り上げる「アズール:サマーパビリオン」レビュー


「ポルトガルの王・マヌエル1世に仕えるタイル職人が、エヴォラ宮殿の壁をカラフルなタイルで飾り立てる」というボードゲーム「アズール」の最新作「アズール:サマーパビリオン」の日本語版が、2020年3月に登場しました。「プレイヤーはタイル職人となって、正方形ではなくひし形のタイルを並べて、マヌエル1世亡き後も王宮の床を飾る」というゲーム内容になっているとのことで、実際に遊んでみました。

アズール:サマーパビリオン | | ANALOG GAME INDEX
http://hobbyjapan.games/azul_summer_pavilion/


◆内容物
アズールのパッケージはこんな感じ。


対象年齢は8歳以上、プレイ人数は2人から4人、プレイ時間は30分から45分を想定。


内容物は、まずルールブックと、丸い陶板のようなデザインの工房展示ボードと「80」と書かれた得点トークンがはまっている厚紙。


厚紙は切れ目がはいっているので、ハサミやカッターを使わずとも簡単に切り離し可能。


得点ボードと工房ボード4枚


プレイヤーボードはカラフルなひし形のスペースで彩られています。


ゲーム中でタイルを投入する長い箱は王宮の塔を模したデザイン。タイル入れにはステッカー(画像左)が付属しており……


底にステッカーを貼ることで、大量のタイルを入れても底が抜けないように補強します。


王宮の床を飾る6色のひし形のタイルは全部で132枚。1色につき22枚ある計算になります。


タイルの色はそれぞれプレイヤーボードに対応しています。


そして、タイルを収める袋はこんな感じ。


ラウンドマーカーと得点マーカー、スタートプレイヤーマーカー。


◆ゲームの準備
まずは工房展示ボードを並べます。今回は4人で遊ぶので、9枚を円状になるように配置。


工房ボードを各プレイヤーに配布します。プレイヤーカラーは、工房ボード上部に表示されています。


プレイヤートークンを得点ボードの「5」のマスに配置し、ラウンドマーカーを紫のひし形が描かれている「1」の場所に配置します。


袋の中にタイルをすべて入れて、よくシャッフルしてから工房展示ボード1枚につき4つずつ配置します。


さらに、得点ボードの中央にあるスペースに袋からランダムに取り出した10枚のタイルを配置。


工房展示ボードの中央にスタートプレイヤーマーカーを置き、準備完了したところが以下。


◆4人で基本ルールをプレイしてみた
ゲームの進め方は非常にシンプル。1ラウンドは「タイルの獲得」フェイズ、「タイルの配置」フェイズ、「次の準備」フェイズに分かれて進めていき、6ラウンド終了したらゲーム終了。その時点で最も得点が高い人が勝利となります。

タイルの獲得フェイズでは、スタートプレイヤーから時計回りで順番にタイルを獲得します。場にある工房展示ボードから好きな1つを選びます。


そして、好きな色を1色だけ選び、そのタイルをすべて獲得。獲得しなかったタイルは円の中央に置きます。例えば以下の場面では、青いタイル3枚を獲得すると余った赤いタイル1枚は中央に移動することになります。


また、ラウンドマーカーの置かれている場所の色は「ワイルド色」と呼ばれます。例えば1ラウンド目は紫色がワイルド色となります。


ワイルド色のタイルが工房展示ボードにある場合、本来獲得する色のタイルに1枚だけ追加して獲得することができます。例えば以下のように、オレンジ色2枚・クリーム色1枚・紫色1枚が載っている工房展示ボードからオレンジ色のタイルをゲットする場合、オレンジ色2枚と一緒にワイルド色である紫色も1枚だけ獲得できます。


工房展示ボードからプレイヤーが順番にタイルをゲットしていくと、各プレイヤーが選ばなかったタイルが円の中央にどんどん集まっていきます。


タイル獲得フェイズでは、工房展示ボードだけではなく、円の中央からゲットすることも可能。工房展示ボードには4枚までしかタイルが載らないので、最大でも一度に4枚までしかタイルを獲得できません。しかし、中央にはタイルがどんどん集まるので……


以下のように、一気に5枚もタイルをゲットすることが可能になります。


なお、ラウンドで最初に円の中央からタイルを獲得した人は、中央にあるスタートプレイヤーマーカーも一緒に獲得できます。スタートプレイヤーマーカーをゲットすれば、次のラウンドでスタートプレイヤーになることができるので、ゲームを有利に進めることができますが……


スタートプレイヤーマーカーを獲得した人は、同時に獲得したタイルの枚数分だけ減点を食らってしまいます。そのため、どのタイミングで円の中央に手をのばすかがプレイヤー間の駆け引きになるというわけです。


工房展示ボードと円の中央からすべてタイルがなくなったら、タイルの獲得フェイズは終了し、タイルの配置フェイズに移行します。


工房ボードのスペースには色と数字が書かれています。例えばオレンジ色の6にタイルを配置する場合、6枚以上のタイルが必要。手持ちのオレンジ色のタイルすべてを手に取り、6枚以上あることを確認したら、そのうち1枚を工房ボードのスペースに配置し……


残りのタイルはすべて塔に投入。


タイルを1枚配置すると1点獲得できます。また、配置したスペースにタイルが複数枚隣接していると、追加で隣接している一連のタイル枚数分の点数を獲得可能。


また、ワイルド色のタイルは代用色として使うことが可能。例えば、オレンジ色の3のスペースにタイルを配置したい場合、本来であればオレンジ色のタイルが3枚以上必要となりますが、「オレンジ色のタイル2枚+ワイルド色のタイル1枚」でも配置可能になります。


もちろん使ったワイルド色のタイルは塔に廃棄される運命。ワイルド色のタイルは非常に便利な上に、特に他のタイルよりも減りやすいので、プレイヤー間で取り合いになること必至。


タイルの配置フェイズではスタートプレイヤーから時計回りに1枚ずつ工房ボードに配置していきます。また、タイルを配置せず「パス」を申告すれば、4枚まで工房ボードの隅に配置して次のラウンドに持ち越すことができます。ただし、パスを申告したらそのラウンドではもうタイルを配置することはできません。


全員がタイルを配置したら次のラウンドに移行する前に、ふたたび袋からタイルを取り出して工房展示ボードの上に配置します。


そんな感じでゲームを進めていくと、以下のように工房ボードにある彫像をタイルで囲むことに成功。


工房ボードには柱、彫像、窓というモニュメントが用意されており、それぞれをタイルで囲むことで、得点ボード中央のサプライスペースから好きなタイルを追加で獲得できます。このゲームで「好きな色のタイルを獲得できる」というのはかなりのアドバンテージなので、王宮の床を確実に美しく彩るためにはモニュメントを囲い込むことが非常に重要。なお、サプライスペースからタイルがなくなったら、その場でランダムに補充されます。


6ラウンドが終わるとゲーム終了。タイルを配置するたびにゲットした基礎点に、タイルの置き方に応じて追加点を加算します。例えば、オレンジ色の星を完成させた場合、17点をゲットできます。


しかし、完成させるのはかなり至難の業。4人のうち星を完成できたのは1人だけで、他の3人はほぼ基礎点のみという状態。星を完成できたプレイヤーはゲーム中に群を抜いて基礎点を集めており、終盤には「もうどうあがいても逆転できないし、床のタイルもそろわない……」とかなりモチベーションが下がってしまう展開もありました。


◆3人で追加ルールをプレイしてみた
今度は3人で追加ルールをプレイしてみました。3人なので工房展示ボードは7枚に減らし、工房ボードを裏返して追加ルール仕様に変えます。


追加ルール仕様の工房ボードはタイルを置く色が指定されておらず、プレイヤーは単色の星あるいは複数色の星を自分で選んで配置することができます。ただし、1つの星の中に同じ色のタイルを置くことはできません。


プレイした編集部員は「基本ルールはタイルの置き方が指定されていたけれど、追加ルールは自分の好きなようにタイルを置き、好きなように床を作ることができるから、プレイヤーのクリエイティビティが刺激される」とコメントしていました。


工房ボード中央の星をそろえたいと考えている以下のプレイヤーは、最後のラウンドでワイルド色である赤色のタイルを大量に抱えているものの、肝心の青色のタイルを持っていない状態。この中央の星をそろえれば12点を獲得できるため、ここはぜひそろえたいところ。


そこで、得点ボード中央のサプライスペースから青色のタイルをゲットする作戦を考案。しかし、サプライスペースを見ると青色のタイルはありません。


そこで、「モニュメントを囲んでサプライスペースからタイルを獲得して、青色のタイルを引き出し、さらに別のモニュメントを囲むことで青色タイルをゲットする」という運にすべてを委ねた策に出ます。


なお、袋の中はこんな感じ。青色のタイルがかなり眠っていたので、これは期待できそう。


しかし、サプライスペースからタイルを獲得した後に2枚を補充したところ、クリーム色とオレンジ色のタイルが1枚ずつ出現。


運を味方につけることができず、結局中央の星を完成させることはできませんでした。それでも星を2つ完成させていたことで24点の追加点を獲得することに成功し、一躍トップに躍り出ました。


なお、「単色の星をそろえるぞ!」と息巻いていたプレイヤーは、結局1つしか星を完成させることができませんでした。クリーム色の星は16点ゲットできますが、単色の星を完成させるのはかなり難しく、綿密な戦略と圧倒的な豪運が必要となります。


◆感想
アズール:サマーパビリオンを実際にプレイしてみて、シリーズ1作目である「アズール」と比べてかなり難しくなっている印象。「工房展示ボードからタイルを獲得うして手元に配置する」という点はこれまでの「アズール」シリーズとほぼ同じなのですが、タイルの形が変わったのとワイルド色が導入されたことで、全く違うプレイ感となっています。ルールはシンプルなので、アナログゲーム初心者でもすぐに慣れて遊ぶことができます。

これまでの「アズール」シリーズでは、「余ったタイルを廃棄すると減点を食らう」というルールがあったため、「必要な数を上回らないようにタイルを獲得する」ことが重要でした。しかし、アズール:サマーパビリオンはそのルールがないため、「タイルの獲得フェイズで他のプレイヤーと駆け引きしながらタイル獲得のタイミングを狙う」という部分がかなり薄くなっている印象。


また、基本ルールはかなりプレイに制限を加えるもので、「自分だけの美しい床を作りたい」「星を完成させたい」というプレイヤーの自由度はかなり下がってしまっている印象。しかし、追加ルールでは自由度が上がるため、基本ルールは遊び方を取得するチュートリアルと捉えて、ゲームに慣れたら追加ルールで遊ぶのがおすすめ。

加えて、タイルの数は3人プレイの方がちょうどよい感じで、4人プレイだとタイルが足りなくてなかなか星が完成しないため、人によっては達成感があまり得られないかも。そのため、アズール:サマーパビリオンは4人より3人で遊ぶ方が楽しめるゲームであると感じました。

アズール:サマーパビリオンはAmazon.co.jpで取り扱われており、記事作成時点だと税込6100円で購入できます。

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in レビュー,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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