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世界一有名なTCG「マジック:ザ・ギャザリング」の生みの親がボードゲームを制作する理由とは?


「世界で最も遊ばれているトレーディングカードゲーム(TCG)」とギネス記録に認定されているゲームがマジック:ザ・ギャザリング(MtG)です。そんなMtGのメインデザイナーを務めたリチャード・ガーフィールド氏がこれまで数々のボードゲームをデザインしてきた上で設定したコンセプトについて、ボードゲーム系ニュースサイトDicebreakerの編集長であるマット・ジャービス氏が解説しています。

Magic: The Gathering and Keyforge creator Richard Garfield on 35 years of making the games he wants to play | Dicebreaker
https://www.dicebreaker.com/topics/richard-garfield/feature/richard-garfield-interview-making-games

MtGはガーフィールド氏が大学院生時代に考案したゲームで、1993年にゲーム会社のウィザーズ・オブ・ザ・コーストからリリースされた、世界で初めてのトレーディングカードゲームです。以下の画像の左側でMtGに興じているのがガーフィールド氏。

by Chris Brooks

ガーフィールド氏は、MtGに限らない数多くのカードゲームをデザインしていますが、MtGをリリースする前からボードゲームの制作も行っていたとのこと。ジャービス氏は、ガーフィールド氏が手がけた他のボードゲームも「これまでにない新しい体験を生み出すゲームだ」と評しています。

ガーフィールド氏がデザインしたロボラリーは、プログラムカードを使ってロボットに命令を下し、迷路のようなコースをいち早く駆け抜けさせて旗のゲットを目指すというボードゲーム。ガーフィールド氏は1985年時点でこのロボラリーを完成させていたそうですが、実際に商品化して世に出たのはMtGが成功した後の1994年でした。

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また、キング・オブ・トーキョーもガーフィールド氏がデザインしたボードゲーム。このゲームの世界観はずばり「怪獣映画」で、プレイヤーは大怪獣となり、サイコロを振って大都市を襲撃し、破壊の限りを尽くしたり他の怪獣とバトルを繰り広げたりします。

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そして、ガーフィールド氏がボードゲームをデザインする上で特に追求したのが「ドラフト」でした。ドラフトとはMtGで使われているルールの1つで、「手元にあるカードから1枚を自分用にとっておき、残りを隣の人に渡す」というもの。ガーフィールド氏はこのドラフトをコンセプトに、「バニーキングダム」や「トレジャーハンター」、「カーニバル・モンスターズ」といったゲームのデザインを行っているそうです。

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ガーフィールド氏は、クラウドファンディングプラットフォームのKickstarterで出資を募り、雑学知識を要するクイズゲーム「Half Truth」をリリースしています。ガーフィールド氏は、Half Truthのデザインコンセプトについて「プレイヤーに何かを強要しないような雑学ゲームを模索していたのです」と語っています。

そして、ガーフィールド氏は非電源のアナログゲームだけではなく、スマートフォンやPCを使って遊ぶデジタルゲームも手がけています。ゲーム配信プラットフォームのSteamを運営するValveは、ガーフィールド氏をメインデザイナーに迎え、人気ストラテジーゲームのDota 2の世界観を使ったデジタルカードゲーム「Artifact」をリリースしています。

Steam:Artifact


しかし、ガーフィールド氏は「一般的に、私はデジタルゲームよりもアナログゲームの方が、開発にたくさんのスタッフと時間を必要とするので好きです」とコメント。デジタルゲームの魅力を認めながらも、「私はアナログゲームがデジタルゲームに脅かされているとは思いません。ボードゲームがこれほどまでに人気を博している理由の1つは、コミュニケーションの多くを画面越しに行っている現代において、(現実で)対面してプレイするという体験が特別なものになっているからです」と語っています。

by Ryuta Ishimoto

ところで、世界初のトレーディングカードゲームであるMtGが他のゲームに与えた大きな影響の1つに、その販売スタイルがあります。MtGは「カードがランダムで15枚封入されたブースター・パックを別途購入し、自分のデッキに使うカードを集める」という販売方法を取っており、これは今でいうマイクロトランザクション(ガチャ)に近いものです。しかし、この販売スタイルは「特定のカードをゲットしたいプレイヤーに多額を費やさせるものだ」という指摘があると同時に、新しいカードのセットがリリースされ続けることで古いカードが使いにくくなるという問題があります。

ガーフィールド氏は、トレーディングカードゲームはプレイヤーがデッキやプレイスタイルを自由に構築していいはずであるにもかかわらず、人気のあるカードや貴重なカードを軸に、誰かが作り上げた特定のデッキをまねるプレイヤーが増えたと指摘しています。


「私はプレイのやり方を誰かに教わるのはあまり好きではありません。近年はトレーディングカードゲームのファンが『どのデッキが効果的で強いのか』を決めていることが多くあります。それは正しいかもしれませんし、正しくないかもしれませんが、みんなが強力なデッキを使うようになれば、それを確かめることすらわからなくなります」と、ガーフィールド氏は述べています。

そんなガーフィールド氏は、2018年に新しいカードゲーム「Keyforge」をリリースしました。KeyForgeはブースターパックを購入してデッキを強化していくのではなく、AIが作成した36枚のカードで構成されるデッキで遊ぶ2人対戦のカードゲームです。

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KeyForgeではデッキ構築の楽しみは失われているものの、「誰かが作ったデッキをみんなが使っている」ということがなくなり、「与えられたデッキでできること」を考えて戦うというユニークなカードゲームになっているとのこと。「これは30年近く前にTCGという1大ジャンルを作り出したガーフィールド氏によるTCGの再発明です」とジャービス氏は評価しています。

これまでにない新しいアイデアを採用してゲームを作り続けてきたガーフィールド氏は「私がデザインして世に出そうとするゲームは、私自身がプレイしたくて、世の中に存在していないものです」と語り、自分のボードゲームデザインの根本にあるのは「自分が今プレイしたいもの」であることだと述べています。ジャービス氏は、「ガーフィールド氏のゲームをこの世で最もプレイしたいのは、ガーフィールド氏自身に他なりません」と述べました。

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in ゲーム, Posted by log1i_yk

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