Qualcommの第3世代5Gモデム「Snapdragon X60」は下り7Gbps超を実現可能、5G対応の次世代iPhoneでも採用か？

日本でも2020年のサービス開始が期待されている第5世代移動通信システム(5G)は、これまでよりも格段に速い通信速度を実現するというものです。既に一部のスマートフォンが5Gに対応していますが、2020年にはiPhoneも5Gに対応するとみられています。そんなiPhone初の5G対応モデルには、Qualcommが発表したばかりの第3世代モデムチップ「Snapdragon X60」が採用される可能性があります。

Qualcomm testing X60 5G chip, possible iPhone 12 candidate? - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2020/02/25/qualcomm-announces-new-x60-5g-modem-with-speeds-over-7-gbps-possible-iphone-12-candidate/

2020年2月18日、Qualcommは第3世代5Gモデムチップとなる「Snapdragon X60」と、これを用いた総合ソリューションの「Snapdragon X60 5G Modem-RF」を発表しました。Snapdragon X60は世界初となる5nmプロセスで製造された5Gベースバンドチップで、こちらも世界初となるミリ波とサブ6GHz帯のキャリアアグリゲーションや、周波数分割複信(FDD)方式と時分割複信(TDD)方式のキャリアアグリゲーションも実現しています。さらに、4Gおよび5G間で動的に周波数共有が可能となるダイナミックスペクトラムシェアリング(DSS)にも対応しており、既存のさまざまな周波数帯や通信方式を利用した可能です。

The Snapdragon X60 5G Modem-RF System brings the best of 5G connectivity to you - YouTube


半導体メーカーのQualcommはモバイルワールドコングレスの中で発表イベントを開催予定だったのですが、モバイルワールドコングレスが新型コロナウイルスの影響で開催が中止となったため、現地時間の2月25日に報道関係者向けに「What's Next in 5G」を開催。この中で、同社のクリスティアーノ・アモン社長が、Qualcommの第3世代5GモデムチップであるSnapdragon X60について、報道関係者向けに説明しています。

アモン社長によると、Snapdragon X60は上り(アップロード)の通信速度が3Gbps超、下り(ダウンロード)の通信速度は7.5Gbps超にもなるとのこと。

長らく「2020年に5G対応iPhoneが登場する」とさまざまなメディアが報じているだけでなく、Qualcomm自身も「5G対応iPhoneの開発が最優先事項」と語っていることから、2020年に5G対応のiPhoneが登場することは既定路線と考えられています。

Qualcommが「5G対応iPhoneの開発が最優先事項」と語る - GIGAZINE

2019年10月には、2020年に登場する5G対応iPhoneはQualcommの第2世代5GモデムチップであるSnapdragon X55を採用するという報道があったものの、Apple関連メディアの9to5Macは「Qualcommが新たなモデムチップであるSnapdragon X60を発表し、今四半期からパートナー企業とテストを繰り返していることが明らかになったため、2020年のiPhoneに最新のSnapdragon X60が採用されることとなる可能性は十分にあります」と指摘しています。

QualcommはSnapdragon X60を採用したスマートフォンが2021年初頭に登場することを期待していると述べています。しかし、9to5Macは「AppleがQualcommと特別な契約を結び、最新かつ最高の5G技術を優先的に得られる可能性は十分にある」としています。