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Googleが「天才的」スパイアプリ疑惑のToTokをPlayストアに復活させる

by Mitchell Luo

Googleが、アラブ首長国連邦(UAE)政府によるスパイツールであるとの嫌疑がかかっているチャットアプリ「ToTok」を、Google Playストアからダウンロード可能にしたことが分かりました。

Google lets alleged spying app ToTok back into Play Store - The Verge
https://www.theverge.com/2020/1/6/21051977/to-tok-app-google-play-store-uae-spying-privacy

ToTok returns to the Google Play Store despite security concerns | Android Central
https://www.androidcentral.com/totok-returns-google-play-store-despite-security-concerns

ToTok Returned to Google Play Despite ‘Spy Tool’ Claims | Threatpost
https://threatpost.com/totok-returned-to-google-play-spy-tool/151576/

ToTokは2019年にリリースされて以降、中東・北アフリカ地域で最もインストールされたアプリとして人気のチャットアプリでしたが、2019年12月にGoogle PlayやApp Storeから削除されました。ニューヨーク・タイムズはToTokについて、「ユーザーの会話・位置情報・アプリをインストールした人の画像データなどを収集していたUAE政府のスパイツール」だと報じており、エクスプロイトやバックドア、マルウェアを使用せず一般的な機能だけでユーザーの個人情報を収集するToTokの手口は、専門家により「天才的」と評されています。

人気チャットアプリが実は政府の監視ツールだったことが判明、スパイツールとしては「天才的」と専門家 - GIGAZINE

by stokkete

ToTokにかけられた嫌疑について、ToTokの共同設立者Giacomo Ziani氏は猛然と反発。UAEの日刊紙Khaleej Timesのインタビューに対し「私たちは、事実無根の告発をきっぱりと否定するとともに、我々に投げかけられた捏造の疑惑に深い悲しみを覚えています。私たちが巻き込まれた卑劣な陰謀には、UAEから発信されたアプリがグローバルプレーヤーになることを望まない一部の人々からの嫉妬さえ感じることができます」と答えました。

そんな中、ToTokの問題についてTwitterで取り上げていたジャーナリストのキム・ゼッター氏は2020年1月4日に、「情報機関がUAEのスパイツールであると主張しているにもかかわらず、Googleは先週末にToTokをPlayストアに復帰させました」と報じました。

Google allowed ToTok back into its Google Play store over the weekend, despite the fact that the intel community insists the chat app is a spy tool for the UAE and ToTok is trying to bribe journalists into saying good things about it ???? https://t.co/Fz0iASlHKr

— Kim Zetter (@KimZetter)


実際に、PlayストアのToTok配布ページにアクセスしてみると、確かにインストールが可能になっています。


技術系ニュースサイトのThe Vergeは、GoogleがToTokを復帰させた理由や、Playストアから削除されたそもそもの理由についてGoogleに問い合わせを行いましたが、コメントを拒否されたとのこと。しかし、The Vergeは「Googleがアプリを削除した後であえて復帰させたという事実は、少なくともPlayストアの規約違反についての調査が行われたことを示唆しています」と指摘し、事実上GoogleがToTokを問題ないものと認めたとの見方を示しました。

また、ITセキュリティ専門のニュースサイトThreatpostが接触に成功したGoogleの広報担当者は、「セキュリティとプライバシーの違反の報告を真摯に受け止めています。ポリシーに違反する行動を見つけた場合、即座に対応します」と紋切り型の対応をするのみで、ToTokがPlayストアに復帰した具体的な理由については語らなかったとのことです。

ToTokはGoogle PlayやApp Storeにアプリを復帰させるべく、両社に向けた嘆願声明のムービーまで作成しています。さらにゼッター氏は、「ToTokがジャーナリストに対し、ToTokを好意的に宣伝するよう依頼すると共に賄賂を送っていること」も明らかにしました。ゼッター氏が公開した、イギリスのインフルエンサー・マーケティング企業を名乗る人物からのメッセージには、「ToTokが安全でユーザーフレンドリーなアプリであることを一般の人に知ってもらいたいと考えています。 ToTokは、Giacomo Ziani氏によって設立された完全に独立した民間の新興企業です」との主張とともに、SNSでの「スポンサー付投稿のキャンペーン」についての案内が記載されています。

ToTok, the chat app that was recently exposed as a United Arab Emirates spy tool (and is now banned from Apple and Google app stores) is on a campaign to convince you its app is ok. This is the quid-pro-quo email I received seeking to pay me to promote it. https://t.co/JXPHP0cdHa pic.twitter.com/4ceO9G0QwH

— Kim Zetter (@KimZetter)


なお、Google Playストアに復帰したToTokですが、記事作成時点のところ、App Storeからはダウンロードできないようになっています。

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in モバイル,   ソフトウェア,   セキュリティ, Posted by log1l_ks

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