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NASAが「宇宙に浮かぶ綿あめのような惑星」の正体を発表

by elenagordinskyua

NASAが、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した非常に低密度な惑星の詳細を公開しました。地球から約2600光年離れた場所に位置するケプラー51星系の惑星は、既知の惑星の中では最も密度が低く、まるでふわふわの綿あめのようなことから「スーパーパフ惑星」と呼ばれています。

[1910.12988] The Featureless Transmission Spectra of Two Super-Puff Planets
https://arxiv.org/abs/1910.12988

'Cotton Candy' Planet Mysteries Unravel in New Hubble Observations | NASA
https://www.nasa.gov/feature/goddard/2019/cotton-candy-planet-mysteries-unravel-in-new-hubble-observations

New class of 'cotton candy' exoplanets are the lightest ever found :: WRAL.com
https://www.wral.com/new-class-of-cotton-candy-exoplanets-are-the-lightest-ever-found/18843837/

‘Super-puffy’ planets add cotton candy flavor to search for alien worlds ? GeekWire
https://www.geekwire.com/2019/super-puffy-planets-add-cotton-candy-flavor-search-alien-worlds/

ケプラー51星系にある「ケプラー51b」「ケプラー51c」「ケプラー51d」という3つの惑星は、2018年11月15日に運用が終了したケプラー宇宙望遠鏡が発見したもの。2012年の発見当初からかなり密度が低いことは判明していましたが、どんな物質で構成されているかなどの詳細は明らかになっていませんでした。そこで、コロラド大学で惑星科学について研究しているジェシカ・リビー・ロバーツ氏らの研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡を使用して、3つの惑星の詳細な観測を実施しました。

以下の内、上段の3つの惑星が「ケプラー51b」「ケプラー51c」「ケプラー51d」です。下段は左から地球・海王星・天王星・土星・木星です。


ハッブル宇宙望遠鏡に搭載された広視野カメラ3による観測の結果、3つの惑星はいずれも1立方センチメートルあたりの質量が0.1gしかないことが判明。これは、木星とほぼ同じサイズであるにもかかわらず、質量は100分1ほどしかない計算になります。リビー・ロバーツ氏は「3つの惑星の密度は、出店で売っている綿あめとほぼ同じです。密度が低いことは分かっていましたが、木星サイズの綿あめだとは想像もしていませんでした」と話しました。

研究チームは次に、透過スペクトルの分析により「ケプラー51b」と「ケプラー51d」を構成している物質を調べようとしましたが、分厚い雲に遮られて化学的な組成についてのデータを得ることはできなかったとのこと。しかし、惑星の大気に水が存在しないことは分かったので、そうした観測結果やシミュレーション結果から、2つの惑星の質量の大半が水素とヘリウムであることを突き止めました。リビー・ロバーツ氏は、惑星の大気の下を調べることができなかった理由について、「土星の衛星であるタイタンと同じで、分厚いメタンガスの層に覆われていることが原因だと見ています。メタンガスは紫外線により分解されると、炭素質を多く含んだ濃密なガスを発生させます」と説明しました。

「ケプラー51b」「ケプラー51c」「ケプラー51d」があまりにも低密度であることから、3つの惑星はメタンなどの水素化合物が凝集し、固体となるのに充分な距離であるスノーラインの外側で誕生し、その後恒星の近くに移動したと推測されています。また、3つの惑星の中で恒星に一番近い「ケプラー51b」は、毎秒数百億トンの勢いで大気を吹き飛ばされていることから、約10億年後には海王星のように小さくてありふれた惑星になるとのこと。


NASAのゴダード宇宙飛行センターに勤めるクレア・アンドレオリ氏は「NASAが近いうちに運用開始する最新鋭のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡なら、宇宙で綿あめが作られた経緯をより詳細に知ることができる可能性がありますが、それまでは甘い秘密のままです」とコメントしました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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