サイエンス

最も優れた2019年の科学の本5冊を学術誌Natureの編集者が選ぶとこうなる

By sergign

さまざまな分野の専門家が、それぞれのテーマで自身が最高だと思う5冊の本を紹介するウェブサイト「FIVE BOOKS」で、Natureの編集者であるバーバラ・カイザー氏が、2019年に登場した科学分野の書籍から5冊の本を紹介しています。

The Best Science Books of 2019 | Five Books Expert Recommendations
https://fivebooks.com/best-books/science-2019-barbara-kiser/

◆1:「The Moon: A History for the Future」by Oliver Morton


著者のオリバー・モートン氏は、Natureの元編集長で、The Economistの科学記者です。カイザー氏はモートン氏について「三日月から満月へと移り変わる月の美しさをこよなく愛している人」であると語っています。

アポロ計画以降、月の科学は長い時を経て色あせてしまいました。天文学者の中には「月は星を隠す障害物」と考えている者も多く、地球と比べて「物理的な謎は少ない」とする説もあります。しかし、カイザー氏は、モートン氏の書籍によって「再び月が人々を魅了する道が開かれた」と述べています。


書籍には、モートン氏が調査した「人々がどのようにして月を理解するようになったのか」という文化的、科学的な歴史が魅力的に書かれています。何世紀にもわたって、芸術家のヤン・ファン・エイクから自然哲学者のロバート・フック、発明家のジェームズ・ナスミスといった著名人たちが、月面の表情を「読もう」と試みたことや、レオナルド・ダ・ヴィンチが月が発光しないことを突き止めたこと、NASAの月面探査とアポロ着陸を、録音された音声を分析することで着陸の瞬間のスリルを再現していることについてをカイザー氏は評価しています。

「モートン氏は、パロディー的なものであれ、科学的なものであれ、月の謎へ我々を駆り立てる物語を、終始編み続けています。科学に密接した物語は、未来の月を思い描くことさえ可能にします」とカイザー氏は語っています。

◆2:「The Second Kind of Impossible」by Paul J. Steinhardt


「The Second Kind of Impossible」の著者である宇宙学者、ポール・スタインハート氏は、物質の新しい形態に魅了され、準結晶の中でも不可能とされる形状について研究している人物です。「その探求の旅は人を引き付け、スタインハート氏が語る数学や物理だけでなく、彼自身の物語が私たちを本に没頭させます」とカイザー氏は述べています。

カイザー氏のお気に入りは、スタインハート氏と博士課程の学生であるドブ・レヴァイン氏が、紙、磁石、発泡スチロール、パイプクリーナーを使用して、原子配列の理論的実験にアプローチした方法についての内容とのこと。

物語は、地質学と探検の領域にまで及びます。スタインハート氏らによるチームが、ロシアの極東まで準結晶の探索を行った内容について、カイザー氏は「実験室だけにとどまらない、泥にまみれたスリルあるスタインハート氏の冒険は期待を裏切りません」と語っています。

◆3:「The Snow Leopard Project: And Other Adventures in Warzone Conservation」by Alex Dehgan


「Snow Leopard Project」は、ユキヒョウとアフガニスタンの両方に焦点を合わせた新しい保存生物学の研究についての本です。カイザー氏は「自然保護が最も成功するのは人間による保護だけでなく、生物多様性が役立つ場合もあるということを思い知らされます」と述べています。

約40年間の紛争と、部族間で分断されてきたアフガニスタンの生物学が「あらゆるレベルで驚くべきものになっていることを証明する本です」とカイザー氏は語ります。著者であり、進化生物学者でもあるアレックス・ディガン氏が経験した、弾丸が散乱した荒野でのフィールド調査、バンディ・アミール湖での国立公園設立に関する挫折とストレスについて、生々しくも心を打つ内容で書かれています。

また、ディガン氏はアメリカ合衆国国際開発庁の主任科学者でもあり、絶滅危機を阻止し保全活動を行う企業、Conservation X Labsを共同設立した人物でもあります。ディガン氏は、ロシア、マダガスカル、イラクなど、厳しい環境で保全活動を行っており「アフガニスタンに生息するユキヒョウが彼を引きつけた理由も分かります」とカイザー氏は述べてます。

◆4:「The Gendered Brain」by Gina Rippon


認知神経科学者であるジーナ・リッポン氏の書籍「The Gendered Brain」について、カイザー氏は「職業から衣服まで、すべてがまだ性別という名の色眼鏡を通して見られていることを気づかせてくれます。新生児がピンクや青の服を身にまとうように、しつこく残るステレオタイプな決めつけは、私たちの脳にまで影響を及ぼしています。それは、女性が日常的に不安定でニューロンに欠陥のある弱体として見られていた18世紀頃の人類学から、驚くべき規則性を持って続いています」と語っています。

リッポン氏は書籍の中で、性差別がどのように生み出されたかを調査した結果を記しています。たとえばサイズによる性差について、平均して男性の脳は、女性よりも大きい傾向にあります。しかし、脳の構造や大きさと、脳が関与すると推定される行動および表現との関係は、不確実とされる点が多くあります。また、性差に関わる心理学や、データの収集方法についても調査されています。

また、リッポン氏は社会的な脳の科学についても深く掘り下げています。他人が考えていることや感じていることを継続的に参照し、両親、教師、同僚など周りにいる人々の先入観によって、人々の脳がどのような影響を受けているかを理解することができます。

◆5:「Waters of the World」by Sarah Dry


著者であり、気候を専門とする科学史家でもあるサラ・ドライ氏は「この本は、科学の歴史であると同時に感情の歴史でもあります」と書いています。「Waters of the World」は6人の研究者の話で構成されています。

物理学者のジョン・ティンダル氏や、天文学者のチャールズ・ピアッツィ・スミス氏、気象学者のジョアン・シンプソン氏などによる、約150年に及ぶ水に関する研究の記録が書かれています。著者のドライ氏は書籍の中で「水はエネルギーの流れではなく、人間の活動と思考の流れをたどっている」と述べています。

カイザー氏は「科学の多様性がどのように結束するのか、宇宙物理学者、地質学者、海洋学者、氷河学者、気象学者の何世代にもわたる洞察が、どのように地球というシステムを収束しつなぎ合わせたかを素晴らしく伝えています」と語っています。

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in サイエンス, Posted by log1m_mn

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