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Discordのジェイソン・シトロンCEOが「小規模でプライベートなインターネット」の重要性をインタビューで語る


コミュニケーションツールの「Discord」は、2015年にリリースされた当初はオンラインゲームをプレイする人々の間で主に使われていましたが、近年ではゲーマーだけでなく親しい友人間や同じ趣味を持つコミュニティにも広く利用されるようになりました。海外メディアのThe Vergeが、そんなDiscordの現状や課題についてジェイソン・シトロンCEOにインタビューした内容を公開しています。

Discord CEO Jason Citron on why gaming and group chats are the future of the internet - The Verge
https://www.theverge.com/24134914/discord-ceo-gaming-chat-teens-safety-moderation-decoder-interview


The VergeとシトロンCEOとのインタビューを一部抜粋したものが以下の通り。

The Verge:
Discordはゲーマー向けのボイスチャットとして始まり、人々がお互いに話すために集まる場所に成長しました。今のDiscordはどういう存在だと思いますか?

シトロンCEO
私は、Discordは人々がオンラインで友達と話したり遊んだりする場所だと思います。

The Verge:
Slackの元CEOであるスチュワート・バターフィールド氏と話した際、「DiscordはSlackの競争相手だと思いますか?」と尋ねたところ、彼は「まったく違います。Slackは企業向けのソフトウェアです」と答えました。これは本当だと思いましたが、Slackが企業的でDiscordが消費者向けという考え方は、それ以来かなり曖昧になってきました。私はDiscordで運営されているだけでなく、Discordでコミュニティや顧客と対話しているビジネスを知っています。あなたにとっても、SlackとDiscordの境目は曖昧になってきましたか?

シトロンCEO
Discordはさまざまな方法で使用されており、多くの企業はオンラインで熱心なファンとコミュニケーションする新しい方法としてDiscordを使っています。私たちもそれをサポートしていますが、Discordを使用するほとんどの人は、知人や友人が集まる「サーバー」という小規模な招待専用グループに所属しています。寮の談話室やリビングルームのような場所で、人々は知り合いと集まっているのです。


The Verge:
サーバーという言葉はユーザーによるコントロールを示唆していますが、Discordはアプリストアが組み込まれたプラットフォームであり、Midjourneyのような最先端のユーザーインターフェースもありますよね。コントロールの権利はユーザーとDiscordの間を行ったり来たりしており、ユーザーがDiscordを使って不適切なことをするかもしれません。その緊張感についてはどう思いますか?

シトロンCEO
私たちは、人々が独自の空間をデザインできるツールを作成することに重点を置いており、それはDiscordの当初からの意図でした。私たちは常に、ユーザーがスペースをコントロールできるようにするという精神を持っていました。これのすごいところは、人々がサービスをカスタマイズして世界中の他のサービスに接続したいと考えていることがわかったため、APIとボットプラットフォームを接続してDiscordをカスタマイズできるように拡張したことです。ユーザーによるコントロールとオープンな精神が、Midjourneyのようなものの隆盛を可能にしたのです。Discord上には人々が構築した50万以上のアプリがあり、私たちのユーザーベース全体で使用されています。これはエキサイティングなことが起きる条件を生み出すための、実に意図的な姿勢です。

The Verge:
例えば、Discordを海外掲示板のRedditと対比させてみましょう。Redditはコミュニティによって動かされている、もうひとつの巨大なプラットフォームであり、そこにはコミュニティが望むこととRedditが望むこととの間に緊張感があります。プラットフォームやコミュニティが怒るとわかっていても、必要なことをしなくてはならない瞬間がありましたか?

シトロンCEO
DiscordがRedditと根本的に異なる点のひとつが、Discordはモデレーターやユーザー生成コンテンツが存在するRedditのような公共スペースというより、友達のためのグループチャットアプリだということです。私たちはDiscordをユーザー生成コンテンツのプラットフォームだとは考えていません。

私はDiscordをコミュニケーションアプリ、グループチャットアプリだと考えています。ユーザーがどこで時間を過ごしているのかを見ると、ほとんどの人は友人との招待制のグループチャットやボイスチャットでメッセージを送ったり、ゲームをしたり、その日のことを話したりしています。ユーザーは自分が興味のある他のスペースを探索し、大きなコミュニティに参加することもあり、サービスのその部分を本当に気に入っている人もいますが、Discordはコミュニケーションツールです。


The Verge:
Discordはテキストを通じてのボットとの対話に可能性を見ているのでしょうか、それともチャットアプリとしてのDiscordに重点を置いているのでしょうか?

シトロンCEO
Discordについての私たちの考えやビジョンは、まさに人々が友達とどのように時間を過ごすのかという点に帰着します。2012年に私が会社を立ち上げた時のアイデアは、ビデオゲームがますます大きなエンターテイメントとなり、ますます社交的になるだろうというものでした。私たちの将来のビジョンは、人々が本当に豊かな共有体験を持ち、世界のどこにいても友達と充実した時間を過ごせる世界です。ボットプラットフォームも重要だと考えているので、組み込みのエクスペリエンスを含むように進化させています。しかし、私たちがよく目にするパフォーマンス的なものから離れ、人々が友達と充実した時間を過ごせるような、居心地のいい親密な空間が必要とされています。私たちは、人々が友達と話し、一緒に過ごし、友情を深められるような居心地のいい空間を作ることに注力しています。

The Verge:
2024年はアメリカ大統領選挙が行われる年でもあり、ソーシャルメディアが若者に及ぼす影響やその管理がテーマになっています。一方であなたは、「インターネットは文化を定義する巨大なソーシャルメディアプラットフォームではなく、より小規模で細分化された知り合い同士の存在に戻るべきだ」と言っているのです。この方針にどれくらい満足していますか?

シトロンCEO
小規模なインターネットと大規模なソーシャルメディアプラットフォームは二者択一ではないと考えていますし、実際にソーシャルメディアは素晴らしいことをたくさんやってきたと思います。今から50年後も、ソーシャルメディアがもたらす価値と、その負の面をどのように管理するのかという問題が続くでしょうが、ソーシャルメディアプラットフォームは長期的に存在し続けると思います。Discordで私たちが目にしているのは、人々は公共のソーシャルメディアが興味深い存在だと理解しているものの、他に求めているものがあるということです。それは、物理的に同じ空間にいることができない場合でも、知り合いや友達とリラックスして時間を過ごせる居心地のいい空間です。

The Verge:
現在のDiscordを見て、どの部分がより速く成長していると思いますか?小さくて居心地のいいスペースなのか、それとも仮想通貨スタートアップが顧客と語り合う場所なのでしょうか?

シトロンCEO
これは小規模で居心地のいい空間であり、実際にこの部分が最も急速に成長しています。私たちにとって興味深いのが、小規模な空間は存在自体が公にされないため、人々にあまり知られていないという点です。仮想通貨やAIは大きな分野であるため、それに引きつけられてDiscordに参加するユーザーも多いですが、結局のところDiscordを最も気に入っているのは友達と一緒に参加したり、友達を探したりする人々です。最終的には彼らがオンラインで集まったり、他の人と連絡を取り合ったりする場所になります。


インタビューでは他にも全従業員の17%に相当する170人を解雇した件や、新たに導入するゲームの有料プロモーションや従来のサブスクリプションプラン(Nitro)などの収益化に関する話、10代の若者の保護についての考え、Nintendo Switchエミュレーターのサーバー閉鎖といった話題についてシトロンCEOが語っているので、気になる人はチェックしてみてください。

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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