甘い物の食べ過ぎが脳に与える影響とは?

By Dream79

ケーキやチョコレート、アイスクリーム、ジュースなど、甘くておいしい食べ物や飲み物には、必ずと言っていいほど砂糖がたっぷりと含まれています。なぜ人間は砂糖がたっぷり含まれた食べ物を好むのか、そして砂糖を大量に摂取するとどうなってしまうのかを、カナダにあるウエスタン大学の研究員、エイミー・ライシェルト氏がまとめています。

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古来より人間の体を構成する細胞は、砂糖に含まれるグルコースをエネルギーにして生きてきました。ライシェルト氏によると、グルコースは優れたエネルギー源であったことから、人間は糖を率先して摂取するため、甘い物を食べると特に幸せに感じられるように進化してきたとのことです。


甘い物を食べると、脳からドーパミンが放出され、報酬系が作動し「甘い物を食べる」という行動に快感を覚え、脳の神経可塑性により再び甘い物を食べたくなってしまうように脳が改造されてしまうとライシェルト氏は述べています。高糖質食品の摂取による報酬系の活性化を繰り返すと、頻繁な刺激に脳が順応し、同じ快感を得るために甘い物をより求め、一種の中毒症状を引き起こす可能性があるとされています。

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また、空腹を感じている人と食事を済ませた人に対して、高糖質のスナック菓子に対する欲求の調査を行ったところ、高糖質の食事を定期的に食べる人は、空腹でなくてもスナック菓子への欲求が高くなるという結果が得られました。ライシェルト氏は「高糖質食品を定期的に食べることで、高糖質食品への欲求が増幅する悪循環が生まれる」と語っています。

糖分の多い食事は、脳の記憶に関わる器官である海馬にも影響を与えるとされています。研究によると、高糖質食品を食べ続けたラットの記憶能力は、高糖質食品を食べていないラットよりも劣っていたとのことです。

さらに、意思決定や衝動の制御などに関与する、脳の重要な領域である前頭前野に集中している抑制性ニューロンのネットワークも、糖による悪影響を受けるとされています。ラットによる研究で、高糖質食品を食べると抑制性ニューロンに変化が現れることが示されており、糖を多く与えられたラットは、行動の制御や判断力に低下が見られたとのことです。

By seventyfourimages

糖から脳を守るには、まず糖の摂取を控えることから始める必要があります、WHOは、糖の摂取量を1日のカロリー摂取量の5%に制限することを推奨しています。これは砂糖25gにあたる量です。日本は1人あたり(PDFファイル)年間約15kgの砂糖を消費しているとされており、1日に換算すると約40gの砂糖を消費しています。

糖への欲求に抵抗するためには、まず甘い物に対する食欲を抑える必要があります。脳の神経可塑性により、甘い物を控えた食事を続ければ、脳が新たなニューロンを形成し、糖の少ない食生活に慣れさせることができます。神経保護作用のあるω-3脂肪酸が豊富な食品、たとえばタラやナッツなどを積極的にとると、新しいニューロンの形成に必要な脳内物質を高めることができるとライシェルト氏は述べています。

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「間食にお菓子を食べるといった習慣をやめるのは簡単ではありませんが、継続することで脳は食習慣改善への着実な一歩を踏み出してくれるでしょう」とライシェルト氏は語っています。

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in サイエンス,   , Posted by darkhorse_log

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