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スマホのバッテリー残量はもはや「人の行動やアイデンティティを左右する概念」と化しているとの指摘

by rawpixel

ロンドンの地下鉄に揺られて通勤をするロンドン市民へのインタビューにより、日々の生活に欠かせない機器となったスマートフォンのバッテリー残量が、もはや単なるバッテリー残量の目安ではなく「人の行動とアイデンティティを左右する」概念となりつつあることが浮き彫りになっています。

City Research Online - Portable technology and multi-domain energy practices
http://openaccess.city.ac.uk/id/eprint/22401/

Battery icons shape perceptions of time and space and define user identities | Cass Business School
https://www.cass.city.ac.uk/news-and-events/news/2019/september/mobile-technology-battery-icon-identity-perception-time-space-research

ロンドン大学シティ校のキャスビジネススクールのトーマス・ロビンソン氏の研究チームは、毎日60~180分通勤している23~57歳ロンドン市民22人を対象にインタビューを実施しました。インタビューでは「電力を消費する機器はどんなものを持っていますか」「どのくらいの頻度でバッテリーの残量メーターや電力ゲージを見ますか」「あなたの社会的地位とエネルギー使用量にはどんな関係があるかと思いますか」など、身の回りの電子機器とエネルギーに関する7つの質問が行われました。

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このインタビューに答えてくれた23歳のミアさんは、スマートフォンのバッテリー残量について「100%なら『よし、今日はどこにだって行ける』、50%なら『Instagramと電子メールが使えなくなったら死んじゃうから省電力モードにしよう』、30%だと『今日はもう終わったも同然』だと思ってしまいます」と回答。その他の回答者もスマートフォンのバッテリーを気にしたり、バッテリーの節約に腐心したりしている自分のことを、「コントロール狂(エリサベス・53歳)」「プランナー(スザンヌ・42歳)」「軽度の強迫性障害(オリヴィア・33歳)」「尻の穴が小さい(ルーカス・43歳)」など、ロンドンっ子らしいウィットに富んだ言い回しで表現しています。

こうしたインタビュー結果をまとめたマーケティング講師のトーマス・ロビンソン氏は「人々は、もはや目的地がここから10km離れているとか、鉄道で10駅分だとかを気にしていません。その代わり、『バッテリー換算で50%分の距離』だと考えています」と述べて、携帯電話のバッテリー残量が人の心理や行動に大きな影響を与えていることを指摘しました。

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また、自分をコントロール狂と認めているエリザベスさんは、携帯電話のバッテリーをうっかり切らせてしまった知人に出会った時のことを「とんでもなく驚いて、思わず目玉をぐるりと回したので、びっくりさせてしまったでしょうね」と話しました。また、他の回答者もスマートフォンのバッテリーが切れても平気な人について、「だらしない」「恐ろしくイライラする」「社会人失格」と散々な言いようで表現しました。

このことからロビンソン氏は「携帯電話のバッテリーをよく使い果たして連絡が取れなくなってしまう人は、『社会的規範から外れた人なのでまっとうな社会の構成員ではない』とみなされてしまっています。つまり、単に計画的にバッテリーの残量を管理できないというだけのことが、計画性のある人生を送れないことの象徴となってしまっているというわけです」と指摘し、バッテリーの残量がアイデンティティにまで影響を及ぼしているとの見方を示しました。

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in モバイル, Posted by log1l_ks

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