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56コア・112スレッドのプロセッサ「Intel Xeon Platinum 9282」と「AMD EPYC 7742」の比較ベンチマーク結果をIntelが公開


チップメーカーのIntelは、56コア・112スレッドのサーバー向けプロセッサ「Xeon Platinum 9282」が、ライバル企業のAMDが2019年8月に発表した64コア・128スレッドの「EPYC 7742」よりも優秀だとする比較ベンチマークの結果を2019年11月5日付けで発表しました。

[Updated] HPC Leadership Where it Matters — Real-World Performance
https://medium.com/performance-at-intel/hpc-leadership-where-it-matters-real-world-performance-b16c47b11a01


AMDの開発したサーバー向けプロセッサのEPYC 7742は、7nmプロセスで製造されており、64コア・128スレッド、ベース周波数は2.25GHz、ブースト周波数は3.4GHz、L3キャッシュは256MBというプロセッサです。そんなEPYC 7742と、Intelのサーバー向けプロセッサであるXeon Platinum 8180Mとを比較したレビューが2019年9月に公開されました。

64コア/128スレッドのAMDのモンスタープロセッサ「AMD EPYC 7742」が驚異のベンチマーク結果を達成 - GIGAZINE


Intelが2019年4月に発表したXeon Platinum 9282は、14nm製造プロセスで設計された第2世代Xeonスケーラブル・プロセッサで、56コア・112スレッド、ベース周波数は2.60GHz、ブースト周波数は3.80GHz、スマートキャッシュ77MBというスペック。

そして、Intelは自社のXeon Platinum 9282とAMDのEPYC 7742を高性能計算(HPC)のベンチマークで比較した結果を公開しました。その結果が以下のグラフです。一番左にある灰色の棒グラフがEPYC 7742のベンチマークの結果。その右にずらっと並ぶ青い棒グラフは、EPYC 7742の結果を1.0とした時のXeon Platinum 9282の結果を表しています。グラフを見ると、Xeon Platinum 9282の結果がすべて1.0を超えていて、「Xeon Platinum 9282はEPYC 7742の結果を幾何平均で31%上回っている」とIntelは論じています。


また、熱流体解析ソフトウェアのANSYS Fluentを使ってパフォーマンスを比較した結果が以下のグラフ。一番左にあるEPYC 7742(灰色の棒グラフ)と比較して、その右に並ぶXeon Platinum 9282(青い棒グラフ)はどれも2%~36%高い数値を示しています。


ただし、技術系メディアのServeTheHomeは、Intelが行った比較ベンチマークで使われている高性能計算には問題があると指摘しています。

Intel Performance Strategy Team Publishing Intentionally Misleading Benchmarks
https://www.servethehome.com/intel-performance-strategy-team-publishing-intentionally-misleading-benchmarks/


Intelの比較レビューでは当初、GROMACSと呼ばれる分子動力学シミュレーションソフトが使われていました。比較レビューで使われたバージョンは2019年6月14日にリリースされたGROMACS 2019.3ですが、2019年10月2日にはGROMACS 2019.4をリリースしています。

ServeTheHomeは、GROMACS 2019.4で施されたアップデートの中には、AMD Zen2アーキテクチャのCPUを使った場合に発生するエラーの修正が含まれていたと指摘し、Intelの比較レビューはEPYC 7742にとって不利なものだったと論じました。また、「消費電力やサポートするプラットフォームの関係上、EPYC 7742と比較するべきなのはXeon Platinum 8280であるべきだ」とServeTheHomeは主張しています。

ServeTheHomeの批判を受けて、IntelはGROMACS 2019.4のデータに更新。以下のグラフがアップデート後の比較レビューの結果ですが、「2019.3バージョンに投稿された以前のデータと実質的な違いは見つかりませんでした」とIntelが述べている通り、結果に変わりはありませんでした。


この更新に対して、ServeTheHomeは「Intelの製品でAMD EPYC 7742と最もよく比較されているのはXeon Platinum 8280です。EPYC 7742とXeon Platinum 9282を比較することは、おそらくあまり有用な比較ではありませんが、Intelが推し進めようとしている話です。Intelは、Xeon Platinum 9282のサポートに非常に積極的であり、低消費電力チップを上回るケースも出てくると思います。今回の比較レビューは、多くの人がEPYC 7742とXeon Platinum 9282の比較に納得するかどうかを表すものとなりました」と述べました。

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in ハードウェア, Posted by log1i_yk

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