セキュリティ

英国最大の麻薬密輸組織「エスカレード」が運営する違法スマホのレンタルビジネス「MPC」とは?


2016年12月、ヘルズ・エンジェルズのようなバイカーギャングやモロッコの麻薬王などの犯罪者について報じていたブロガーが暗殺されました。IT系ニュースメディアMotherboardが、暗殺計画に関与した違法暗号スマートフォン企業「MPC」と、MPCの背後にあるスコットランドとイギリス最大の麻薬取引組織「エスカレード」に関して報じています。

Inside the Phone Company Secretly Run By Drug Traffickers - VICE
https://www.vice.com/en_uk/article/wjwbmm/inside-the-phone-company-secretly-run-by-drug-traffickers

2016年12月、犯罪者に関するニュース記事を発信していたブロガーのマーティン・コック氏は、1日のうちに2度命を狙われました。1度目は路上で歩いていたところを後ろから銃を持ったヒットマンが狙い撃つというものでしたが、失敗に終わります。


監視カメラがとらえた未遂に終わった1度目の暗殺事件の映像が以下。

Moordpoging Martin Kok gefilmd - YouTube


路上を歩いている黒スーツの男性が、狙われたコック氏。


画面左側、コック氏の後ろからパーカーを着たヒットマンが走ってコック氏に接近してきます。


ヒットマンはコック氏のすぐ近くで拳銃を抜いて、頭に狙いを定めました。


しかし、ヒットマンはなぜか銃を撃たず、そのまま走り去りました。


以上のように1度目の暗殺は失敗しましたが、同日2度目に行われた暗殺は成功。コック氏は殺害されました。

コック氏の暗殺事件には複数の組織が関わっていたとみられています。その組織の1つが、違法スマートフォンのレンタル事業を運営していた「MPC」です。MPCは、マイク・カメラ・GPS機能が削除されたものや、特定のボタンを押しながら起動すると暗号化通信モードで起動するものなど、高度に暗号化され高い安全性と機密性を付与された違法なデバイスを貸し出していました。MPCはこれらのデバイスの暗号化通信のために、自社製のインフラストラクチャや、自社製の改造AndroidOSも提供していました。MPCが貸し出していた違法スマートフォンは約5000台でしたが、機器自体のレンタル代と継続使用料を合わせて約600万ポンド(約8億4000万円)の利益をあげたとみられています。


MPCはコック氏のブログの公式スポンサーでした。MPCの職員であるクリストファー・ヒューズ容疑者が暗殺直前までコック氏と行動を共にしていたことがわかっており、コック氏はヒューズ容疑者によって「はめられた」とみられています。

Motherboardによると、このMPCの背後にいるのが「The Brothers」と呼ばれるジェームズ・ガレスピーとバリー・ガレスピーのガレスピー兄弟です。ガレスピー兄弟は南アメリカからヨーロッパにヘロインを密輸する「エスカレード」という組織の中心人物だったと考えられています。エスカレードはイギリスとスコットランドにおける麻薬取引組織の頂点だと目されており、エスカレードの組員が関与した事件も麻薬の支払いを期日までに行わなかった男を鎖で縛った上で腕を折り、銃で撃ち抜いて傷口に漂白剤を塗り込むといった拷問や、あるフットボールのマネージャーの腹部と顔面を銃で撃ち抜くといった凶悪犯罪ばかり。スコットランド政府は(PDFファイル)公式文書の中でエスカレードのことを「高度に洗練された、脅威レベル最大の組織」と表現しています。

By Rawpixel

情報筋によると、ガレスピー兄弟は当初エスカレードで使用するために違法スマートフォンを開発していたそうですが、開発が進むにつれて違法スマートフォンを提供すること自体が大口のビジネスになることを発見したとのこと。MPCは警察による捜査を受けて表向きは解体していますが、Motherboardは独自の調査によって現在でもMPCの元職員が活動していることを突き止めているとのこと。

2018年初頭、オランダ警察はコック氏の暗殺を実行したと思われる2名を逮捕しました。コック氏が暗殺された理由は、報じていたニュースがモロッコのマフィアの怒りを買ったからだと目されています。

また、スコットランド警察は、ガレスピー兄弟および暗殺直前にコック氏に同行していたヒューズ容疑者を含む5名の顔写真を公表し、情報提供を呼びかけています。

Appeal for Information - Operation Escalade - Police Scotland
https://www.scotland.police.uk/whats-happening/news/2019/february/appeal-for-information-operation-escalade


暗殺される数週間前、コック氏はスポンサーであるMPCのために、MPCのロゴ入りマグカップを持って笑っている写真をTwitter上に投稿していました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
またもイギリスで神経剤「ノビチョク」の被害者発生、ロシアの元スパイ暗殺未遂と同一物質 - GIGAZINE

メキシコで大統領選中に130人以上の政治家・立候補者が殺される - GIGAZINE

あのジョン・マカフィーが暗殺されかけるも奇跡の復活、敵への「復讐」を宣言 - GIGAZINE

北朝鮮の金正男氏が暗殺されたと報じられる、マレーシアで女二人が毒針で殺害 - GIGAZINE

中国マフィアや麻薬組織がこぞって狙う「海のコカイン」の密輸を防ぐ取り組みとは? - GIGAZINE

in セキュリティ, Posted by log1k_iy

You can read the machine translated English article here.