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カナダの港が「盗難車の輸出拠点」と化してしまった理由とは?


カナダのモントリオール港には盗難車を詰め込んだコンテナが大量に集まり、「盗難車の輸出拠点」になってしまっているそうです。カナダの通信社であるThe Canadian Pressが、モントリオール港の盗難車輸出を巡る実態を報告しています。

Why is Montreal a stolen car export hub? Jurisdiction limits and size, officials say | National News | thecanadianpressnews.ca
https://www.thecanadianpressnews.ca/national/article_923eba54-3a88-5934-a09e-1bf766489319.html

モントリオール港はカナダで2番目に規模の大きい港で、五大湖の1つであるオンタリオ湖からセントローレンス湾へと流れるセントローレンス川沿いに位置しています。


2023年だけで170万個のコンテナがモントリオール港を通過しており、カナダ産の輸出車両の70%がモントリオール港を通過しています。しかし、モントリオール港は盗難車の輸出拠点としても使用されており、2023年12月~2024年3月にかけて実施された抜き打ち捜査プロジェクト「Project Vector」では約400個のコンテナから598台もの盗難車が発見されました。


Project Vectorで回収された盗難車の4分の3はオンタリオ州で盗まれたもので、そのうち125台はピール地域で盗まれたものでした。ピール地域に位置するブランプトンのパトリック・ブラウン市長は「モントリオール港のコンテナ検査が不十分であるため、盗難車の輸出が犯罪組織にとってリスクの少ない事業となっている」と指摘。また、ブラウン市長は「アメリカではスキャン装置を用いてカナダよりも多くの割合のコンテナを検査している。このため、犯罪組織はアメリカでの事業を避ける。一方で、カナダではコンテナのスキャン率が1%未満である」と述べ、盗難被害を抑えるためにモントリオール港の輸送ハブにスキャナを増設すべきだと主張しています。

モントリオール港の広報担当者であるルネ・ラルーシュ氏によると、800人以上の捜査官がモントリオール港への入港パスを所持しているとのこと。しかし、捜査官がコンテナを開けて中身を調べるには令状が必要です。このため、例え盗難車の持ち主がGPSタグなどを用いて「盗難車がモントリオール港にある」と突き止めた場合でも、令状がなければ手出しできません。ブラウン市長はこの点についても問題を指摘し、捜査官が令状無しで税関の管理区域に立ち入ってコンテナを開けられるような制度改革が必要だと訴えています。

なお、ラルーシュ氏は「800人以上の捜査官が入港パスを所持している」と述べていますが、国境警備隊組合の会長を務めるマーク・ウェーバー氏は「2023年2月時点でモントリオール港に勤務していた警備隊員はわずか8名で、警備隊の管理スペースが狭すぎて盗難車両を6台以上保管することができなかった」と証言しています。

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in 乗り物,   セキュリティ, Posted by log1o_hf

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