メモ

メリーゴーラウンドのように独房全体が回転する「回転式刑務所」とはどんなものだったのか?


「デザイン」によってモノの使用感はガラッと一変するため、「使いやすいデザイン」が多くのモノで追求されます。円形に配置された独房がメリーゴーラウンドのように回転する「回転式刑務所」は、数々の囚人の手足をへし折った結果、使用されなくなりました。

Rotary Jails | Amusing Planet
https://www.amusingplanet.com/2019/10/rotary-jails.html

1881年にアメリカで発明された回転式刑務所は、円形の檻を10等分したショートケーキ形の独房が特徴です。

By David MacKinnon

この独房には「扉」はなく、扉の代わりとして、檻の側面に開口部が1箇所だけ備わっています。独房は回転する台座の上に置かれており、看守が手動でクランクを回すと独房全体がメリーゴーラウンドのように回転します。各独房が固定された開口部に接続すると、出入りができるようになるという仕組みです。


独房の中から見るとこんな感じ。接合部以外の部分は檻。


回転式の台座を下から撮影した画像が以下。

By Library of Congress

回転式刑務所のメリットは、脱獄不可能という点と、見張りのために必要な看守が1人で済むという点でした。台座の回転機構に用いられたギアは滑りが良く、1人で多数の囚人がのった台座を回転させることができたとのこと。回転式刑務所はその仕組みゆえに、「リスのケージ刑務所」とあだ名がつけられていたそうです。

また、回転式刑務所は設備が充実していました。独房全体に空気が自由に流れるようにできる換気システムや、各独房に水洗式トイレが備え付けられており、当時の水準的にはかなり贅沢なものだったそうです。回転式刑務所はアメリカの中西部で主に建設され、18個もの回転式刑務所がアメリカ国内に建てられたとのこと。回転式刑務所を発明した建築家のウィリアム ブラウンは回転式刑務所がなぜこのような仕組みをしているのかについて、「看守と囚人の個人的な接触をなくすこと」を目的として挙げています。


しかし、回転式刑務所は問題を複数抱えていました。その1つは火災などが生じた場合、同時に1つの独房しか出入り口に接続できないため、囚人を迅速に避難させることが不可能ということ。さらに、独房を回転させる際に、囚人が檻に手足を挟んで負傷するという事故が多発したという問題もありました。こういった問題に加えて設備の老朽化などが進んだ結果、1930年代までに全ての回転式刑務所が使われなくなったとのこと。

2019年時点では、インディアナ州、アイオワ州、ミズーリ州、テキサス州の合計4箇所に回転式刑務所が現存しており、博物館になっているとのこと。


この中でも、インディアナ州の博物館では、3階建ての回転式刑務所がいまだに稼働するそうです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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