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海賊版は劇的に減少しているのに音楽業界はその事実を無視している

by Alireza Attari

音楽業界や当局はこれまで「海賊版を撲滅するには規制が必要」と考えてきましたが、「海賊版の個人的なダウンロードは合法」とする著作権法改正案がスイスで可決されるなど、海賊版を巡る状況は変化しつつあります。新たなレポートでもストリーミング・サービスの人気に伴い海賊版の利用が減少していることが示されましたが、「音楽業界はこれを都合良く無視している」という指摘があがっています。

Music Piracy Drops Dramatically, IFPI Shows - TorrentFreak
https://torrentfreak.com/music-piracy-drops-dramatically-ifpi-shows-190924/

Music Piracy Continues To Drop Dramatically, But The Industry Hates To Admit That Because It Ruins The Narrative | Techdirt
https://www.techdirt.com/articles/20191003/00100943111/music-piracy-continues-to-drop-dramatically-industry-hates-to-admit-that-because-it-ruins-narrative.shtml

技術系ブログのTechdirtを設立したマイク・マズニック氏は、2015年に「海賊版を最も簡単に、効果的に減らすには、ユーザーが簡単に使えて制限も少ない『優れたライセンス制のサービス』を生み出す必要がある」とレポートの中で述べました。他の多くのレポートも同様に、「法規制は長い目で見て効果的ではない」と結論づけましたが、音楽業界や当局は法規制を重視して施策を行ってきました。

一方で、近年は音楽ストリーミングサービスが大きな成功を収めました。Copia Instituteとコンピューター通信産業協会が新たに発表したレポートによると、この成功により、音楽業界の収益が劇的に増加しているとのこと。

A Detailed Look At The Entertainment Industry | The Sky Is Rising 2019
https://skyisrising.com/img/skyisrising.svg


これが音楽業界の収益を示すグラフ。2014年を過ぎたころから、ストリーミング業界の勢いが増し、2018年には収益全体の半分近くをストリーミングが担っています。


そして、2015年のマズニック氏による予測のとおり、ストリーミングサービスが勢いを増すにつれ、海賊版も激減しました。しかし、マズニック氏は、「音楽業界はユーザーにことことを知って欲しくないので、国際レコード・ビデオ製作者連盟(IFPI)は『まだ海賊版は大きな問題だ』と示唆する発表を行っている」と述べています。なお、IFPIは2018年にも「約38%の人々が正規じゃない方法で音楽を聞いている」といった内容をレポートで発表しています。

IFPI releases Music Listening 2019
https://www.ifpi.org/news/IFPI-releases-music-listening-2019


上記のレポートでIFPIは「このレポートは、ライセンスを持たない、著作権侵害といわれる方法で音楽が聞かれることが音楽エコシステムにとって脅威であることを強調します。このようなストリーム・リッピングは音楽を作り、音楽に投資する人々に対して、何も返しません。この問題を解決すべく、私たちは世界規模のアクションを取っていきます」と述べています。そしてレポートの中で、IFPIは「調査対象の27%が無許可の方法で音楽を聞いたり入手したりしている」「23%がストリーム・リッピングサービスを使用している」ということについては言及していますが、前年度との比較を行わず、歴史的にみてこれがどういう意味なのかを示されていません。

また著作権侵害やデジタル著作権について報じるTorrentFreakは、IFPIのレポートについて、以下のように指摘しています。


「私たちが見たところ、検索エンジンの役割についても、もはや強調されなくなっています。これはかつて、最も優先順位の高い項目でした。2016年にIFPIは、海賊版の音楽を見つける行為の66%がGoogleのような一般的な検索エンジンによって行われていることを報じていました。翌年にこの数字は54%になり、昨年は50%以下でした。そして2019年には言及さえされていません」「これは、トレンドが別の方向に行ったためだと私たちは理解しています。たとえば2016年はストリーミング・リッピングが10%だったことについて警告が発せられましたが、今年は28%にも関わらず言及されていません」

IFPIは「海賊版を規制しないとクリエイターにお金が入らなくなる」という自分たちの理論が間違いだった、あるいは行き過ぎだったというデータが証明された時には都合良く歴史的な流れを無視する、とマズニック氏は指摘しました。

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in ネットサービス, Posted by logq_fa

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