生き物

色の白いメンフクロウは「獲物の動きを止める」効果を持ち月夜の狩りに有利だと判明

by dannymoore1973

夜行性の肉食動物は夜間に狩りを行うため、エサとなる動物に見つかりにくい地味な色合いをしている方が有利だと考えがちですが、夜行性のメンフクロウの中には腹部が真っ白な個体が存在します。研究者は腹部の色が白いメンフクロウついて、「獲物の動きを止める」効果があり、腹部の色が赤や茶色の個体より月夜の狩りに有利であることを突き止めました。

Differential fitness effects of moonlight on plumage colour morphs in barn owls | Nature Ecology & Evolution
https://www.nature.com/articles/s41559-019-0967-2

Barn owls reflect moonlight in order to stun their prey
https://theconversation.com/barn-owls-reflect-moonlight-in-order-to-stun-their-prey-122796

メンフクロウは世界中の町や村の近くで見られる一般的な夜行性の鳥類で、人々にとって馴染みのある種ではあるものの、よくわかっていない点も多いとのこと。たとえばメンフクロウにはさまざまな羽毛の色が存在し、いくつかの個体は腹部が白色である一方、濃い赤色や茶色の個体もいることがわかっていますが、その理由は長年にわたって不明でした。


多くの特徴的な羽毛や毛皮の色を持つ動物は、日光の下で外敵や獲物からどのように見えるかに影響を与えています。たとえばトラのしま模様はトラがジャングルに隠れ、獲物に気づかれることなく接近して狩ることに役立ちます。一方、メンフクロウのように夜行性の動物において、光がどのような影響を与えるのかについてはよく理解されていません。

自然界において夜間の主な光源は月であり、月の光は周期に従って変動します。たとえば月の光がない新月の夜に人家のない田舎を歩こうとすれば、足元や周囲を照らす懐中電灯が不可欠ですが、満月の夜であればかなり周囲が明るく照らされ、電灯なしでも安全に歩くことができます。スウェーデンのルンド大学やスイスのローザンヌ大学の研究チームは、新月の夜に比べ、月明かりのある夜ではメンフクロウが獲物に発見されやすく、狩りが難しくなると考えて調査を行いました。

by Kaz

研究チームはスイスのメンフクロウ個体群を、20年にわたってGPSおよびカメラで狩猟・繁殖行動を追跡調査してきました。このデータをもとに狩りの結果を月の周期と比較したところ、やはり推測どおり、メンフクロウは月明かりのある夜には狩りが上手くいかず、捕まえる獲物が少ないことが判明しました。

しかし、この結果は腹部の色が赤や茶色のメンフクロウにだけ当てはまり、腹部の白いメンフクロウには当てはまりませんでした。驚くべきことに、腹部の白いメンフクロウはたとえ満月の夜であっても、新月の夜と同様に獲物を狩ることができたそうです。

一体なぜこのような結果になったのか、研究チームはメンフクロウの「獲物」の視点から考えることにしました。研究チームはメンフクロウにとっての主な獲物であるハタネズミ属を用い、満月と新月の夜という異なった条件下で、腹部の赤いメンフクロウと白いメンフクロウを近づけ、反応にどのような違いが出るのかを調べたとのこと。実験の結果、メンフクロウの色にかかわらず、満月の夜の方がハタネズミはメンフクロウを早く見つけることがわかりました。

by Kentish Plumber

また、ハタネズミ属などの小動物は脅威となる捕食者を発見した際、相手に見つからないための防衛行動として体を硬直させ、捕食者をやり過ごそうとすることもわかっています。不思議なことに、ハタネズミ属が満月の夜に腹部の白いメンフクロウを発見した場合のみ、硬直する時間が通常よりも長くなることが判明したそうです。この硬直時間の延長は腹部の色が赤、茶色のメンフクロウの場合は発生しませんでした。

研究チームはハタネズミ属が腹部の白いメンフクロウに対してのみ硬直時間が長くなる理由について、「白い羽毛から反射される光に本能的な恐怖があるのではないか」と推測しています。腹部の白いメンフクロウの個体は、このハタネズミ属の特性を利用して獲物を硬直させ、狩りに利用しているのだろうと研究チームは述べました。

by Rex Boggs

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in 生き物, Posted by log1h_ik

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