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Googleの競合サービス・Tutaが「Google検索で突如自社サービスが表示されなくなった」と訴える


エンドツーエンド暗号化された世界で最も安全なメールサービスを自称する「Tuta」が、「GoogleはGoogle検索でTutaを意図的に表示しないようにしている」と訴えています。GoogleはメールサービスのGmailを運営しているため、Tutaは「GoogleはGmailの競合サービスであるTutaの利益と市場性に影響を与えており、これはデジタル市場法(DMA)に違反するものです」と主張しました。

Google Search Is A Problem: How Google Is Crushing Tuta.
https://tuta.com/blog/google-search-problem


Tuta(旧Tutanota)は、世界で2番目に人気な暗号化メールサービスで、ドイツを拠点に活動しています。しかし、2024年4月頃からGoogleの検索エンジンであるGoogle検索で、Tutaが正しく表示されなくなってしまったと訴えています。

Tutaの拠点であるドイツでGoogle検索を使って「Tutanota login(Tutanota ログイン)」と検索すると、検索結果ページの最上部にTutaが表示されないそうです。代わりに表示されるのはGoogle Playで配信されているAndroid版のTutaアプリへのリンクや、RedditのTuta関連スレッドとなっています。


一方、DuckDuckGoYahooBingといった検索エンジンでは、同様の検索ワードで問題なく検索結果ページの最上部にTutaの公式ウェブサイトが表示されるそうです。

DuckDuckGoの場合


Bingの場合



そのため、Tutaは「この検索結果は明らかにGoogle検索だけが抱える問題です。これは我々のビジネスに深刻な影響をおよぼしています」と指摘しました。なお、Tutaはロシアでブロックされているものの、ロシアの検索エンジン・Yandexで「Tutanota login」と検索しても、検索結果ページの最上部にはTutaのウェブサイトが表示されます。

Google検索は北米地域やヨーロッパにおいて特に支配的な検索エンジンとなっているため、「Google検索でTutaのウェブサイトが見つけられない場合、我々はビジネスを失ってしまうことになります」とTutaは記しています。


また、2023年8月から2024年3月までの期間は、Google検索で「secure email(安全なメール)」や「encrypted email(暗号化メール)」と検索すると、検索結果ページの上位にTutaのウェブサイトが表示されたそうです。しかし、2024年4月以降はTutaは表示されなくなっている模様。

TutaはGoogleに直接連絡し、なぜTutaのウェブサイトが検索結果ページの上位に表示されなくなったかを質問したそうです。他にも、TutaはGoogleの公式コミュニティから連絡を試みたり、Googleで働く人物と個人的に連絡を取ったり、X経由で連絡を入れたりしたそうですが、どこからも回答は得られなかった模様。

Tutaは「DMAが2024年3月に施行されたことを考えると、これはGoogleにとってデリケートな問題であるはずです。ちょうどこの時期から、TutaがGoogle検索の検索結果ページ上位に表示されなくなりました」と言及しています。


DMAはGoogleなどのゲートキーパーに対して、「競合他社に対して自社プラットフォームで公平な競争の場を設けることを義務付ける」というもの。Tutaは「セキュアなGmailの代替ツール」を自称しているため、Googleの直接の競合相手であるといえます。そのため、検索結果ページにおける変更は競合相手を不利にするための施策である可能性があり、DMAに違反するものであるとTutaは指摘しました。

続いて、Tutaは「Google検索においてGoogleが自社製品を優先しているかどうか」を確認するための調査を実施。「Tutanota login(Tutanota ログイン)」と検索した際に、GoogleのサービスであるGoogle Playのリンクが一番最初に表示されたことから、「結論は明らかです」「これが自社優先でないなら何が自社優先になるのでしょう」とTutaは指摘しています。


Tutaは「今回の事例は、Googleがゲートキーパーとしての力を利用することで、競合他社に損害を与えることができることを明確に示しています。企業が公正な競争の場を求めて戦うことを支援し、消費者が大手テクノロジー企業のゲートキーパーに代わる選択肢を見つけて支援するDMAが施行されたことは、素晴らしいことです」と記しています。

Tutaの創設者であるMatthias Pfau氏は、「そもそも機能開発やマーケティングに際限のない資金を持っているGoogleやAppleのような大規模テクノロジー企業と競争するのは難しいです。それでも、もし彼らが独自のプラットフォームにおいて小規模な競合他社をさらに困難にすることができてしまえば、 AppleのApp StoreやGoogle検索において、競合他社はニッチ市場から抜け出して主流のプロバイダーになることは決してできなくなるでしょう」と語りました。

TutaがまだTutanotaだった2023年、MicrosoftのメールツールであるOutlookが、Tutanotaからのメールを間違ってスパム扱いし、Outlookのメールボックスから完全にブロックするという問題が発生しました。この時、TutaはMicrosoftのサポートチームと数週間にわたって協力して問題解決を試みましたが、問題が解決されることはありませんでした。しかし、「自分も同じ問題に直面している」と訴えるジャーナリストが登場したところ、わずか1日で問題は解決されたそうです。

「MicrosoftやGoogleの内部で何が起こっているのかを技術的に知ることはできませんが、このようなバグが我々のような競合企業に常に影響を与えていることは明らかです。このような問題は、ジャーナリストが問題として取り上げた際だけでなく、常に真摯に対処する必要があります」とTutaは記しました。


Tutaは「Googleのような大手テクノロジー企業は小規模プロバイダーを潰す力を有しており、小規模サービスからの苦情は常に無視されるのが現状です。そのため、大手テクノロジー企業は外部からの圧力を感じた場合にのみ問題に対処しています」と述べ、このような問題はEUのDMAの必要性を示していると主張しています。

なお、Tutaはユーザーに対して「Googleに今回の問題を報告すること」や「XやMastodonなどのお気に入りのソーシャルメディアプラットフォーム上で問題を共有し、騒ぎ立てること」「大手企業のツールに代わり、Tutaのような小規模プロバイダーのツールを利用すること」「EUの規制当局に問題について報告すること」などが手助けになると主張しました。

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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