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インドネシアが首都を移転する理由は最大4メートルの地盤沈下

by ekoherwantoro

2019年4月、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は首都をジャカルタから移転する構想を発表しました。その後、8月26日に開かれた記者会見の中で、首都をボルネオ(カリマンタン)島の東カリマンタン州北ブナジャム・パセル県とクタイ・カルタヌガラ県にまたがる地域に移す計画を明かしています。

Indonesia will build its new capital city in Borneo as Jakarta sinks into the Java Sea | CNN Travel
https://edition.cnn.com/travel/article/indonesia-new-capital-borneo-jakarta-scli-intl/index.html

Jakarta has sunk by up to 4 meters, forcing Indonesia to build a new capital | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2019/08/why-parts-of-jakarta-have-dropped-by-four-meters/

報道によると、新しい首都の建設工事は2021年からスタートし、2024年には政府の一部機能や議会を新都となるカリマンタンに移転することが計画されています。なお、完全な首都の移転はインドネシアの独立100年目となる2045年に行われるとのこと。なお、CNNは首都移転の予算は486兆ルピア(約3兆6000億円)に達すると報じています。

国連によると、インドネシアの首都であるジャカルタには1000万人以上が暮らしており、都市圏内には推定で3000万人もの人々が暮らしているため、「世界で最も人口の多い地域」で首都の移転が行われることとなります。


首都移転先の候補であるカリマンタン島は、2019年8月時点で首都として機能しているジャカルタとは別の島です。


ジャカルタから首都を移転させる理由は、この土地で起きている大規模な地盤沈下にあります。ジャカルタでは毎年3~10cm程度ずつ地盤沈下が進んでおり、地域によっては最大で4メートルも地盤が沈んでいるそうです。これによりジャカルタでは地面の基礎やインフラ自体にも大きな影響が生じています。


また、ジャカルタは多くの川と海が合流する海岸に位置しているため、洪水の危険性が高いという問題点も挙げられています。満潮時に海水が氾濫する危険性があるだけでなく、広大な土地を舗装したため都市部に降り注いだ雨水を排水することにも苦労しており、その影響で大規模な洪水被害にも悩まされています。

ジャカルタの土地がなぜこれほど不安定なのかというと、その理由は「人間が正しい場所で間違ったことをしているから」と海外メディアのArs Technicaは記しています。ジャカルタのような海岸と河川が合流する土地では、海や川から流れてきた堆積物が自然に積もり、圧縮されていくとのこと。加えて、地表のすべての建物やその他の構造物の重量が、堆積物を少しずつ圧縮するように作用します。そうして、ジャカルタの地下には水をくみ出すことができる帯水層が形成されていきます。ジャカルタではこの帯水層から過剰に水をくみ上げるため、帯水層の水位が数十メートルも低下してしまっているとのこと。

帯水層に存在した潤沢な水は、堆積物の粒の間の空間に入り込んでこれを支えていたわけですが、地下からの揚水が過剰に行われたことで、帯水層から水が減り、帯水層に存在した堆積物が地上の重みに耐えられずに沈下していったというわけです。

以下の写真は1974~1991年(左)と、1991~2010年(右)のジャカルタの地盤沈下率を示したヒートマップ。色が赤色に近い程地盤の沈下率が高いことを示しており、かなりのエリアで年間の地盤沈下量が10cmを超えていることがわかります。


地盤沈下に悩まされているのはジャカルタだけではありません。アメリカのニューオリンズやイタリアのヴェネツィアでも同じように地下水の揚水が原因となった地盤沈下が起きています。中国の上海でも地下水の揚水が原因となる最大2メートル以上の地盤沈下が起きており、アメリカのカリフォルニア州セントラル・バレーでは灌漑(かんがい)用に地下の帯水層を開拓し、地盤沈下が起きています。

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in メモ, Posted by logu_ii

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