メモ

億万長者になって31歳でリタイアする方法

by Bruce Christianson

毎日決まった時間に起きて出勤して休みもなく働き、わずかな休日に楽しみを詰め込む……という日々に嫌気がしている人もいるはず。近年は若いうちにお金をためて早期引退を目指すFIREムーブメントが盛んになっています。中国の貧しい村に生まれながら約1億円をため、31歳にして引退生活を送ることに成功したKristy Shen氏が、自身の人生について語っています。

They became millionaires and retired at 31. They think you can do the same | Life and style | The Guardian
https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2019/jul/24/millionaire-retired-30s-kristy-shen-bryce-leung-fire

作家のKristy Shen氏は中国の貧しい地方で生まれ、8歳の時に両親と共にカナダに移住しました。両親はカナダで働き中国で暮らす残りの家族にお金を送り続ける生活で、Shen氏は父親が安いテディベアを買ってくれようとした時も、申し出を断り、その分を中国に送金するよう頼む子どもでした。成長したShen氏は作家になるという夢を無視し、「将来的な稼ぎに対する学費の割合がもっともいい大学のコースは?」という考えに基づきコンピューターエンジニアになる道を選んだとのこと。また、同じくコンピューターエンジニアとして働いていたBryce Leung氏と結婚してからは、家庭内で不一致があった時には「どっちが数学的に最善の提案をできるか」で意見の一致を図ってきたそうです。

2012年、夫のLeung氏は「3年以内に2人の財産が100万カナダドル(約8000万円)に達し、30代で引退できる」という試算を出しました。Shen氏は「そんなはずはない、何かが間違っている」と反論しましたが、フタを開けてみると、それから3年後、Leung氏の試算通りに引退することができたのでした。

by Alexander Mils

2人のケースは、近年になって人気が増しているFIREムーブメントの1つです。FIREムーブメントの「FIRE」は「Financial Independence, Retire Early(経済的独立と早期退職)」という意味。

2019年時点でShen氏とLeung氏は36歳と37歳という年齢で引退生活を楽しんでいます。


コンピューターエンジニアとして働いていた2人は仕事を辞め、日本・イギリス・ポルトガル・タイなど、世界各国を旅して回っています。2人がどうやって早期退職を可能にしたのかということを発信する「Millennial Revolution」というブログは人気を博し、著書の「Quit Like a Millionaire」では幸福への道としての経済的独立について解説し、投資としての「家を持つこと」を否定しています。

2人が旅立った時、家族や友人たちは2人が無一文になって帰ってくると考えていたそうですが、予想に反し、2人の旅の費用はトロントの自宅で1年を過ごすよりも安く、投資ポートフォリオは成長したため、出発前よりも多くの資産を持つことに成功しました。

by Arnel Hasanovic

早期退職のため、2人はFireムーブメントの慣習である「家を買うための頭金をためる」ことから始めました。お金は着実にたまっていったものの、住宅の価格が高騰したために、頭金のためのお金がたまるかどうか、2人は自信が無くなったそうです。しかし、7年間の努力によって50万カナダドル(約4000万円)を貯めることに成功し、9年間の節約と、20万カナダドル(約1600万円)の低リスク投資により、早期引退に成功したわけです。

FIRE ムーブメントには「4%ルール」というものがあります。これは、年間支出額の25倍にしたものを引退に必要な資金と定義するもの。2人の年間支出額は4万カナダドル(約300万円)だったため25倍すると100万カナダドルになります。

2人は何もかもを我慢したのではなく、「交通手段」「家」「食べ物」の3点を節約箇所に定めました。自分たちの行動を追跡し節約できる箇所を特定し、外食を避け、公共交通機関とカーシェアを利用し、賃料を安くするために繁華街から離れたところに家を持ちました。行動を省みる前のLeung氏はビールに月400カナダドル(約3万2000円)を費やしていたそうですが、家賃に匹敵する大支出であることをShen氏に指摘されてからは、ビールをやめたそうです。

by Le Creuset

記事作成時点で2人は低コストのETF(上場投資信託)で資産運用を行っており、将来的なお金はこれにより生まれると考えていますが、何かが起こった場合の「バックアップ」ももちろん用意しているとのこと。「私たちは信じられないほどに悲観的なので、安全網を作成しています」とShen氏は語っています。

Shen氏は四川省の村で生まれ、幼少期から「もしあなたのお金がつきても、政府は何もしてくれない。セーフティーネットは存在しない」と言われてきました。「お金は世界で一番重要なものだ」と、両親は幼いShen氏に叩き込んだそうです。

Shen氏の父親はShen氏が生まれる前の10年を移住労働者収容施設で過ごした後に学生としてカナダに移住。その2年後にShen氏と母親もカナダに移り住みました。学生アルバイトとして皿洗いで稼いだわずかなお金を、父親は中国へと送り続けたとのこと。幼い頃を中国で過ごしたShen氏は貧しさを経験したことから、「基本的に壁がちゃんと4つある家に住んでいて、両親がいて、食べ物があれば、あなたは豊かであるということなんです」と述べています。

またShen氏は「お金によって動かない」ということが特権であると語っています。「『お金じゃない』とか『金は天下の回り物』とか『たかがお金』と言う人は、一度も貧乏を経験したことがない人です」と語り、子ども時代の経験がなければ早期引退を考えなかっただろうとしています。

by wang xi

引退後は幸せを感じているShen氏ですが、働いている時は不安とうつに悩まされていたことから、2019年時点で、過去の自分のように悩む人に対して「薬としてのFire」について声を発しています。一方でLeung氏は医師から「不愉快なほど幸せを感じている」と診断されたそうです。

エンジニアとしての仕事に戻る可能性はあるか?と尋ねられたShen氏は「自分が従業員として使えるとは思えません。素直にルールに従うにはオープンマインドになりすぎてしまいましたから。マトリックスから一度抜け出すと、そこには戻れないんです」と笑って答えました。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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