サイエンス

人間のおしっこはなぜ黄色いのか?

by Libor Háček

ほとんどの動物は尿や(ふん)という形で、老廃物を定期的に体外へ排泄(はいせつ)します。個人差や体調による違いはありますが、人間の尿は基本的に淡黄色から淡黄褐色をしているもの。一体なぜ尿の色が黄色っぽくなるのか、海外メディアのThe Conversationで解説されています。

Curious Kids: why is urine yellow?
https://theconversation.com/curious-kids-why-is-urine-yellow-117747

尿を作るのは腎臓です。腎臓は、人間でいうと腰より少し上あたりの背中側に2つ並ぶ臓器で、まるでそらまめのような形をしています。腎臓は血液中の水分・塩分・化学物質のバランスを適切に保つ働きがあり、血中の水溶性廃棄物が過剰にならないようにします。

腎臓に流れる血液は、毛細血管が糸玉のように集まった糸球体に流れ込みます。糸球体は血液中に含まれる水分が漏れ出るようになっていて、血液は糸球体を覆い包むボーマン(のう)にろ過される仕組み。糸球体とボーマン嚢でろ過された液体が「原尿」です。

by Ed Uthman

ボーマン嚢には尿細管と呼ばれる細い管がつながっていて、尿細管には毛細血管が絡まりついています。原尿が尿細管を通る間、体の状態に応じて水分やブドウ糖、ナトリウムやカリウムなどが再吸収され、毛細血管内を通る血液に取り込まれます。原尿の90%以上の成分が再吸収されて残ったものが最終的に尿となり膀胱(ぼうこう)に貯蔵されるというわけです。

余った栄養分だけではなく、老廃物も腎臓で排出されます。例えば、タンパク質を分解して得られる副産物は最終的に尿素へ変換され、腎臓へ送られ、尿の一部として排出されます。なお、人の尿を発酵させると肥料として利用できるのは、尿に含まれる尿素がアンモニアに変換されるため。

尿素以外に老廃物として排泄されるものに「ウロビリン」があります。


古くなった赤血球や異常な赤血球は、脾臓という臓器でマクロファージによって破壊されます。破壊された赤血球から得られるアミノ酸や鉄分子は回収されて再利用されますが、赤血球に含まれるヘモグロビンを分解して得られる「ビリルビン」という物質は肝臓から胆汁として排出されてしまいます。

このビリルビンが腸内細菌の働きによって還元されて生まれるのが、「ウロビリノーゲン」という物質。ウロビリノーゲンは腸から体内に再吸収され、腎臓でろ過されます。ウロビリノーゲンは無色ですが、尿中で酸化すると黄褐色のウロビリンに変化します。このウロビリンがおしっこの黄色を生んでいて、おしっこの濃度とウロビリンの量によって色が変化するというわけ。

例えば、摂取水分量が多く尿が薄くなると尿の色も薄くなり、水分が少ない脱水状態になると尿の色は黄色から濃い褐色に変わっていきます。また、「おしっこの色で体調がわかる」といわれることがありますが、これは体の働きに異常をきたすと、ビリルビンが尿の中に多量に含まれてしまったり、ウロビリノーゲン・ウロビリンの量が極めて少なくなってしまったりして、尿に含まれるウロビリン量が大きく変化するためです。

ただし、ウロビリンのみではなく、摂取した食べ物・飲み物に含まれていた色素などもおしっこの色に大きく影響します。そのため、体調が気になる人はおしっこの色だけではなく匂いや泡立ちも十分にチェックする必要があります。

by Dominic Alves

ちなみに、腸で再吸収されなかったウロビリノーゲンは最終的にステルコビリンという物質に変換されます。このステルコビリンは大便の茶色のもとであり、おしっことうんこの色はウロビリノーゲンという同じ物質に由来しているといえます。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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