乗り物

何千人もの人が車上生活を強いられどこにもいけないという現実がある


アメリカでは住宅コストが異常なまでに上昇したことから、「家ではなく車で暮らす」という選択肢をとった人が多く存在します。車暮らしの場合はホームレスとは違い住居があるために、生活が困窮しているのに社会サービスを受けられないという実態があるとのこと。車暮らしの人々にも救済の手を伸ばすべく、ワシントン大学の人類学者であるGraham Prussさんが調査にのり出しています。

Without parking, thousands of Americans who live in vehicles have nowhere to go
https://theconversation.com/without-parking-thousands-of-americans-who-live-in-vehicles-have-nowhere-to-go-114256

アメリカでは住宅でなく自動車で住むことを選ぶ若者が増えていることが、かねてから指摘されていました。しかし、アメリカ合衆国住宅都市開発省が2005年以来このような自動車暮らしの人々の数を把握しようとしても、うまくいかなかったとのこと。

「自動車に住む」ことを選ぶ若者がアメリカでは増えつつある - GIGAZINE


というのも、自動車暮らしをしている人が「ホームレス」なのか「退職後の余暇を過ごす人々」なのかという区別がついていなかったため。アメリカではメインの家を持ちつつも、寒い季節には暖かい地方で車暮らしを楽しむ退職者が存在し、「Snowbirds」と呼ばれています。両者を見分ける方法がないため、シェルターや公共の場で暮らす人々の数を把握する住宅都市開発省のレポートから、RVで暮らす人々は全て除かれたとのこと。

by Airstream Inc.

しかし、他に手段がなくRVで暮らす人々の多くは、貯金や貸借歴がなく、車暮らしから抜け出したくとも抜け出すことができません。一方で、駐車スペースの料金を払える場合は救済の対象にならず、車暮らしの人々は社会サービスや地域コミュニティーからブロックされていると感じているとのこと。

シアトルでは過去25年の好景気によって住宅コストがあり得ないほどに上昇し、ホームレスの数が増加しました。シアトルのあるキング郡では(PDFファイル)2008年から(PDFファイル)2018年の10年間で、車やトラックなどで暮らしている人の数は881人から3372人に激増しました。

車暮らしの人々を保護するためには、まず正確な数の把握が必要だということで、Pruss氏は非営利団体の活動として1500人もの自動車暮らしの人々と接触を行いました。自動車暮らしをしている人は単身であることもあれば家族であることもあり、自動車暮らしを行うようになった理由は災害、雇用の問題、住宅コストの上昇などさまざまだったとのこと。多くの人々が異常に高い住宅コストを避けつつも慣れ親しんだ地域で暮らす手段として車暮らしを選択しており、中にはテック企業で高い報酬を得ながらも車暮らしを選択する人も存在します。


以下の記事から、実際にGoogleで働き年収として1700万円を得つつも会社の駐車場で車暮らしをする人々の実態を読むことができます。

「会社で食べて寝て生活する」という考え方・Googleの場合 - GIGAZINE


実際に車暮らしの人々と接触する中で、Pruss氏ら調査チームが「公共の駐車場で車暮らしする人々」の特徴として挙げたのが以下の6点。以下6点のうち最低3つを満たせば「車に住んでいる」という認識になる指標を作成しました。

1:車の前方あるいは後方の窓が遮断されている
2:左右片側のどちらかの窓が遮断されている
3:窓の内側に凍っていない結露がある
4:少なくとも1つの窓が部分的にあいている
5:ジェネレーターや自転車、貯蔵容器など居住を示すものが車の外側に取り付けられている
6:車内あるいは車の横に大量のアイテムが入ったプラスチック容器が置かれている

シアトルやキング郡はこの指標を用いて2017年と2019年にホームレスの人口調査を実施。この指標のおかげで居住者の生活を妨害することなく正確に車暮らしをする人の数をカウントできたとのこと。指標を用いた2018年の調査ではキング郡の野外で暮らす人の53%が車暮らしであることが示されたそうです。


車暮らしをする人々の居住地を認識した後の次なるステップは、保護が必要な人々に、車暮らしで必要になる安全な空間を提供することです。多くの都市が車暮らしの人々に対して移動を要請しますが、このアプローチは人々を孤立させ不安定にすることに加え、社会福祉サービスや法執行機関のコストを増大させます。アメリカの他都市と同様にシアトルには社会サービスに結び付いた駐車スペースが存在しないことから、居住者は公共の駐車場に車をとめる以外の選択肢を持ちません。このような人々には無断駐車で罰金を科されたり車がレッカーされたりといったリスクが常に伴い、いつまでたっても安定することができないという問題があります。

多くのコミュニティが建物としてのシェルターを持つことに困難を抱えているという状況で、数多くの人々が車を居住場所にしている現実があります。都市や州はこの現実を受け止め、社会サービスにアクセス可能な安全な場所を提供すべきだとPruss氏は述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
なぜ路上で生活するホームレスになることを選んだのかという知られざる10の理由 - GIGAZINE

「100ドルをもらうか?コードを教わるか?」ホームレスがアプリ開発に成功した秘話 - GIGAZINE

シリコンバレーにあるアメリカ最大のホームレスキャンプ「ジャングル」の実態 - GIGAZINE

Amazonがホームレスを労働力として雇った結果は? - GIGAZINE

「自動車に住む」ことを選ぶ若者がアメリカでは増えつつある - GIGAZINE

in 乗り物, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.