アート

子どもを美術館に連れて行く時のヒント


幼い頃からアートに触れることで、子どもの美的感性は発達し、幼い子どもでもアートに対してしっかり複雑な反応をすることが研究で示されています。ビジュアルアーティストでありオーストラリアのキャンベラ大学で教員養成教育の講師も務めるナオミ・ザウワー氏が、子どもを美術館に連れて行くときにどのようにアートと触れさせるのが良いかについて語っています。

How to get the most out of a visit to an art gallery with kids
https://theconversation.com/how-to-get-the-most-out-of-a-visit-to-an-art-gallery-with-kids-214272


ザウワー氏によると、まず「子どもの興味を引き出すように努める」ことが重要とのこと。例えば、スーパーヒーローやキュートなキャラクターを子どもが好んでいる場合、独特の衣装を持つ部族を描いたアートなどに子どもが注目する場合があります。また、多くの美術館はアートに関するアクティビティに参加できるプログラムも実施しており、中には立体を描いたモダンアートに触れてもらうためにその形をトーストで再現する料理教室を開催しているところもあります。ザウワー氏は「このような体験は、実際の絵を見た時にまったく新しい味わいを生みます。子どもたちは、その絵を見る前から作品に夢中になるはずです」と述べました。


アートおよび博物館教育の専門家であるマリリン・J・S・グッドマン氏が執筆した「Children Draw」という書籍では、思春期までの子どもが絵を描くことの意味と価値を説いているほか、親と子どもの両方にとって美術館訪問をより有意義に、より楽しくする方法についても提案されています。グッドマン氏によると、子どもを美術館に連れて行く場合にはあまり混雑しない平日を選んだ上で、スケジュールにはカフェで休憩する時間も入れた方がよいとのこと。また、重要なポイントとして、せっかく訪れたからといってすべての展示を見ようとはせず、鑑賞は連続で1時間程度にとどめることが大事だそうです。


アートを目にした子どもたちに対しては、「この展示について何か気付いたことはある?」「この作品は何を表していると思う?」と尋ねることが重要です。教育では、「見る」「考える」「不思議に思う」という思考ルーチンが、子どもの好奇心を刺激し、子どもが注意深く観察して思慮深く解釈することを促すとされています。一部のギャラリーは、「この絵の中で何が起こっていますか」「何がそれを表していますか」「他に何が見つかりますか」という3つの質問で構成される「Visual Thinking Strategies(ビジュアル思考戦略)」を使用して、観察と解釈を深めるサポートをしています。子どもにアートを見せる場合にも、必ずしもその作品を気に入ってもらう必要はなく、子どもが作品を好まない場合は「なぜこれが嫌いなの?」と尋ねることが重要だとザウワー氏は述べています。


1時間程度の鑑賞を終えた後は、見たものを表現する時間を取ることが望ましいです。ほとんどの美術館には、座って絵を描くことができる座席があるため、スケッチブックを用意して美術館で見たものや感じたことを子どもに描いてもらうことも有意義です。また、彫刻や絵画と同じポーズをとってみることも、アートに触れた後の楽しいアクティビティとなります。

多くの美術館やギャラリーでは、子どもや家族向けのプログラムを提供しています。また、「木が10本描いてある絵はどれ?」など、絵が子どもたちの興味を引くように工夫したゲームやクイズなどを用意しているところもあります。美術館での有意義な体験は、子どもの芸術への愛情を育み、感性や好奇心を生き生きと駆り立てることができるとザウワー氏は語りました。

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in アート, Posted by log1e_dh

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