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スマホやPCなどの電化製品から出る「電磁波」は人体に悪影響をおよぼすのか?

by Brad Pouncey

現代社会において電気を動力とする電化製品を一切使用せずに生活を送るのは極めて難しいことです。しかし、日ごろ肌身離さず持ち歩くスマートフォンから、PC・TV・冷蔵庫・エアコン・電子レンジ・洗濯機などなど、電化製品は溢れすぎているともいえます。そんな電化製品から放出される電磁波は、果たして人体に悪影響をおよぼすのか否かについて、科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtがまとめています。

Could Your Phone Hurt You? Electromagnetic Pollution - YouTube


電気は人間の生活の至る所で使われています。現代人の生活必需品レベルとなっているスマートフォンやPC……


町の街灯や自動車まで、あらゆるものが電気で動いています。電気は人間の生活をより便利で安全で楽しいものに変えてくれますが、その電気が人体に与える影響について頭を巡らせる人はほとんどいません。


電気とは電荷の動きにより発生するさまざまな現象を指します。


電荷の動きが電界および磁場を発生させ、エネルギーを運びます。


この現象を「電磁波」と呼びます。


電磁波は電磁スペクトルの違いで、さまざまな種類に変化します。ガンマ線X線のような人体に悪影響をおよぼす可能性のあるものから、紫外線や可視光線……


赤外線や電子レンジで使用されるマイクロ波、ラジオで使用される電波といったものまで、すべて電磁波の一種といえます。


可視光線以下の長波は、主に人間が使用するテクノロジーで用いられている電磁波であり、携帯電話やWi-Fiルーター、電線、家電製品とあらゆるものから発せられています。


こういった電化製品の発する電磁波が人間の体の分子に影響をおよぼすことはありませんが、ある種の電磁波は筋肉や神経を刺激したり、体の毛を振動させることがあります。


電子レンジはマイクロ波を用いて食べ物の中に含まれる水分子を激しく振動させることで、食べ物を温めます。


これと似た現象が人間においても起こっています。ビーチで太陽を浴びていると暖かさを感じ、肌が熱くなってくるのは、これは太陽から発せられる赤外線が、電子レンジの中の食べ物と同じ現象を皮膚で起こしているためです。


一般的にはこういった電磁波は無害なものです。しかし、産業革命以降、我々人間の生活の中にはあまりに多くの電磁波を放射するモノが増えてしまいました。これが実際に危険かどうか、というのがこのムービーのメインテーマとなります。


1979年に送電線の近くで暮らす男の子が白血病になり、ここから電磁波と白血病を結びつけた研究結果が発表されました。この論文では白血病と電磁波の直接的なつながりを説明することはできなかったものの、いったんこのようなアイデアが登場してしまったため、その後、電磁波の危険性を訴える数千の研究が公開されていくこととなります。

多くの人々が携帯電話や家電製品から出る電磁波に敏感であると主張しており、頭痛や吐き気、皮膚反応、疲労などを訴えています。こういった症状は日々報告されているものであり、たいしたものではないと感じるかもしれません。


しかし、いくつかの研究でははるかに不安になる結果が出ています。例えば、電話を常に片側の耳で取っている人の脳で、腫瘍が見つかったなどです。


電磁波の中でも高エネルギーのものは、低エネルギーのものとは異なる効果を持ちます。例えばX線は細胞内のDNAに即座に損傷を与えますが、ラジオなどで用いられる電波ではそういった影響は出ません。


それでは低エネルギーの電磁波ならば長期的に浴び続けていても人体に悪影響は出ないのでしょうか。


この疑問に答えるのはとても難しいところです。


電磁波に関する何千もの研究結果が存在しており、その中でKurzgesagtが見出したのは、「科学がどのように伝達されるべきか」だそうです。電磁波に関する研究の多くは、パニックを引き起こすためであるかのような引用のされ方をしており、これが問題であるとKurzgesagtは指摘しています。


例えば、自己申告に基づく人口調査が行われたとします。


調査の中で脳腫瘍患者に対して、ここ数年間で携帯電話をどの程度使用したと思うか尋ねたとします。問題なのは、あくまで自己申告に基づく調査であり、人間は物事を誤解しがちであり、簡単に影響を受けるため、回答が信頼できないものである可能性があるという点です。


しかし、研究やメディアの報道では、自分の伝えたいことに最も適した調査結果を引用したり、過激な見出しをつけたりすることがあります。


例えば、携帯電話から生じる電磁波がラットやマウスのガンを引き起こすか否かを調査した研究では、どういうわけか雄のラットのみガンが見つかりました。


どういうわけかマウスではガンが一切見つからなかったのですが、研究は「携帯電話の電磁波がガンを引き起こす」という形で公開され……


そのまま世の知るところとなってしまいます。


もうひとつの残念な事例はWHOが、公式に携帯電話などで使用される無線周波数を発がん性のあるかもしれないものと分類してしまったことです。これはあくまで「がんを引き起こす可能性がある」というデータがいくつかあるというだけであって、「無線周波数ががんを引き起こす」と証明されたわけでは決してありません。


Kurzgesagtが徹底して過去の調査研究などを調べた結果、電磁波が人体に悪影響をおよぼすという一貫した証拠は見つからなかったとのこと。


もちろん電磁波や電磁放射線の影響を指摘する研究も多数存在しますが、それらは主に若干の矛盾をはらんでいるとのこと。


明確な因果関係がある場合は、すでに我々の知っているところとなっているはずであり、現状の科学ではPCや携帯電話、TVなどの家電製品から放出される電磁波について心配すべきことは「ない」とKurzgesagt。


それでは電化製品から放出される電磁波が人体に悪影響をおよぼしていると主張する人々は一体何なのでしょうか。研究によると、電磁波の悪影響を訴える人々は「ノチェボ効果」の影響を受けている可能性があるとのこと。


頭痛がしてPCの電源を切ったら気分が良くなってきた……という経験をした人は、電磁波と頭痛を結び付けて考えるようになるかもしれません。そのような疑心により、人体に悪影響を生じる可能性は十分にあります。こういった人々に対する処置は存在しないため、人々は「自分の意見を真剣に聞いてくれていない」と感じ、勘違いがさらに加速し状況を悪化させていく可能性もあります。そのため、こういった人々も適切に扱われるべきです。しかし、記事作成時点では安全限界以下の電磁波が人体に悪影響をおよぼすという確固たる証拠は存在しない、という点には注意する必要があります。


なお、Kurzgesagtはクリエイター支援プラットフォームのPatreonでパトロンを募集しています。最安だと月額2ドル(約220円)から支援が可能です。

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in サイエンス,   動画, Posted by logu_ii

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