サイエンス

生理前の暴走する食欲に歯止めをかける方法

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月経前症候群(PMS)」には「頭痛」「だるさ」といった身体的な症状から「無気力」「感情の起伏が激しくなる」といった精神的な症状までさまざまなものがありますが、その1つとして「食欲が増す」というものも存在します。なぜ生理前になると食欲が増してしまうのか、食欲を取り除くにはどうすればいいのかを南カリフォルニア大学産科婦人科准教授のサラ・トゥーグッド氏が解説しています。

Ack! I need chocolate! The science of PMS food cravings
https://theconversation.com/ack-i-need-chocolate-the-science-of-pms-food-cravings-116341

PMSはホルモンの変動と、その神経伝達物質への影響が原因と考えられています。症状は特に、卵子が放出された後から生理が始まるまでの黄体期に現れ、大部分は生理が始まってから3~4日すると消えていきます。

生理前に何らかの症状を認識している女性は全体の85%を占めるといわれていますが、実際に医師からPMSの診断を下されている女性は20~40%に過ぎません。一方で、研究者はPMSの診断が下されていない健康な人でも生理前にPMSの症状が出るのは当たり前のことであると述べています。「食欲が増す」という症状も一般的で、研究の1つではPMSだと診断されているかどうかに関わらず、生理前の女性は1日あたりのカロリー摂取量が500kcalも増加することが示されています

この時、女性が手を伸ばしやすい食べ物は炭水化物脂肪お菓子などで、特に炭水化物と脂肪のコンビネーションであるチョコレートが人気です。興味深いのは、PMSの診断があるかどうかに関わらず生理前の食欲増進は見られるのですが、PMSの診断を受けている人は総合的なエネルギー&栄養素が増加するのに対し、診断がない人はエネルギーと脂肪の摂取が増加する傾向にあるそうです。

◆食欲が増加する原因は?

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食への渇望がどこから来るのは正確にはわかっていないものの、「女性は無意識のうちに食べ物を薬物治療の道具として使っている」と主張する研究者もいます。炭水化物を摂取すると神経伝達物質であるセロトニンレベルが上昇し、幸福感につながります。PMSの症状には気分の落ち込みなどが含まれるため、炭水化物を多く摂取することでセロトニンレベルを上げ、女性は無意識のうちに気分をよくしようとしているのだ、という理論です。実際に、食生活や薬物の投与によって故意にセロトニンレベルを上昇させた実験では、被験者の食欲増進が抑えられ、気分も標準値に戻ったとのこと。

また「食べることによって飢えがなくなり気分がよくなることを通じて、女性はPMSの不快感を取り除いているのではないか」という仮説や、「低エストロゲンレベルと高プロゲステロンの組みあわせによって食欲増進が起こるのではないか」という仮説も存在します。

◆食欲を減らすにはどうすればいいのか?

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まず第一に、自分の体が月ごとのサイクルの中でどのように変化するのかを自覚することが大切です。月ごとのサイクルは個人差があるので、自分にはどのような症状が現れるのかを認識し、それ「異常」だと思わず当たり前のこととして受け止める必要があります。

また、定期的な運動やリラクゼーションの時間を設けることのほか、呼吸法やヨガ、瞑想(めいそう)、マッサージ、規則正しい睡眠などを通してストレスを減らすといった、日常生活の変化も症状緩和には役立ちます。この他、専門家の手を借りて認知療法やバイオフィードバックを行うのも手段の1つとのこと。

そして、食事療法としては以下のようなものが挙げられています。

・全粒穀物、玄米、大麦、豆、レンズ豆を含む複合炭水化物を選ぶこと
・脂肪、塩分、砂糖を減らす
・カフェインやアルコールを避ける
・カルシウムが豊富な食品を食べる。牛乳やチーズ、ヨーグルトといった乳製品を窃取した女性は腹部膨満感や腹部けいれん、食欲、特定の食品に対する渇望が少ないことが示されています。これは乳製品に含まれるカルシウムがセロトニンのバランスの調整に役立つためだとみられています。
・体内の水分や膨満感に関係するマグネシウムや、ビタミンB6、ビタミンEといったサプリを取ること

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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