生き物

体長は3メートル超、重さはダチョウの3倍と推定される巨大な鳥の化石が発掘される

By EcoSound

ダチョウは現生する鳥類の中で最大の鳥で、オスの成鳥では体高約2.5m、体重約150kgほどです。しかし、クリミア半島でダチョウの大きさをはるかに上回る体長3m超、体重450kgと推定される鳥類の化石が発見されました。今まで発見された大型鳥類は南半球に集中していましたが、今回発見された化石は北半球でも大型鳥類が生息していたという可能性を示唆しています。

A giant early Pleistocene bird from eastern Europe: unexpected component of terrestrial faunas at the time of early Homo arrival: Journal of Vertebrate Paleontology: Vol 0, No 0
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/02724634.2019.1605521

Giant 11-Foot Bird Discovered in Europe Would Have Weighed Almost Half a Tonne
https://www.sciencealert.com/evidence-of-a-bird-several-times-heavier-than-an-ostrich-found-in-an-unexpected-part-of-europe

2018年夏、クリミア半島で高速道路の建造中に偶然に洞窟が発見され、ボリシアック古生物研究所から研究チームが派遣され、発掘調査にあたりました。研究チームはマンモス・サーベルタイガー・ハイエナ・馬・オオカミなどの化石に加えて、あまりにも巨大な鳥類の化石を発掘しました。

巨大な鳥類としてはダチョウが有名ですが、ニュージーランドにはジャイアントモア、アフリカのマダガスカル島にはエピオルニス、オーストラリアにはドロモニルスがかつては生息していました。しかしそれらの巨大鳥類の化石は主に南半球で発見されており、今回の舞台となったクリミア半島からははるかに離れています。研究チームは発見された巨大鳥類の化石はエピオルニスだと仮定していましたが、骨の形状を解析した結果、形状がエピオルニスとは完全に異なっていることを発見。研究チームはこの巨大鳥類を「Pachystruthio dmanisensis」と名付けて発表しました。

今回発見された化石は北半球で発見された巨大鳥類では最大となる化石です。化石に基づいて大きさを推定すると、体長は推定3.5m、体重はおよそ450kg、体重だけで見ると、ジャイアントモアの約2倍、ダチョウの約3倍、そしてホッキョクグマの約2倍となります。

以下の画像のA、C、E、Fが今回発見されたPachystruthio dmanisensisで、B、Dが以前にジョージアで発見された巨大鳥類の化石。比較することでPachystruthio dmanisensisの巨大さがよくわかります。


また、北半球での巨大鳥類の化石の発見例は今までで5件あり、いずれも黒海周辺に集中しています。以下の図の4が今回発見された化石を示しています。


今回クリミア半島で発見されたPachystruthio dmanisensisとジョージアで発見された巨大鳥類は同種なのかは不明で、ダチョウと関連性を持つ種なのかは研究中とのこと。研究チームは、今回発見された化石の形状からPachystruthio dmanisensisがかなり速く走れた可能性を指摘。Pachystruthio dmanisensisの化石と同時にサーベルタイガーの化石が発見されていることからわかる通り、Pachystruthio dmanisensisがクリミア半島でまだ生きていた時代には、大型の肉食獣もまた生息していたと考えられるため、研究チームは「Pachystruthio dmanisensisはそういった大型肉食獣から逃れるためにその脚力を発達させたのでは」と仮説を立てています。

By estivillml

また、今回発見された化石はいずれも洞窟内に「安置」されており、研究チームは同じく黒海近辺で化石が発見されているヒト属の一種ホモ・エレクトスがPachystruthio dmanisensisを食べていたのではないかと推測しています。

なお、発見された中で世界最大の鳥類はエピオルニスの一種である「ボロンブ」で、その推定体長は3m、推定体重は860kgとなっています。

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in 生き物, Posted by darkhorse_log

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