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ナチスのUボート用施設がデータセンターとして生まれ変わろうとしている


現代ではAmazonGoogleAppleMicrosoftといった世界の名だたる大企業がクラウドサービスを提供しており、その需要は年々高まり続けています。そんなクラウドサービスに活用されるデータセンターとして、ナチスのUボート用防空施設を再利用するというプロジェクトが進行しています。

MRS3 | Interxion
https://www.interxion.com/Locations/marseille/mrs3/

Why a former Nazi sub base in Marseille is becoming a data center | Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2019/06/why-a-former-nazi-sub-base-in-marseille-is-becoming-a-data-center/

この計画を行っているのは、ヨーロッパで配信用デジタルメディアサービスやクラウドサービス、ネットワークプロバイダ向けのプラットフォームを提供するInterxionです。Interxionはクラウド事業の需要の高まりを受け、フランス・マルセイユに次々とデータセンターを建設しており、4300平方メートルの広さを持つ第2データセンターの建設に平行して、第3データセンターの建造を決定。第3データセンターは1から作り上げるのではなく、マルセイユにある「ナチスのUボート用防空施設」を再利用することにしました。

在りし日のこのナチスのUボート用防空施設の画像が以下。


このUボート用防空施設は、第二次世界大戦中にナチスが地中海に面するマルセイユ港に建造し始めたものの、完成までには至らず途中で放棄したもの。75年以上も建設中のまま放置され、屋内は落書きされ、ホコリの温床となっていました。


そんなUボート用防空施設がデータセンターとして再利用されようとしている主な理由が立地です。マルセイユは地中海の中でも最大の港湾都市として知られ、ヨーロッパのみならず、中東、アフリカ、アジアにつながる13本の海底ケーブルが接続されており、既に建造されているデータセンターとカイロ・ドバイ・サウジアラビアとのレイテンシはわずか6ミリ秒以内とのこと。


さらに、このUボート用防空施設の周囲は国有地としてフランス国家憲兵隊によって守られており、警備上の心配もないそうです。

一方、港に近いために潮風や、船舶から排出される微粒子などが腐食などを引き起こすという問題があります。そのため、データセンターの発電機や空調などの排気管には特殊なフィルターを搭載する予定だそうです。竣工は2019年内とのことで、Interxionが公開している施設完成時のイメージが以下。


InterxionはArs technicaの取材に対し、「フランスはEUに属するため、データセンターは法的にも財政的にも安全であり、マルセイユは46カ国と非常に低いレイテンシで接続できる立地で、中東などの市場にも適しています。既にNetflixのようなデジタルメディアをアラビア語圏に配信している会社と契約しており、およそ4億人がマルセイユのデータセンターからムービーをダウンロードしています」とコメントしています。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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