メモ

なぜカニバリズム(食人)を行う人がいるのか?

by Alexei Scutari

「カニバリズム(食人)」はこんにちの社会ではめったに起きることではないものの、複数の事例が知られています。フランスの研究チームが、精神科施設で過去に食人を行った患者5名を調べたところ、2つの傾向が見られたとのことです。なお、ドキュメンタリー映画「アンデスの聖餐」で知られるウルグアイ空軍機571便遭難事故の際の事例のように緊急避難的に行われる食人は「カニバリズム」には含まれません。

The Psychopathological Profile of Cannibalism: A Review of Five Cases. - PubMed - NCBI
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31157920


Scientists Study 5 Cases of Pathological Cannibalism. Narcissism Partly Explains Heinous Act.
https://www.livescience.com/65643-cannibalism-pathology-case-study.html

研究はソフィー・レイモン博士、アン・ソフィー・レジェ博士、イヴァン・ガスマン博士が、フランス・ヴィルジュイフにある精神科医療施設「UMDアンリ・コリン」の患者を対象に実施したもの。


レイモン博士らによると、カニバリズムを行った人を「重度の統合失調症」(3例)と「性的嗜好障害(パラフィリア)に関連するサイコパシーかつサディスティックな混合性パーソナリティ障害」(2例)に分類しました。

統合失調症患者の場合、行ったカニバリズムは「生き残るには、他を同化するか皆殺ししかない」という絶滅への恐怖への自衛反応だとのこと。そのため、突然の感情の爆発と共に発生していました。また、研究対象となった3例ではいずれも患者は両親の体の一部を食べていました。カニバリズムに至るまでに、親子関係で感情的な不和や反抗があったこともわかりました。

一方、パーソナリティ障害の場合、患者は社会的なタブーには無関心で自我と自己愛が問題の中心にあり、根深い欲求不満を尋常ではない行動によって克服したいという願望があります。カニバリズムの発生は「屈辱を味わわされた」と感じたことが引き金となっていて、カニバリズムにより自尊心が高まり、緊張が緩和されるとみられます。なお、カニバリズムに性的行為も伴うとのこと。

なお、この調査は対象がわずか5例で、いずれも男性であったことから、研究者らは「他の事例に当てはめることを意図したものではない」と語っています。また、個々の症例も複雑で、カニバリズムにつながりうる環境的要因・個人的要因を探るにはさらなる分析が必要であり、「行為の本質は謎のまま」だとのことです。

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in メモ, Posted by logc_nt

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