レビュー

シトロエンが手がけたドライブが快適になる魔法のメガネ「シートロエン」を実際に使用してみた


コンフォート(快適さ)」をキーワードに車に向き合い続けてきたフランスの自動車メーカー・シトロエンが、100年の歴史で初めて手がけたメガネ「SEETROËN」が2019年5月28日に日本に上陸しました。「CITROËN(シトロエン)」と「see(見る)」を引っかけた、ある意味でエスプリたっぷりな名前のレンズレスなメガネは、フランス本国では「かけるだけで乗り物酔いを防ぐメガネ」として医療機器に認定されているメガネだとのこと。そんなシートロエンを乗り物酔いに弱いGIGAZNE編集部員が使用したら一体どうなるのか、実際に試してみました。

ドライブを快適にする魔法のメガネSEETROEN、登場! | シトロエン公式サイト - Citroën Japon
https://www.citroen.jp/seetroen/

SEETROEN リラクゼーションメガネ | CITROEN,SELECTION,SEETROЁN | | シトロエン・DSオンラインショップ
http://www.citroen-onlineshop.jp/shopdetail/000000000477/

「シートロエン」が一体どんなメガネなのかは、以下のムービーを見ると一発で分かります。

SEETROËN - The first glasses that restore the taste for Travel by Citroën - YouTube


◆外観
これがシートロエンです。車や交通機関で外出する際にも邪魔になりにくいケースがついています。


フタは軽くひねるようにして引っ張ると開きます。左右どちらから開けてもOKです。


ケースの中身はシートロエン本体と取扱説明書が入っていました。


これがシートロエン本体です。メガネではありますが、視力矯正用の一般的なメガネと異なり、レンズは入っていません。


ブリッジにはシトロエンのエンブレムが入っています。


フレーム部分は柔軟な素材でできており、広げたり……


ひねったり


つるの部分を折ったりしても問題ありません。


シートロエンには青色に着色された液体が入った環状のチューブが、前と……


横に2つずつ、合計4つあります。


この液体が作る水平線を視界の端にとらえることで、内耳にあるセンサーが受け取る体の「動き」と視覚から受け取る「動き」を同期させ、乗り物酔いを抑えるというのが、このメガネのコンセプトとなった特許技術「Boarding Ring Technology」のメカニズムです。


以下のムービーを見ると、実際にシートロエンを曲げてみたり、青い液体が作る水平線の動きを確かめたりしている様子が分かります。

シトロエン純正のドライブ用メガネ「シートロエン」の外観レビュー - YouTube


着用してみるとこんな感じ。デザインはパリのデザイン会社studio 5.5が担当したとのことですが、公共交通機関の中など人前で使うのにはややためらいを覚える見た目ではあります。


顔を左右に傾けると、青い液体の水平線も傾きます。


顔の横にあるリングで前後の傾きもカバー。


柔軟な素材でてきているので、普段使用している普通のメガネと併用しても顔にフィットします。


◆実際に使用してみる
まず取扱説明書を確認してみます。使い方は「最初に症状が現れたら着用する」と、「10~12分で感覚が調整される」ので、「あとはメガネを外して本を読むなどしてOK」とのこと。また、日本語のシートロエン公式サイトには、「視線はスマートフォンや本などの動かない物体に固定しておく」必要があるとも記載されています。


シートロエンで実際に乗り物酔いが解消するのか確認するため、まずはしっかりと乗り物に酔いにかかる必要があります。というわけで、乗り物酔いになった経験がある編集部員を自動車に乗せて、起伏と急カーブのある山道に向かいました。


以下のムービーは、実際に車に酔った状態を作るために車で山道を走っているところです。かなりの揺れがあるので、同様の映像を見ていて気分が悪くなった経験がある人は、閲覧する際には十分注意してください。

「シートロエン」のレビューのために走った山道 - YouTube


山道にさしかかってから約30分後、激しい上下の揺れとカーブのふわりとした感覚にあっさりと乗り物酔いを発症した編集部員。さっそくシートロエンを装着し、テストを開始します。着用開始後はPC画面に目を落として視界を固定しました。


着用から数分後に「なんとなく楽になったかも!」とつぶやいた編集部員ですが、どうやら偶然道がなだらかになっただけだったようで、車が急勾配にさしかかると再び激しい吐き気に見舞われることに。結局、15分ほど山道を走行しても、乗り物酔いの解消や緩和といった効果は得られず、初回のテストは「山道のように厳しい状況下での車酔いを解消させる効果はない」という結果となりました。


効果には個人差があるという点も考慮し、2回目のテストは別の編集部員で行うことにします。また、今回は揺れの少ない状況での効果を確認するため、山道で車酔いを感じた後は住宅街へと入ってシートロエンの着用を開始し、効果を検証しました。


着用してから15分ほど車に揺られた編集部員は「乗り物酔いが治ったわけではないものの、確かに気分は少し楽になった。ただし、それがシートロエンのおかげなのか、揺れが少ない道を走っているおかげなのかは分からない」と話しました。揺れが少ない場所でなら、実感が得られるほどの効果があるのではないかと期待していましたが、2回目のテストは「気分の改善は確認できたものの、それがシートロエンの効果なのかは不明」という結果になりました。


一度発症してしまった乗り物酔いを解消させることはできませんでしたが、乗り物酔いを抑制する効果はあるかもしれません。そこで、さらに別の編集部員により実施した3回目のテストでは、山道に入る直前からシートロエンの着用を開始しました。また、1回目と2回目のテストを行った編集部員は視力矯正用のメガネをかけていましたが、3回目のテストを行った編集部員は裸眼という違いがあります。約15分ほど山道を走行した結果……


撃沈。風に当たって休むことに。このことから「乗り物酔いを防止する効果はない」という結果が得られました。


合計3回のテストの結果をまとめると、次のとおりとなります。

テスト着用場所着用を開始したタイミング視力矯正具結果
1山道乗り物酔い発症「後」有り乗り物酔い「緩和効果なし」
2住宅街乗り物酔い発症「後」有り乗り物酔い「緩和効果不明」
3山道乗り物酔い発症「前」なし乗り物酔い「防止効果なし」


◆まとめ
実際に使用した結果、乗り物酔いを緩和させたり、防止したりする効果はほとんど得られませんでした。揺れがほとんどない場所を走行しつつ使用した場合のみ、わずかに乗り物酔いが緩和されたケースがありましたが、自信を持って「シートロエンのおかげ」だといえるほどの効果ではありませんでした。

原因は大きく分けて2つほど考えられます。1つ目は「小さな揺れにしか効果がない可能性」です。日本は国土の約70%が山岳地帯だといわれており、国土の約70%を平野部が占めるシトロエンのお膝元・フランスとでは、交通機関に乗っている際の揺れの大きさや傾斜の角度などが大きく違うと思われます。例えば、フランスの首都パリと2番目に大きい都市リヨンを結ぶ高速鉄道は約390kmにわたりトンネルが1つもないということからも、フランスの平野部がいかに広いかが分かります。このため、仮にシートロエンがフランスでの乗り物酔いには有効でも、日本人が乗り物酔いになるような揺れでは効果を発揮できない可能性があります。

2つ目は「日本人には合っていない」ことです。フランス人と日本人とでは顔のつくりが違うため、着用した際にシートロエンが作る水平線が適切な形で視界に入らず、効果が得にくい可能性があります。また、前述のとおり国土の様相が大きく違うため、日本で生活する人とフランスで生活する人とでは、内耳の感覚や視界の揺れが乗り物酔いに与える影響が違うということも考えられます。

フランス本国では乗り物酔いの解消に効果がある医療機器として販売されているシートロエンですが、日本では医療機器として扱われておらず、公式サイトでも「リラックス効果」があるとうたうにとどめられています。


このため、リラックス効果を期待して使用するならともかく、乗り物酔いに対する効果を期待する場合は、乗り物酔い止めとして市販されている医薬品なども併せて準備しておく方が無難だと思われます。

「シートロエン」は2019年5月28日から全国のシトロエンディーラーの店頭で販売されていて、価格は税込1万6200円です。シトロエンオンラインショップでも購入可能ですが、記事作成時点では売り切れとなっており、次回の入荷は2019年6月中旬を予定しているとのことです。

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in レビュー,   乗り物, Posted by log1l_ks

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