Google Earthと金属探知機を駆使して地中の財宝を探すハンター集団「Weekend Wanderers」

「地図とピッケルを片手に宝探し」という冒険小説でしかみないような財宝ハンターは現実にも存在していて、埋蔵金や海底深くの沈没船を探し求め、日々世界中を飛び回っています。世界中の衛星写真が無料で自由に見られるGoogle Earthを提供するGoogleが、Google Earthと金属探知機を使って地中に眠る遺跡や財宝を探す団体「Weekend Wanderers」を特集しています。

Google Earth と金属探知器で宝探し | Google
https://about.google/stories/weekendwanderers/

また、以下のムービーでもWeekend Wanderersの活動の様子をみることができます。

How a metal detector and Google Earth are helping one man uncover the past - YouTube


イギリス南部の……

とある農地。

1人の男性が歩いています。

男性が手にしているのは……

金属探知機です。

手元の機器のスイッチを入れると、探知音が鳴り響きます。

音を聞き逃さないためのヘッドホンをつけて……

男性は金属探知機を使って農地を探索します。

どうやら探知機に反応があった様子。掘り返すと……

昔使われていた銀貨が出土しました。だいたいの場合はビール缶などのゴミであることが多いとのことですが、時折古代のコインや宝飾品、あるいは遺跡が発掘されるそうです。

ピーター・ウェルチ氏は、金属探知機を使って、地中に埋められているであろう財宝や遺跡を探す「財宝ハンター」です。子どもの頃に金属探知機を使って馬場を探索したところ、ローマ帝国時代の金貨や宝飾品を発見したことが、この仕事を始めるきっかけになったとのこと。

大人になってから、ウェルチ氏は「Weekend Wanderers(週末のさまよい人)」という探索クラブを結成しました。

世界中で探査を行うWeekend Wanderersは、探索クラブとしてはイギリスで最大の規模に成長しているとのこと。

Weekend Wanderersはただ遺跡や財宝を見つけるだけではなく、発掘したものの調査・保全を行い、歴史の研究を行うことも目的としているそうです。

もちろん地面に埋まっている財宝がどこにあるのかは、地面を立って眺めていてもわかりません。そこで、ウェルチ氏はGoogle Earthを使い、農地のクロップマークを調査して探索場所の見当をつけるそうです。

クロップマークとは、土地の植生にムラとして現れる模様のこと。クロップマークは建物や道など、古代遺跡の痕跡である場合もあり、遺跡探しのヒントになるとのこと。以前は航空写真を撮影して調査しなければ見えなかったクロップマークですが、Google Earthを使えば誰でも簡単に調査ができるようになったそうです。

実際に、Google Earthによる調査をもとに探索を行い、ウェルチ氏率いるWeekend Wanderersは剣の一部や古代の宝飾品、ローマ帝国時代の蹄鉄(ていてつ)など、さまざまな遺物を発見してきました。

そんなWeekend Wanderersが最大の発見をしたのは、2014年のクリスマスのことでした。Google Earthで奇妙なクロップマークを発見したウェルチ氏は、Weekend Wanderersのメンバーと共に該当する地点の探索を行いました。

すると、1人の男性メンバーが「コインがたんまり出てきた！」と報告してきたそうです。

ウェルチ氏が男性の発掘した穴をのぞくと……

そこにはアングロ・サクソン人が使ったものであろう硬貨が大量に埋まっていました。その価値はなんと、総計およそ150万ポンド(約2億円)。ウェルチ氏は農地を所有していた羊飼いの男性に「硬貨がザックザク出てきました」と報告。発掘された硬貨はのちにエリザベス女王の命によってバッキンガムシャー州立美術館に収蔵されたそうです。

「探索するべき土地はもっとたくさんあります。2014年の発見を超えるような大きな発見がまたあるかもしれません。それはそんなに先のことではないと確信しています」とウェルチ氏は述べ、ムービーが締めくくられました。