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マッハ5で飛行するチタン製超音速旅客機の開発がスタート、実用化されれば大西洋を90分で横断可能


超音速旅客機といえば心理現象のひとつ「コンコルド効果」という言葉の語源としても有名な「コンコルド」や中国の企業が開発中の「Iプレーン」、低コストでの音速旅行を目指す「Boom」などがあります。そんな超音速旅客機の開発競争に新たに名乗りを上げたスタートアップが「Hermeus」です。

May 13, 2019 | Hermeus | Hypersonic Aircraft Startup | Atlanta
https://www.hermeus.com/may-13-2019

Hermeus announces plan to build the fastest aircraft in the world | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2019/05/hermeus-announces-plan-to-build-the-fastest-aircraft-in-the-world/

Hermeus wins seed funding for hypersonic aircraft – GeekWire
https://www.geekwire.com/2019/hermeus-wins-seed-funding-hypersonic-aircraft-former-blue-origin-president-adviser/

音速旅客機の開発ベンチャー・Hermeusは2019年5月13日、音速の5倍以上の速度で飛行する旅客機を開発するための資金調達が完了したと発表しました。Hermeusは今後5年以内に実機での試験飛行を実施し、8~10年後をめどに商用フライトを開始する予定だとのことです。

時速3300マイル(時速約5300km)以上の速度で最大4600マイル(約7400km)を航行することができるこの飛行機の名前は未定ですが、実用化されれば2019年現在では7時間半前後もかかるニューヨーク-パリ間の空路を、わずか5分の1である90分間でフライトすることが可能です。


Hermeusの創設者の1人であるスカイラー・シュフォード氏は、この飛行機について、「魔法のような新技術ではなく、既存の素材と技術で実現可能だ」と話しています。機体にはチタンなどが使用され、エンジンはガスタービンエンジンを主軸とした複合サイクルエンジンを搭載します。


民間の超音速旅客機そのものは目新しいものではありません。あまりの燃費の悪さからわずか102便の飛行で退役したソ連の「ツポレフ Tu-144」や113名の死者を出す墜落事故から3年後に運行を終えた「コンコルド」があまり輝かしいとはいえない先例として、歴史に名前を残しています。

by Harry Blum

そんな中、超音速旅客機の構想が再び活気を取り戻している理由についてシュフォード氏は、2つの要因があると述べています。ひとつは、「SpaceX」「Blue Origin」「Rocket Lab」「Relativity」といった宇宙開発企業の台頭により、投資家たちが航空宇宙産業が長期的な利益を生み出すという自信を深めていること。もう一つは、技術の成熟により、かつては扱いが難しかったチタンなどの材質で機体を設計できるようになったことです。


また、Hermeusが注目を集めているのは、その人的資源の豊富さです。シュフォード氏を含む主要な創設者の4人全員が商用ロケットの打ち上げで多数の実績があるGeneration Orbitの元社員であるほか、顧問としてBlue Originの前社長ロブ・メイヤーソン氏やロッキード・マーティンの極秘開発部門スカンクワークスの元エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼ゼネラルマネージャーであるロブ・ワイス氏、アメリカ地理空間情報財団の元CEOキース・モスバック氏らが名を連ねています。

顧問の1人であるロブ・メイヤーソ氏は資金調達についての発表会で、「New Space分野における最高のメンバーがここに結集した今、Hermeusチームは超音速業界の勢力地図を塗り替えようとしています」とHermeusの展望を語りました。

そんなHermeusチームの顔ぶれと、超音速旅客機の開発にかける熱い思いは以下のムービーから見ることができます。

Who We Are | Hermeus - YouTube

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in 乗り物,   動画, Posted by log1l_ks

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