サイエンス

ポケモンをプレイしていた大人の脳には「ポケモン領域」が存在することが脳スキャンから明らかに

by Melvina Mak

子どもの頃にポケットモンスターで遊んだ人は、大人になってからも脳に「ポケモン領域」とでも呼ぶべき領域を持ち、同領域を持っていない人よりも脳が漫画のキャラクターに反応しやすくなっていることが明らかになっています。

Extensive childhood experience with Pokémon suggests eccentricity drives organization of visual cortex | Nature Human Behaviour
https://www.nature.com/articles/s41562-019-0592-8

Brain scans reveal a ‘pokémon region’ in adults who played as kids - The Verge
https://www.theverge.com/2019/5/6/18531287/pokemon-neuroscience-visual-cortex-brain-information

社会科学と自然科学の幅広い領域から、人間行動の心理的・生物的・社会的基盤だけでなく、その起源・発達・障害も含めたあらゆる側面に関する、重要な研究論文を掲載するNature Human Behaviour上で、視覚情報が脳のどの領域でどのように処理されているのかを確かめるためのユニークな研究論文が公表されました。研究論文はカリフォルニア大学バークレー校で心理学の博士研究員として働くJesse Gomez氏らにより執筆されています。


研究では5~8歳の間にポケットモンスターをたくさん遊んだ経験を持つ成人を11人、そして反対にまったく遊んでこなかった成人を11人集めました。被験者にはポケモンの名前に関するテストを実施し、幼少期にポケモンに慣れ親しんだ被験者たちが、ポケモンの名前や見た目を正確に判別できているかを確認しています

続いて、被験者には8回に分けて初代ポケットモンスターに登場する150体のポケモンの画像と、動物・顔・車・言葉・廊下の画像、さらには別の漫画キャラクターの画像を見せ、その際に起こる脳の反応をfMRIでスキャンして観察しています。実験の結果、幼少期にポケモンに慣れ親しんできた被験者は、他の画像よりもポケモンの画像を見せた際に脳の「後頭側頭溝」と呼ばれる領域が活発に反応したのに対して、ポケモンをまったく遊んでこなかった成人は、動物の画像を見せた際に後頭側頭溝が反応し、ポケモンの画像を見せても反応は見られませんでした。

by Elias Andres-Jose

幼少期に何時間も同じもので遊び続けると脳が変化してしまうというのは当然のことで、ほとんど何であっても十分長い時間見て過ごせば、同じような反応が見られるようになることが確認されています。例えば、海外ドラマのフレンズを幼少期に夢中になって視聴した人は、ジェニファー・アニストンに反応する脳を持つようになるという研究報告もあります。

つまり、脳が発達途上の子どもに新しい視覚刺激を認識させれば、脳が視覚情報を処理するためにどのように発達していくのかに関する知見を得ることができます。実際、この方法を用いた実験がサルを被験体にして行われているのですが、子どもを被験者にして1日8時間の新しい視覚刺激を与える実験を行うのは「倫理的ではないように思える」とGomez氏は語っています。正しいデータを得ようとすれば、被験者に同じ明るさで同じ距離から同じ画像を表示し続け、脳の変化を観察する必要があるため、倫理的にほとんど実現不可能な実験と思われていました。

しかし、Gomez氏は幼少期に多くの時間をポケットモンスターのプレイに費やしていたことを思い出します。そして、自分と同じようにポケットモンスターをプレイしていた人々ならば、顔からゲームボーイまでの約1フィート(約30cm)ほどの距離を保ちながら、同じ画面(ポケットモンスターのプレイ画面)を見続けたことで脳に同じような変化が起きているのではないかと考え、今回の調査を行うことを決めたそうです。

by Hello I'm Nik

実験の結果は「偏心バイアス」と呼ばれる、人間が見ている画像のサイズと、それを視野の中心で見ていたのかそれとも周辺視野で捉えていたのかにより、脳のどの領域が反応するかを予測できる、という理論を支持しているとのこと。ただし、実験では「幼少期にポケモンをプレイしていた人」とそうでない人の脳の反応の違いしか比べられず、「幼少期に周辺視野でゲームボーイのポケモンをプレイしていた人」はいないため、視野の中心と周辺視野で画像を見ていた際に起こる違いについてはわからなかったとのこと。

なお、Gomez氏がポケモンを使って脳の研究を行ったのは今回が初めてではありません。以前にはポケモンを見ている子どもの脳をスキャンした論文を公表しています。

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in サイエンス,   ゲーム, Posted by logu_ii

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