サイエンス

乗り物酔いは「毒を飲んだ」という脳の誤解が原因かもしれない

By koldunov

乗り物酔いしやすい人ならば、船や車などでの「長時間の移動」が気持ちと身体にどれほどの負担をかけるか理解できるはず。そんな乗り物酔いが、「毒を飲んだ」と脳が誤解することによって起こる可能性が指摘されています。

This Is a Very Odd Explanation for Carsickness -- Science of Us
https://www.thecut.com/2016/08/a-very-weird-explanation-for-car-sickness.html

New Views of Motion Sickness | Vestibular Disorders Association
https://vestibular.org/news/06-18-2013/new-views-motion-sickness

Here's The Weird Reason You Get Car Sick: Your Brain Thinks It's Being Poisoned
https://www.sciencealert.com/here-s-the-creepy-reason-you-get-car-sick-your-brain-thinks-it-s-being-poisoned

「乗り物酔い」が悪化した結果として生じるのは「嘔吐」ですが、嘔吐は体内に腐った食べ物などの毒物が取り込まれたときにも生じる生理現象です。神経学者としてThe Guardianに寄稿も行っているディーン・バーネット博士によると、車に乗っているとき、身体のバランスを司る三半規管は「身体が揺れている」という信号を受け取っていますが、車の中では身体は動かない状態なので、脳は2つの矛盾した情報を受け取っているとのこと。五感からの感覚信号を大脳新皮質に中継する視床はこれらの2つの矛盾した情報を分析・統合しようと試みますが、さばききれずエラーとなってしまうそうです。そして視床がエラーを起こした場合、脳はなぜか「毒を飲んだ」と解釈するとのこと。

By duskbabe

脳が毒を飲んだと解釈してしまうのは「脳は絶えず毒を警戒している」ことが原因だとみられていますが、乗り物酔いしやすい人と、まったく乗り物酔いしない人がいる理由については明らかになっていません。人類が車やバス、ボートなどの乗り物に乗るようになったことはごく最近のことなので、「乗り物に酔いやすい人は乗り物に適応した進化ができていない」という意見もあります。

また、船上で行われた実験に基づく研究によると、「貧乏揺すりなど、静止した状態で身体を動かすという癖を持つ人ほど乗り物酔いしやすい」と報告されており、「動作の違い」が酔いやすさに影響がある可能性が指摘されています。

By ExploreMoreUK_com

さらに、読書をしたりスマートフォンを見たりすると、脳は「身体が静止しているはず」とより強く認識するため、「身体が揺れている」という情報との矛盾が強まり、酔いがひどくなるとのこと。そのほかの車酔いに関する一連の研究から、「ショウガを含む食べ物や、タンパク質が多めの軽食をとること」「自分の好みの音楽を聴くこと」「自分で運転すること」「市販の酔い止め薬を飲むこと」などは車酔いの予防に効果があるとわかっているようです。

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in 乗り物,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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