「天然のミネラルウォーターは土壌中のヒ素に汚染される可能性がある」という報告

by inkflo

非営利団体Consumers Unionによって出される製品評価「Consumer Report」が、「天然水」を売りにするボトル入りミネラルウォーターから、アメリカ食品医薬品局(FDA)の基準を上回るヒ素が検出されたことを報告しています。これは水が土壌からヒ素を吸い上げてしまったために汚染されたと考えられていて、Consumer Reportは天然水が土壌の重金属汚染に大きく影響を受ける可能性を指摘しています。

Arsenic in Some Bottled Water at Unsafe Levels - Consumer Reports says
https://www.consumerreports.org/water-quality/arsenic-in-some-bottled-water-brands-at-unsafe-levels/


高いレベルでヒ素が検出されたのは、ホールフーズ・マーケットが販売するStarkey Spring Waterと、Keurig Dr Pepperが販売するPeñafielのミネラルウォーター。Consumer Reportによると、FDAによるヒ素汚染レベルの基準値が10ppbであるのに対して、Starkey Spring Waterは9.48~10.1ppb、Peñafielは18.1ppbという数値が確認されたとのこと。他のボトル入りミネラルウォーターは3ppb~5ppbだったとのことで、Starkey Spring WaterとPeñafielは特に高いレベルでヒ素に汚染されていたといえます。

by stuart hampton

この調査結果を受けて、Peñafielを発売するKeurig Dr Pepperはメキシコの工場におけるPeñafielの生産ラインとアメリカへの輸出を2週間停止することを発表。さらに生産ライン中のろ過を強化して、ヒ素の含有レベルを下げるよう努めるとコメントしました。Keurig Dr Pepperは製品を自主回収する予定はないと述べましたが、Consumer Reportは自主回収を行うべきだと主張しています。

一方で、ホールフーズ・マーケットは「社内独自でテストを行った結果、ヒ素含有レベルはFDAの許容範囲内であると判断しました」とコメント。しかし、Consumer Reportは、Starkey Spring WaterがFDAの基準値を超えるヒ素に汚染されていたのはこれが初めてではなく、2016年から2017年にかけても報告例があったことを指摘しています。

毒性や発がん性があることで知られるヒ素は自然の岩石や堆積物中にも含まれている上に、採掘や農業排水、工業排水によって土壌がヒ素などの重金属に汚染されることがあります。Consumer Reportは「地下を流れる天然水は、土壌に含まれる重金属を吸い上げてしまうため、天然水をそのままボトルに詰めるミネラルウォーターがヒ素に汚染されているケースが多い」と論じています。もちろん出荷前には各社によるチェックが行われる訳ですが、企業によってはそのチェックも甘くなってしまうこともあります。

by Giorgio Caruso

アメリカのいくつかの州では、水道水とボトル入り飲料水とで個別のヒ素汚染ガイドラインがあり、一般的には水道水の方がボトル入り飲料水よりも厳しい基準値が設定されています。例えば、FDAは飲料水中のヒ素汚染レベルの許容値を10ppbに設定していますが、ニュージャージー州では水道水の基準値はその半分の5ppbに設定されています。Consumer Reportは、「ボトル入り飲料水の10ppbという基準値は水道水の基準値と比べても高すぎる」と述べ、10ppbから3ppbまで基準値を下げるべきだと主張しました。

なお、ヒ素汚染の問題は飲料水だけではなく米にも表れるとのこと。イネ科の植物は土壌からヒ素や水銀などを吸い上げやすく、結果として重金属に汚染された土壌で育てられた米は必然的にヒ素濃度が上がってしまいます。汚染された米は、コーヒーメーカーを使って通常よりも多い水分量で調理するとヒ素の大部分が除去されるという研究結果が報告されていました。

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in , Posted by log1i_yk

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