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Amazonが3000以上の人工衛星で全地球をインターネットで網羅する「Project Kuiper」を始動

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Amazonが3000基以上の人工衛星で地球を3層に覆い、全人類の95%に衛星を介したブロードバンド通信を提供する計画を明らかにしました。きっかけは、「Kuiper Systems LLC」という企業が国連に人工衛星の打ち上げ計画の承認を求める文書を提出したこと。同社について海外メディアGeekWireが調査したところ、Amazonの子会社であることが判明、GeekWireの取材に対しAmazonも公式にこれを認め、計画の全容を明かしたとのことです。

Amazon’s Project Kuiper aims to offer satellite broadband access – GeekWire
https://www.geekwire.com/2019/amazon-project-kuiper-broadband-satellite/

Amazon will launch thousands of satellites to provide internet around the world - The Verge
https://www.theverge.com/2019/4/4/18295310/amazon-project-kuiper-satellite-internet-low-earth-orbit-facebook-spacex-starlink

天文学者ジェラルド・カイパーの名を冠した「Project Kuiper」なる計画を打ち上げたのは、ワシントン D.Cに拠点を置く「Kuiper Systems LLC」というベンチャー企業。同社は2019年3月26日に無線通信事業を所管する国連の専門機関「国際電気通信連合(ITU)」に大規模な人工衛星の打ち上げ計画について申請し、承認を受けていました。これについて質問を受けたAmazonは「Kuiper Systems LLC」が子会社であることを正式に認め、同社が数十億ドル(数千億円)規模の利益を生み出す新たな宇宙事業に着手したことを明らかにしました。

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Amazonの広報担当者は取材に対し、「『Project Kuiper』は世界中にあるインターネット未接続の地域に高速ブロードバンド通信を提供する長期的な取り組みです。この計画によって、未だインターネットにアクセスすることができない数十億の人々にインターネットを提供するためのもので、将来的にはビジョンを共有するさまざまな企業がこの計画に加わる予定です」と答えています。

「Project Kuiper」によって打ち上げられる人工衛星は合計3236基で、3つの異なる衛星軌道に設置されます。内訳は高度367マイル(約590km)に784基・高度379マイル(約609km)に1296基・高度391マイル(約629km)に1156基で、これにより通信の遅延であるレイテンシを短時間に抑えることが可能で、かつ打ち上げコストも圧縮されます。衛星は北緯56度から南緯56度までをカバーするように設置される予定で、これによりスコットランドの中心付近から南アメリカの最南端よりさらに南、全人類の95%が居住するエリアがすっぽりと通信網におさまることになります。

by riya rohewal

ウェブの父とも呼ばれるティム・バーナーズ=リー氏が「世界の半分がインターネットに接続されるようになった」と語るように、インターネットは先進国を中心に広く普及していますが、見方を変えればまだ人類の半分しかインターネットの恩恵を享受できていないともいえます。実際、2019年4月現在では約75億人以上いるとされている地球の人口のうち約38億人もの人々がインターネットに接続されていない環境で暮らしていると推計されており、「Project Kuiper」が実現すれば地球上の人類のほぼすべてがインターネットにアクセスできるようになることが期待できます。

一方で、この遠大な計画の前途には多くの障害が待ち受けています。実際に打ち上げ計画を始動させるにはまず、衛星軌道の錯綜(さくそう)対策や、機能を停止した衛星の処分について、米連邦通信委員会(FCC)の厳しい審査をクリアする必要があります。折しも、NASAは現存する人工衛星の99%について、ミッション終了後には衛星軌道から排除されるようにしなければ、人工衛星の連鎖的な衝突により宇宙ごみが爆発的に増加するケスラーシンドロームを引き起こすだろうとの懸念を示してます。

また、先行する「SpaceX」は既に2基の人工衛星の打ち上げに成功しており、最終的に1万2000基の人工衛星を宇宙に送り出す計画を進めています。ほかにも、2019年2月に6基のブロードバンド通信用衛星の打ち上げに成功したベンチャー企業「OneWeb」や、頓挫した「Aquila」プロジェクトに代わる宇宙開発を模索しているFacebookなど、「Project Kuiper」に競合する計画はほかにもあります。新しいフロンティアを巡る厳しい戦いに身を投じることになるAmazonはGeekWireの取材に対し、AmazonのCEOジェフ・ベゾス氏が私的に設立した「Blue Origin」との共同開発を視野に入れているとコメントしていました。

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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