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Appleのクレジットカード「Apple Card」がゴールドマン・サックスにとって大きな一歩である理由


IT業界と金融業界との提携としては、AmazonがJPモルガン・チェース銀行と、UberがBarclaysと既に提携していることから、Appleが発表したゴールドマン・サックスと協業する「Apple Card」は目新しい試みとはいいづらいところがあります。しかし、この試みはゴールドマン・サックスにとっては大きな一歩であるとジャーナリストのTanaya Macheel氏が伝えています。

What Goldman Sachs Gets From Its New Credit Card With Apple
https://medium.com/cheddar/what-goldman-sachs-gets-from-its-new-credit-card-with-apple-eaf4122199e

日本時間2019年3月26日に開催されたAppleのスペシャルイベントで発表された「Apple Card」は、ゴールドマン・サックスやマスターカードと協業し、Apple Payでの支払いを可能にするほか、チタン製の物理的なカードとしても使用可能。また、発行手数料や年会費が無料であることに加え、Apple Pay経由であれば2%のキャッシュバック、Apple Musicからの支払いであれば3%キャッシュバック、といった点も特徴です。

AppleがiPhoneと連動させる独自クレジットカード「Apple Card」を発表 - GIGAZINE


Appleが新しいクレジットカードを作り出したことはテクノロジー業界にとって革新的なものとはいえませんが、ゴールドマン・サックスにとってビッグテックとつながりを持つことは大きな一歩です。

ビル・ゲイツが1990年代に「銀行業務は必要だが、銀行は不要になる」と語った通り、テクノロジーの発展によって銀行業界も変化を迎えており、近年では消費者に直接金融商品を売るのではなく、他者ブランドの背後にまわる「目に見えない存在」になりつつあります。クライアントのビジネスのデジタル化を支援するPublicis Sapientのシニア・ヴァイスプレジデントであるDave Murphy氏は近年の金融について、「ゲイツ氏の予言はゆっくりと実現しつつあります」「過去5年間、『フィンテック(銀行技術)は仲介金融機関を不要にし、銀行はインフラに変わる』と言われてきました」と述べていることからも、Appleとの提携はゴールドマン・サックスが「銀行のインフラ化」を受け入れた結果と読み取れます。

Apple Cardはアメリカン・エクスプレスといった競業他社と争う必要はなく、Appleはゴールドマン・サックスとのつながりによって、より既存ユーザーとの金融上のつながりを深めることを目的としています。このため、ゴールドマン・サックスが行うべきことは、「銀行はユーザーのアカウントと財産を実績のある方法で保護することができる」と証明することになります。


ゴールドマン・サックスはApple Cardユーザーに関する全てのデータにアクセスできますが、Apple自身はユーザーの金融データにアクセスできません。ゴールドマン・サックスは消費者向け金融サービスでは新参ですが、2016年に消費者向けのオンライン銀行「Marcus(マーカス)」を設立しており、これを強化しつつApple Cardを提供していく必要があります。なお、ゴールドマン・サックスがユーザーデータを外部に売ることはないとAppleは説明しています。

ウェルズ・ファーゴチェースといった銀行が同様のオンラインサービスを提供開始したものの失敗に終わる中、マーカスはクレジットカードと共に個人向けローンや高利子口座、資産管理といったサービスを提供することにより成功を収めました。このマーカスはApple Cardとは別のものとして残り、今後もゴールドマン・サックスのブランドのもとで物理的なカードが使用可能とのことです。

金融ソフトウェアを提供するFinastraのグローバルセールスチーフであるCraig Schachter氏は「『自分たちのブランドが全てだ』と考える銀行もあれば、少数のクールなテクノロジー企業と喜んで手を組む銀行もあります」とコメント。これまで消費者向けブランドとしては成功したことがないゴールドマン・サックスですが、マーカスの発表やClarity Moneyといったアプリの買収など、新しい動きを見せています。2018年には女性や有色人種の顧客を獲得するために、新たにDJとしても活躍するデービッド・ソロモン氏がCEOとして就任しました。

なお、2019年3月時点ではアメリカでの展開が発表されているApple Cardですが、経営委員会のリチャード・グノド氏は「次の一手はヨーロッパ、ドイツになるでしょう」と語っており、世界的な展開も見込まれています。

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in メモ, Posted by logq_fa

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