賠償金目当てで特許侵害訴訟を起こすパテント・トロールとの法廷闘争でCloudFlareが勝利

by SalFalko

コンテンツデリバリネットワークやインターネットセキュリティ、分散型DNSサーバーを提供するCloudflareは、「賠償金目当てで特許権侵害訴訟を起こしたパテント・トロール企業との戦いに勝利した」と報告しました。

Winning the Blackbird Battle
https://blog.cloudflare.com/winning-the-blackbird-battle/

2017年3月16日、Blackbirdというパテント・トロール企業が「既存のインターネット接続に第三者のデータを『便利かつ柔軟な方法で』組み込むことができる」という特許US6453335号を根拠にして、Cloudflareを相手に訴訟を起こしました。地方裁判所が下した判決はBlackbirdの特許を認めず、Cloudflareの主張を認めるものでした。

巨額の賠償金目当てに特許権侵害訴訟を起こした「パテント・トロール」企業がCloudFlareに敗訴し特許も失うことに - GIGAZINE

それでもBlackbirdはこの判決を不服として控訴し、ワシントンD.C.に本部を置く連邦巡回区控訴裁判所での審議が行われることとなりました。連邦巡回区控訴裁判所はアメリカ全域における特許や関税など、特定分野の事件を管轄する裁判所です。

2019年2月13日(水)、連邦巡回区控訴裁判所は地方裁判所が下した判決を支持し、Blackbirdが起こした訴えを棄却することを決定しました。これによりBlackbirdはこの特許訴訟を続けることが不可能となり、法廷闘争におけるCloudflareの勝利が確定しました。

by rawpixel.com

CloudflareはBlackbirdからの訴訟に勝利するため、パテント・トロールが主張する特許が無効であるとする根拠を集める戦術をとりました。「Project Jengo」というプロジェクトを立ち上げたCloudflareは、「Blackbirdが保持する特許がすでに広く使われている『先行技術』であることを示す証拠」に懸賞金をかけ、パテント・トロール企業が武器にする曖昧な技術特許を無効化することを目指したとのこと。

その結果、Blackbirdが主張する特許は非常に曖昧なものであり、地方裁判所は「抽象的なアイデアに特許性は認められない」との判断を下し、Cloudflareは訴訟に勝利することができました。また、連邦巡回区控訴裁判所もCloudflareの弁護士の主張について疑問を確かめるような質問すら必要とせず、地方裁判所の判決を全面的に認めたそうです。

非常にあっけなく終結したかのように見える今回の訴訟ですが、実際には2017年3月の訴訟開始から、実に2年間にも及ぶ法廷闘争が続けられたことになります。CloudflareはBlackbirdの主張を退けるために懸賞金を用意し、弁護士を雇い、多くの時間を訴訟に対する反論に費やしました。そこには膨大な費用がかかっており、「Blackbirdとの和解金よりも高額の費用がかかったかもしれない」とCloudflareは述べています。

この「パテント・トロールと無理に争うことをせず、和解金を支払った方が結果的に労力も費用も抑えられることが多い」という点が、パテント・トロール企業をのさばらせる欠陥だとCloudflareは指摘。多くの企業は真剣に争えばパテント・トロール企業に勝利できるかもしれませんが、面倒を避けて和解金を支払って訴訟を終結したがります。Cloudflareはこのシステムの是正を訴えると共に、Project Jengoを継続して「Blackbirdが所持するほかの特許に関する先行技術」についても募集し、今後もBlackbirdがほかの企業を相手に訴訟できなくするように働きかけるとしました。

by Michael Foley