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AI研究の世界的権威レイ・カーツワイル氏が「AIの進歩は順調に進んでいく」と楽観的な展望を語る


アメリカの発明家・実業家であるレイ・カーツワイル氏は、人工知能の世界的権威であり「技術的特異点(シンギュラリティ)」に関する著作で知られる人物です。2018年に開催された若返りや寿命延長に関する技術カンファレンスのRAAD2018において、カーツワイル氏がAIの進歩や将来の展望について語りました。

Ray Kurzweil: 'AI is Still on Course to Outpace Human Intelligence' — Gray Scott
https://www.grayscott.com/seriouswonder-//ray-kurzweil-ai-is-still-on-course-to-outpace-human-intelligence

アメリカのトランスヒューマニスト党議長であるGennady Stolyarov氏がインタビュアーを務め、カーツワイル氏に対してAI関連の質問をぶつけた様子を撮影したムービーがこれ。

Gennady Stolyarov II Interviews Ray Kurzweil at RAAD Fest 2018


カーツワイル氏が登場すると会場から拍手が送られます。向かって左側にいる男性がカーツワイル氏です。


インタビュアーが「先ほどこの会場に現れた、ソフィアのようなAIロボットをどう思いますか?」と尋ねると、カーツワイル氏は「とても強い印象を受けました。レスポンスに必要な時間も短いですね」と述べました。


カーツワイル氏は1990年ごろから「インターネットの普及」「チェスの試合でコンピューターが勝利する」といった予想を行い、いずれも少しの時間差で的中させました。また、「一つの発明は他の発明を結びついており、一つの発明が次の重要な発明までの時間を短縮する。これにより、科学技術の進歩は直線グラフ的ではなく指数関数的に進歩する」という収穫加速の法則を発表し、多くの議論を呼びました。そして2005年にはシンギュラリティに関する踏み込んだ論を展開し、世の中にシンギュラリティという概念を広めた人物でもあります。


近年ではGoogle参加のDeepMindが開発したAlphaGo(アルファ碁)がトップ棋士に勝利するなど、特定のタスクにおいてはAIが人間の知性を上回り始めていることが確認されています。

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カーツワイル氏は2029年ごろにコンピューターの知能が人間を超えると予測しており、2045年にはコンピューターの能力が人間の想像力を超えるとも述べていました。2018年に行われたこのインタビューでもカーツワイル氏の主張は変わっておらず、「AIはやがて人間の知能を上回るでしょう」と語りました。


インタビュアーがIBMの開発したAIシステム「ワトソン」を医療診断に応用する試みに触れ、「人間が持つ認知バイアスのように、AIが誤った学習をしてしまわないのでしょうか?」と尋ねると……


カーツワイル氏はAIの進歩はめざましいものがあり、かつては心配されていたようなAIの認知バイアスの偏りも対処可能であると答えました。フェイクニュースと真実のニュース、ヘイトスピーチとそうでないスピーチを見分けることが可能になり、問題のあるデータを学習しないことがAIには可能だとのこと。


AIや科学技術に関するポジティブな論調から、カーツワイル氏は「テクノロジー超楽観主義者」と呼ばれることもあります。しかし、インタビューではあくまでも自身のAIに対する楽観的な考えに変化はなく、「起業家は科学技術に対して楽観的であるべきだ」という持論を展開しました。


プライバシーや人間の尊厳に関する事項は優先順位が高く、技術者だけでなく政治家なども加わって科学技術の進歩に対応した安全ガイドラインができるだろうとカーツワイル氏は語ります。


「AIが管理するディストピア世界に対して人間が戦う」といった映画や小説もありますが、人々を管理する一元的なAIは今のところありません。むしろ、人々のポケットの中に入っているスマートフォンにはそれぞれのAIが搭載されており、AIは非常に分散化されている状態ともいえます。もちろんAmazonやFacebook、Googleといった巨大企業に対する懸念はありますが、それと同時にテクノロジーを民主化する動きも活発化しており、脅威にはならないだろうとカーツワイル氏は主張しました。

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in サイエンス,   動画, Posted by log1h_ik

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