19世紀末のパリの様子を収めた貴重なムービーがYouTubeで公開され90万回再生を突破

19世紀といえば遠い昔のように感じられますが、当時のフランス・パリで撮影された白黒ムービーがYouTubeで公開されており、遠い昔をしのぶことができます。

Late 1890s - A Trip Through Paris, France (speed corrected w/ added sound)


「A Trip Through Paris, France」と題されたこのムービーは、1896年から1900年までのフランスやパリの様子を収めたムービーとなっています。

まず映し出されたのは1896年、ノートルダム大聖堂前の様子。

目の前を馬車が通っていく様子に、当時は当たり前のように馬車が走っていたのだと気づかされます。現代の映画は1秒間24コマで撮影されていますが、当時のフィルムでは1秒間あたり約16コマのレートで撮影されており、現代の映画と同様にフィルムを回すと早送りになってしまいます。そのためこのムービーでは、映像が自然に見えるようにフィルムのレートがゆっくり目に調整されており、別に収録した環境音が後から加えられています。

何台もの馬車が続いて現れ、馬車同士がすぐ近くをすれ違うなど、馬車がいかに人々の足として頻繁に利用されていたかがうかがえました。

奥の方を自転車の人物が軽快に走っていき、シルクハットをかぶった紳士がこちらを見ています。

馬車は人を乗せているだけでなく、木材などの物資を運ぶこともあったようです。

次に映し出されたのは、1900年のパリ・セーヌ川にかかるアルマ橋の様子。大勢の人々があたりを行き交い、日傘を差した女性の姿も多く見られます。

多くの男性がステッキをついており……

女性の帽子はふんだんに飾られてとてもゴージャス。

やはりカメラが珍しいのか、気づいた人々がこちらを興味深そうに見つめてきます。

続いて、1899年のフランス・シャンゼリゼ通り。

2018年のシャンゼリゼ通りはデモ活動がさかんですが……

暴徒化したフランスのデモ隊がFENDIやAppleストアなどを襲撃、ブランド品を略奪する様子

当時はそんなこともありません。とても広い道を馬車が我が物顔で走り回り、右に見える男性は道を渡るタイミングを見計らっています。

座高の高い馬車の乗客は、これでもかと華麗に着飾っています。

車は一台も通らず、馬車の間を軽快にすり抜ける自転車が目立っていました。

車道や横断歩道なども見当たらず、自転車の男性がきわどいタイミングで馬車の前を通過します。

ここは1897年のパリ・コンコルド広場。噴水をバックにクレオパトラの針がそびえ立っています。

広場の中も馬車が走り回り、男性が馬車が途切れたタイミングを見計らい、慌てて走って行きました。

シルクハットにステッキをついたまさに「紳士」と呼びたくなるような人々が歩いており……

半ズボンで自転車をこぐ男性がその前を走り去りました。

続いて、1897年の「パリ消防旅団」を撮影したもの。いったいどこに消防団がいるのかというと……

2頭立ての馬車にヘルメットをかぶった消防団員たちが乗っていました。

背後には大きなはしごまでのせられています。

いずれも全速力で目の前を駆けていき……

最後尾の馬車が煙をまいていました。

次は1896年、テュイルリー宮殿の庭園。一人の少年が池の中に棒を差しています。

子どもたちもしっかりと紳士服にシルクハットという正装。

どうやら池に浮かぶ船をつついて遊んでいるようです。

左から大きな船を持った少年が現れ……

池の水に浮かべました。池の左側からは噴水が勢いよく吹き上がっています。

1900年に開催されたパリ万国博覧会の映像もありました。画面に映っているのは大きな評判を呼んだ「動く歩道」です。

結構なスピードで動く歩道の上にのる人々は、皆棒につかまっています。

修道士らしき格好の人々も動く歩道に乗っていました。

カメラに気づいてにこやかにこちらを見てくる男性2人。

どうやら乗り降りは意外に自由だったようで、左手から現れた女性がひょいと棒をつかみ、さっそうと動く歩道に乗りました。

最後に映ったのは1897年、セーヌ川から見たエッフェル塔。無骨な土台が見えています。

川の上には船が浮かんでおり、その向こうに見える人影が豆粒のようです。

距離が離れるに従って、次第にエッフェル塔の上の方まで見えてきましたが、ムービーはエッフェル塔の上まで見える前に終了してしまいました。