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サイエンス

常温で溶けるはずのない「金」を室温でも簡単に溶かす方法が発見される

by Jens Johnsson

アクセサリーや工業用品にも使用される金属「」の融点、つまりは金が固体から液体に変化する温度は「1064度」です。常温では溶けるはずのない金ですが、これを室温で溶かす方法をスウェーデンのチャルマース工科大学の研究者たちが発見しました。

Phys. Rev. Materials 2, 085006 (2018) - Electric-field-controlled reversible order-disorder switching of a metal tip surface
https://journals.aps.org/prmaterials/abstract/10.1103/PhysRevMaterials.2.085006

Scientists Have Figured Out How to Melt Gold at Room Temperature | Digital Trends
https://www.digitaltrends.com/cool-tech/gold-melt-room-temperature/

チャルマース工科大学の物理学者であるルドヴィグ・デ・ヌープ氏らによる研究チームが、室温でも金を溶かせる方法を発見しました。研究チームが発見した金を溶かす方法は、金を四角錐状の形に成型し、これに電場を付加するというもの。金に電場を付加した状態で電子顕微鏡を用いて表面を観察したところ、金の表面から2~3層の原子が融解していることが確認されました。


ヌープ氏は「我々は数層の原子層が溶け、金の原子が多く移動し、規則正しい構造を失っていることを見つけました。この発見はこれまで見つかっていなかった現象であるため、驚くべきものです。また、電場を取り除くことで表面の融解した層を固体に戻すことが可能なことも明らかになっており、これはとても興奮すべき発見です」と語っています。


実際に電子顕微鏡で四角錐状の金の先っぽが融解している様子を観察。


室温でも金を融解させられるメカニズムを理解するために、研究者たちは計算モデリングを用いました。その結果、「融解は温度の上昇から来たものではない」ということが判明しています。また、ヌープ氏と共に研究に携わったミカエル・ユハニ・クズマ氏は、「四角錐状の金に高い電場を付加することで、表面に融解した層を作り出すことができました」と語りました。

この発見は基礎的な科学レベルでみても興味深いものですが、実用的な応用も可能な発見だそうです。チャルマース工科大学のエヴァ・オルソン教授によると、今回の発見のように金の状態を固体と液体の間で自由に変更することができれば、新種のセンサーや触媒、非接触型のコンポーネントなどへの応用が期待できるとのこと。

by LEMUR

ただし、金に付加する電場を上げることでより大きな塊を溶かすことができるようになるというわけではありません。ヌープ氏は「使用する電圧が100Vだったとしても、必要な電場は1メートルあたり約250億Vとなるため、(この方法で大きなものを溶かすのは)不可能だと思います」と語っています。金を溶かすには強い電場を付加する必要があるため、実験では数ナノメートルほどの幅しかない四角錐型の頂点部分を溶かしたのみだそうです。

なお、ヌープ氏が金を室温で溶かすためのメカニズムを簡単に解説しているムービーは、以下から視聴できます。

Watch how gold melts at room temperature - YouTube

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in サイエンス,   動画, Posted by logu_ii