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ビル・ゲイツが「なぜ世界はより良いトイレを求めているのか」を語る


Microsoftの創業者であるビル・ゲイツ氏は、慈善基金団体のビル&メリンダ・ゲイツ財団を通して世界中でさまざまな活動を行っています。自身のブログの中で「インドがどうやって人の糞便問題に立ち向かおうとしているのか」を解説したこともあるのですが、それにつながる「なぜ世界がトイレをより良くしようとしているか」について、再び解説しています。

Why the world deserves a better toilet | Bill Gates
https://www.gatesnotes.com/Development/Sanitation-showcase

トイレを見るために世界中を旅したこともあるというビル・ゲイツ氏。その理由は公衆衛生こそ人類が取り組むべき最も重要な問題のひとつであると考えているからです。なぜ公衆衛生が重要な問題なのかといえば、世界人口の約半数以上が安全ではない衛生施設を使用しており、トイレがある場所であっても糞便が安全に処理されていないという問題があるから。糞便が適切に処理されなかった場合、そこから発生した病原体が下水から広がり、疫病などが蔓延する可能性が十分に考えられます。

糞便で汚染された水により起きる病気は、毎年50万人以上の5歳未満の子どもの死因となっているそうです。その中を生き残った場合であっても、衛生施設の不備により子どもたちが病気にかかってしまい、学校に行けなくなってしまうというケースが多くあります。こうした状況について、「衛生施設の不備がコミュニティや国全体を後退させるといっても過言ではない」とゲイツ氏は表現しています。


ゲイツ氏によると、糞便を安全に処理し病原体を外の環境に出さないようにするためには「下水道が最善の方法であることが歴史的に示されている」とのこと。しかし、そんな下水道を持っていない国や地域ではどうやって安全に糞便を処理すれば良いのでしょうか。その答えになるとゲイツ氏が考えているのが、「糞便を自分で処理できるトイレ」だそうです。

そんな新しいトイレを発明するため、2011年にはビル&メリンダ・ゲイツ財団が「Reinventing the Toilet Challenge」をスタートしており、ここから生まれたさまざまなテクノロジーは、すでにライセンス供与する準備が整っているとゲイツ氏は明かしています。Reinventing the Toilet Challengeにより、世界中のエンジニアや科学者、企業、大学が新しいトイレの開発に奮闘しており、その成果が中国の北京で開催される世界で最もハイテクなトイレの展示会である「Reinvented Toilet Expo」で展示されます。

New technologies can help leave unsafe sanitation facilities behind for a future that’s cleaner, safer, and more convenient. #ReinventedToilet pic.twitter.com/uI4qXUD6Qg

— Gates Foundation (@gatesfoundation)


Reinvented Toilet Expoで展示される「糞便を自分で処理できるトイレ」が、以下のムービーの中でどのように動作するのかが紹介されています。

Sanitation showcase - YouTube


もちろんReinventing the Toilet Challengeの中で生み出されてきたトイレは1つだけではありません。太陽光発電を用いるトイレから……


蓋を開閉すると液体を固形物から分離するネジが動き、ガス化装置が固形物を灰と熱に変え、そのエネルギーをトイレの動力源に使用するというものもあります。それぞれのトイレは「公衆衛生」という同じ問題を解決するために作られたものですが、そのためのアプローチはまったく異なるのが特徴です。

こういった次世代のトイレにとって大きなテーマとなっているのが、「糞便をどうやって有用なものに変えるか?」です。「EcoSan」と呼ばれる次世代トイレは糞便の中から清潔な水を抽出し、手洗いに流用しています。デューク大学が開発したシステムでは、糞便から抽出した水をトイレを流すのに使用し、糞便から肥料を作り出すことも可能です。さらに、南フロリダ大学が開発したジェネレーターは、糞便から調理や暖房用に使用できるメタンガスを収集することができます。


もうひとつのアプローチは、糞便を燃やして処理するというもの。その代表格がJanicki's reinvented Firelight Toiletで、糞尿を乾燥させて無菌の灰と水に変えることができます。

もちろんこれらの次世代トイレは普通のトイレよりもはるかに複雑です。そのことがよくわかるのが、トイレを操作するために使用されるメンテナンスパネルの写真。ただし、実際に使う際には普通のトイレと同じように使えます。糞便の処理などの複雑な工程は、使用者の見えない裏側で行われます。


トイレは1世紀以上も変化しておらず、1800年代半ばまで時間をさかのぼったとしても、現代の水洗トイレと同じように動作するトイレを見つけることができます。Reinvented Toilet Expoに展示されるトイレは、見た目は同じでも機能としてはこれまでのトイレと一線を画する最新の技術が盛り込まれているとのことで、ゲイツ氏は「魅力的なガジェットではなく、何百万という命を救う可能性を持ったものである」と次世代トイレの有用性を強調しています。

なお、内容は同じですが、ゲイツ氏が自身の口でトイレの必要性について説くムービーも公開されています。

Bill Gates talks toilets - YouTube

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in メモ,   動画, Posted by logu_ii

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