ハードウェア

「歩きVR」への対策が必須になるという指摘

by Skydeas

Oculusは2018年9月26日、新型VRヘッドセット「Oculus Quest」を発表しました。Oculus QuestはPCやスマートフォンなしの単体でVRを楽しめるデバイスで、前後左右上下の移動・回転という6DoFのトラッキングが可能なほか、1600×1440ピクセル×2・72Hzという最先端の光学性能を備えています。このような高性能な一体型VRデバイスによってVRへの没入感はさらに増す一方で、屋外でのVR使用は危険性も伴うと、VRコンテンツベンダーの「Sixer VR」が指摘しています。

Worldscale VR is exciting ... and maybe dangerous | VentureBeat
https://venturebeat.com/2018/11/01/worldscale-vr-is-exciting-and-maybe-dangerous/


これまで充実したVRコンテンツを楽しむためには、ハイスペックなPCと広い部屋が必要でした。しかし、Oculus QuestやOculus GoVive Focusなど、スタンドアローンの一体型VRデバイスの普及によって、屋外でも気軽にVRコンテンツを楽しむことができるようになりつつあります。特に6DoF対応のOculus Questならば、走ったりジャンプしたりという動きが反映されるため、公園のような広い場所で思いっきり体を動かしながら遊ぶことも可能です。


一体型VRデバイスによって「いつでもどこでもVRを楽しめる」という恩恵に授かれる一方で、公衆の迷惑になってしまう可能性も。例えば、スマートフォンの普及によってインターネットがいつでもどこでも気軽にできるようになると、歩きながらスマートフォンを操作する「歩きスマホ」が社会問題化しました。歩きスマホを行う人たちは海外でも「Smartphone Zombie」と呼ばれ敬遠されています。この歩きスマホと同様に、公衆の場でVRデバイスを使用すると、前が見えずに人や物にぶつかったり足を踏み外したりなど、事故につながる危険性が指摘されています。

この対策として、屋外で思いっきりVRを遊べるようなオープンスペースやコンテンツを用意しようという試みが存在します。例えば、以下のムービーは、Sixer VRが実験目的で開発したVRコンテンツ「Return to Grindelind」のデモ。この「Return to Grindelind」は、現実とVR空間での縮尺がほぼ同じになっている「ワールドスケール」なVRコンテンツです。あらかじめ用意したサッカー場とVR空間がほぼ同じ大きさになっているので、プレイ中に壁にぶつかったり足を踏み外したりする心配がないというわけです。

(SixerVR.com) Return to Grindelind- worldscale VR Vive Focus experience - YouTube


Sixer VRは、実験を通じて「遠くに見えているものに向かって実際に足で歩くことで、VR空間がより現実的なものに感じられる」ということを発見したとのこと。「Return to Grindelind」では現実とVR空間をリンクさせていることもあり、ヘッドセットを取り外してもVR空間がまだそこに表示されているような感覚に陥ることがあったそうです。「一体型VRデバイスでワールドスケールなVRコンテンツを楽しむと、仮想現実はこれまでにないレベルで現実を侵食します」とSixer VRは証言しています。

Sixer VRは「ワールドスケールのVRコンテンツが普及すれば、おそらく新しい形の公共空間が登場するでしょう。また、VRデバイスにセンサーをとりつけて、目の前に障害物がある場合に警告するという解決法も考えられます。いずれにせよ、ワールドスケールのVRコンテンツが進化していく中で、パブリックスペースにおける使用・デザイン責任・マナーなどについての議論を行うべきです」と主張しています。

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in ハードウェア,   動画,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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