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多くのファンを抱える現代のスター「YouTuber」が抱える苦悩を赤裸々に告白

by Gianandrea Villa

YouTube上でさまざまなオリジナルのコンテンツを作成して視聴者を楽しませる「YouTuber(ユーチューバー)」は、子どもの3人に1人が憧れる職業と、世界的に注目を集める職業のひとつです。YouTuberに対して「好きなことを仕事にしているのだからストレスなんてないだろう」と思ってしまう人もいるかと思いますが、何万人もの視聴者から受けるプレッシャーは想像を絶するもので、そんなYouTuberならではの苦悩や問題をThe Guardianが特集しています。

The YouTube stars heading for burnout: ‘The most fun job imaginable became deeply bleak’ | Technology | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2018/sep/08/youtube-stars-burnout-fun-bleak-stressed

チャンネル登録者数は5万8000人を超え、チャンネル総再生数は700万回を突破している人気YouTubeチャンネル「Cool Ghosts」など、複数のYouTubeチャンネル上でコンテンツを作成し、YouTuberとしても活動するMatt Leesさん。

YouTube上での活動が注目を集め、YouTubeにムービーを投稿することを仕事にできるようになった時、Leesさんは「宝くじに当たったような感覚」を覚えたそうです。そんなLeesさんが最初にYouTube上で大きなヒットを飛ばすことに成功したのが、以下のムービー。2013年2月にPS4が発表された際、その内容を簡潔にまとめた以下のムービーを公開したところ、公開から数日で100万回以上再生される大ヒットを記録しました。

PS4 Announcement - Abridged Version - VideoGamer - YouTube


Leesさんは「今のYouTubeの基準では大ヒットとは言えません」と謙遜しますが、当時としては公開された月に最も視聴されたムービーのひとつであったそうです。YouTubeは一旦大ヒットしたムービーを公開したチャンネルについては、その他のムービーも視聴者に推奨するというアルゴリズムを採用しています。そのため、ムービーを1本ヒットさせると、多くのチャンネル登録者を獲得したり、より高い収入を得たりすることにつながるそうです。Leesさんも多くのチャンネル登録者を獲得したそうで、この瞬間が「YouTubeを仕事にできる」と感じた最初の瞬間であったと語っています。


しかし、そんな興奮もすぐに不安につながっていったそうです。「単に素晴らしいものを作るだけではYouTubeで再生数を稼ぐには不十分です。YouTubeは一貫性と、頻繁な更新を期待しています。それができなければ人気はあっという間に落ちていきます。あなたに翼を与えたYouTubeのアルゴリズムがあなたへの興味を失うことは、信じられないほど簡単です」とLeesさんは語っており、YouTube上で人気のチャンネルを形成するには、多くの努力と日々の更新が必要であるとしています。

Leesさんのチャンネル登録者数は1000人程度から一気に9万人にまで上昇し、イギリスの公共放送局「チャンネル4」から特別番組の共同製作の依頼まで舞い込みます。Leesさんはこの仕事依頼を受け、番組製作に勤しんだそうですが、それでもムービーを1日アップロードしないままでいるとチャンネルの検索ランキングが落ちる可能性があるとして、自身のアカウントでのムービー投稿も毎日欠かさず行っていたそうです。

その後、すぐに疲労感に襲われるようになったそうですが、休息することなく働き続けたことで、Leesさんのチャンネルはますます人気を集めるようになります。しかし、同時にLeesさんが作成するムービーには、より挑発的な表現が増え、コンテンツからイライラした感情がにじみ出るようになったそうです。当時を振り返りながら、Leesさんは「意図的に不和を起こさせるようなコンテンツが現在のオンラインメディアの王となっていることは明らかです。YouTubeは人々の心を揺さぶるようなものを、より増幅させているんです。こういったコンテンツは最も有毒なものの1つで、あなたが正常に働けなくなっているのは、YouTubeのアルゴリズムがあなたを愛してしまっているからです」と語り、実体験から「人気が出れば出るほど人々にとって有害なコンテンツを作ってしまう悪循環が形成されてしまう」と指摘しています。

さらに、「人間の脳は毎日何百人もの人々と交流するようには設計されていません。何千人もの人々が自分の仕事に直接フィードバックを与えてくると、心の中で何かがパキッと折れる感覚を味わうことができます」とも語っており、毎日大勢から見られる仕事が想像以上にストレスフルなものであったとしています。Leesさんは甲状腺の問題を発症し、同時に慢性的なうつ病も患うようになってしまったそうで、当時を振り返り「想像できる最も楽しい仕事だったはずなにのに、すぐに酷く荒んで孤独を感じる仕事に変わってしまいました」と、YouTubeを仕事にすることの難しさを告白しました。


Leesさんのように人気を得ていたYouTuberが、うつ病になったり燃え尽き症候群になったりするということは往々にあることで、チャンネル総再生数が1億回を突破しているElleOfTheMillsを運営するElle Millsさんも、そんなストレスを感じていたひとり。

Millsさんは「Burnt Out At 19(19歳で燃え尽きた)」というムービーを公開しており、YouTuberとして大成功を収める一方で、自身は「私はそんなに幸せじゃない」と日々の生活に不満を抱いていることを吐露しています。また、日々の不安は増し続けており、うつ病は悪化していると明かしています。

Burnt Out At 19 - YouTube


他にも、世界で3番目に多くの視聴者を抱えているelrubiusOMGというYouTubeチャンネルを運営するelrubiusさんは、2018年5月にムービーの投稿を一時的に休止することを発表しています。それまで毎ムービーで1000万回以上再生されてきたYouTubeチャンネルの更新を一時休止するほどということで、精神的にいかにまいっていたかは想像に難いところ。

Me voy a dar un tiempo - YouTube


YouTuberのようなムービーの配信を生業とする人々にとって、「日々の更新」と「不安」は切っても切り離せない要素であるようです。ゲーム配信サービスのTwitch上で毎月5000万円以上を稼ぎ出しているプロゲーマーのNinjaは、自身のTwitter上で「ストリーミング配信を仕事とする苦労を知りたい?僕が48時間に満たない時間ストリーミング配信を行わなかったところ、スポンサーを4万人も失ったよ。だから今日にもあの過酷な仕事に戻るつもりだよ」とツイートしており、人気の配信者であってもほんの1日更新を怠っただけで一気に視聴者が離れていくことを明かしています。


Twitter上でNinjaに対する同情の声はほとんどありませんが、同様のプレッシャーを一定レベルの成功を収めたYouTuberやTwitch上のゲーム配信者たちが抱えていることは明らかです。

ShoddyCastを運営するAustin Houriganさんは、「定期的なコンテンツのリリースは、視聴者の忠誠心を築きます。そして、忠誠心が高くなればなるほど、視聴者が戻ってくる可能性が高くなります。そうすればYouTubeのような気まぐれな環境においても財政的な安全は保たれたも同然です」と語っていますが、同時にYouTuberに対する精神面へのケアの必要性を訴えており、「すべてのYouTube上で働く人々には、セラピーが必要だと思います」と語っており、実際にYouTuber仲間と共に配信者向けのケア組織を立ち上げています。

by rawpixel

YouTubeのトップページを開くと、そこにはアルゴリズムによりキュレーションされたムービーコンテンツが「オススメ」として表示されます。これらは個々のユーザーに合わせたもので、好みに合った場合にはすかさずチャンネル登録につながるほどの効果を発揮します。ユーザーは「YouTubeは自分の好きなコンテンツを理解してくれている」と感じ、同時に、広告主はコンテンツの合間に再生される広告動画が適切なターゲットに届くと感じるため、視聴者や広告主からするとYouTubeのアルゴリズムはとても安心できるもののようです。

しかし、アルゴリズム主導のコンテンツキュレーションにより、クリエイターたちはいつ自分が見限られる側になるのかに怯え、自分が使い捨ての駒であると感じ、日々新しいコンテンツクリエイターの登場に怯えながらチャンネルの更新を行わなければならなくなる、とThe Guardianは指摘しています。

カリフォルニア大学アーバイン校でオンラインコミュニティに関する研究を行っているキャサリン・ローさんは、YouTuberたちの燃え尽き症候群などにつながるのは、コンテンツ制作の頻度や一貫性だけでなく、SNS上での活動やファンとの交流も大きな影響を及ぼしていると指摘。「この種の労働は目に見えないものですが、非常に負担の大きなもので、職業上のストレスに大きく貢献しています。また、多くの場合、クリエイターは嫌がらせを受けたり、安全性やプライバシーを侵害されたりするため、PTSDを発症することにもつながる」とローさんは語っています。

なお、ローさんはYouTuberなどの配信者にとっての精神的健康面に影響を及ぼす要素として、「視聴者とのコミュニケーション」、「寄せられたコメントを読むことによるストレス」、「スポンサーやチャンネル登録者数などからくる財政的不安」、「コミュニティ上での評判やYouTuber同士のつながりからくるプレッシャー」などを挙げています。

by Christian Wiediger

また、ローさんはYouTube上で活動することでストーカーなどの実害にあう可能性も指摘。実際、女性YouTuberに恋した男がそのボーイフレンドを狙い、武装して家に侵入するという事件も発生しています。

女性YouTuberに恋した男がそのボーイフレンドを狙って武装し家に侵入 - GIGAZINE


なお、YouTubeもコンテンツクリエイター側の精神面へのリスクを危惧しており、以下のような燃え尽き症候群を回避するためのレクチャームービーを公開しています。ムービーを製作したのはセラピストのKati Mortonさんで、自身もYouTube上でチャンネルを運営しているというYouTuberです。

What is Creator Burnout? | Master Class #1 ft. Kati Morton - YouTube


しかし、Mortonさん自身も「YouTubeにムービーを投稿しなければ」というプレッシャーを感じながら活動を続けていることを明かしており、「YouTubeの収入はいつでも変わる可能性があります。あなたのムービーを見てくれるユーザーはいろいろな理由で急に減少する可能性があり、そうなると必然的に収入は少なくなります」とコメントしています。こういった理由から、Mortonさんはムービー製作のために人を雇うことができない、と話しています。

Mortonさんはそんな現状を変えるための答えがYouTubeのアルゴリズムにあると考えており、「YouTubeは毎日コンテンツを投稿する人に報酬を与えます。YouTubeが独自にアルゴリズムを作ったのだから、それを作り直す力も持っているはずです。運営側が異なる基準を設定してくれれば、それはクリエイターにとっての大きな助けとなるはずです。我々も人間であり、自分自身のための時間が必要なんです」と、アルゴリズムの改修を訴えています。

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in メモ,   動画, Posted by logu_ii

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