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ショートムービー共有SNS「TikTok」が大きな成功を収めた理由とは?


TikTok」とは、5~15秒程度のショートムービーが共有できるSNSです。TikTokは2018年第1四半期において世界中で最も多くダウンロードされたアプリとなり、2018年6月には1億5000万人のアクティブユーザーを記録するなど、主にアジア圏の若者の間で爆発的な人気を誇っています。そんなTikTokが成功した理由について、Facebookのエンジニアであるショーン・ワン氏が分析した内容が公開されています。

A Close Look into TikTok – Sean Wang – Medium
https://medium.com/@seanzhiyangwangsk/a-look-into-tik-toks-success-6c12ebae572c

TikTokに投稿されるムービーは5秒~15秒の長さであり、映像のバックには音楽が流れています。ムービーにはハッシュタグが付けられている場合がありますが、多くの視聴者はハッシュタグからほかのムービーを探すことはしないとのこと。TikTokアプリにはTikTokに投稿されたムービーを見る機能のほか、TikTokに投稿する用のムービーを撮影・編集できる機能も付いています。


投稿されるムービーのほとんどは人を笑わせることを目的にした、ジョーク要素の強いものです。実際にTikTokユーザーを対象にして行われた調査によれば、ユーザーの82.3%が「面白いムービー」を見るためにTikTokを利用していて、「有名人のムービー」が目的のユーザーは56%、「ほかのユーザーの日常ムービー」が目的のユーザーは54.1%だとのこと。

ムービーをTikTokに投稿するためには、バックに流れる音楽を設定する必要があります。わずか5~15秒程度の長さでユーザーを楽しませるムービーを作るには、ムービーの面白さを引き立たせるために音楽を最大限利用する事が大切だとのこと。ワン氏は「TikTokにおいて音楽は魂であり、台本やテンプレートとしても機能します」と語っており、TikTokに投稿されて人気を博している以下のムービーが好例だとしています。

trouble


このムービーではテイラー・スウィフトの「I Knew You Were Trouble」という曲を背景に流し、「アー」という悲鳴に近い高音が流れるタイミングに合わせておばちゃんが紙幣を見て悲鳴を上げています。悲鳴のタイミングに合わせてカットが変わり、次第におばちゃんが持っている金額が減って最後には小銭になっているのもポイントです。

また、以下のムービーでも背景の音楽が効果的に使われています。

kid


このムービーでは子どもが映った証明写真がしばらく何の動きもなく映し出されていますが、10秒付近で音楽に変化が出るのと同時に写真を押さえる指がズレ、隠されたピースサインが見えて笑いを誘います。このように、TikTokで人気の出るムービーにおいて、音楽は効果的な役割を果たしているとのこと。

TikTokでは「ユーザーが実際にムービーを投稿したくなる」割合が高いのも特徴で、調査によれば全体の77.8%にあたるユーザーが「面白いムービーを見て、自分もムービーを作りたくなった」としています。ムービーを作ろうとするユーザーは、TikTokのアプリ内で自分のムービーに使用する音楽を検索することが可能。また、その音楽を使用して制作されたムービークリップを見ることもできるため、「この音楽を使ってこういうムービーを作ろうとしている人が多いのか」と参考にすることができます。

特定の人気曲では多くのユーザーが似たコンセプトのムービーを作っていることが多く、「音楽とムービーの組み合わせがテンプレート化しています」とワン氏は指摘しています。ユーザーは面白いムービーを見ると、そのムービーをマネしたムービーを自分でも制作してみる傾向にあるとのことで、0から新しいムービーを作るのと比べ、手軽に自分もムービーを投稿できる点がユーザーの魅力になっているそうです。


また、多くのユーザーはTikTokにムービーを投稿した後、ほかのSNSで「TikTokにムービーを投稿した」ことを報告しています。これは、TikTokが狭い範囲で完結したコミュニティーにとどまらず、ほかのSNSでつながるユーザーが新たにTikTokアプリをダウンロードする行動につながるとのこと。実際にTikTokをダウンロードしたユーザーの56%は、「ほかのSNSでつながっている人がTikTokムービーを共有していたので、自分もTikTokをインストールした」と調査に回答しました。

ワン氏の仮説によれば、ムービーを投稿するTikTokユーザーの多くはTikTokを「ムービーのプール」として捉えており、TikTok内で多くのつながりを持とうとしていないとのこと。ユーザーの多くはあくまでも友人間でムービーを共有したいのであり、TikTok内でどれほど有名になったのか、TikTokでどのようなアカウントをフォローするのかといった点にはあまり執着がないとワン氏は考えています。

TikTokアプリの仕様自体も、ユーザーが個人的に親しい特定のアカウントをフォローしてつながるよりも、もっと多くの人々に訴えかける力を持つアカウントのムービーに興味が向くようになっています。TikTokアプリを開いて最初に表示されるのは自身のアカウントページではなく、「オススメのムービー」が表示されているページです。アプリを開いたユーザーが個別のアカウントページまで飛ぶ頻度は、それほど多くありません。

投稿されるムービーが非常に短いため、TikTokユーザーはほんの1~2分といったわずかな空き時間にアプリを開き、最初に表示されるオススメページにある数本のムービーを見ることができます。つまり、TikTokユーザーの多くはオススメページに表示された、顔も見たことのない遠く離れたユーザーが投稿したムービーを多く消費しており、TikTokを楽しむために特定のアカウントをフォローする必要がないというわけです。


TikTokではユーザーが投稿したムービーを、最初に運用チームが確認するとのこと。運用チームはムービーが暴力・性的な要素を含んでいたり、ほかの規約に違反していないかどうかをチェックするだけでなく、「そのムービーが創造的で拡散力があるかどうか」もチェックしています。そこで、運用チームが「このムービーは面白くて影響力が大きい」と判断した場合、オススメページに表示されやすくなる「ブースト」がかかるそうです。続いて、その後の拡散状況やユーザーの注目度を機械学習のアルゴリズムが分析し、さらにオススメする度合いを増やすか、現状を継続していくか、露出を減らすかといった判断を行います。

つまり、まず最初の露出が大きくなるかどうかを人の手によって判断し、その後はアルゴリズムに任せるという方法で、TikTokは拡散力のあるムービーを多くオススメしています。機械学習にとってはムービーの「面白さ」「スタイリッシュさ」「創造性」といった項目の判断は、ユーザーの視聴データがない時点では難しいため、機械学習の弱点である感覚的な部分を人間が補い、反対に細かい分析を機械学習が担うという役割分担になっているとのこと。

ワン氏は「ムービーの視聴が非常に手軽で短時間に消費可能」「マネしたくなるテンプレートの充実」「ほかのSNSからの流入」「ユーザーにつながりがなくても面白いムービーをオススメしていく方針」「人間の直感と機械学習の分析を融合したオススメシステム」といった要素により、TikTokは人気を得たと分析。また、「ユーザーがコンテンツを消費することが、ユーザーによるコンテンツの創造につながる」という教訓を、TikTokの例から得られると語っています。

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in メモ,   モバイル,   ネットサービス,   ウェブアプリ,   動画, Posted by log1h_ik

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