サイエンス

AIを用いて地震後に起きる余震を正確に予測する研究


2018年6月18日に発生した大阪府北部地震では震度6弱の揺れが観測されましたが、本震以降に観測された震度1以上の余震はなんと56回で、最大余震は最大震度4のものでした。このように大きな地震が発生した後に何度も起きる余震を、AIを用いて予測するという研究がGoogleによって行われています。

Deep learning of aftershock patterns following large earthquakes | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0438-y

Forecasting earthquake aftershock locations with AI-assisted science
https://www.blog.google/technology/ai/forecasting-earthquake-aftershock-locations-ai-assisted-science/


地震は最初に「本震」が起き、その後「余震」が複数回にわたって続きます。通常、余震は本震よりも震度が小さなものとなりますが、タイミングによっては復興に向けた活動を著しく阻害することがあります。しかし、余震が発生するタイミングとその規模を正確に予測するのは困難です。

そこで、ハーバード大学の卒業生であるPhoebe DeVries氏は、Googleで働く機械学習の専門家たちとチームを組み、余震の発生場所をディープラーニングを用いて予測することに挑戦しています。まだ研究は途中の段階にあるそうですが、DeVries氏はこれまでの研究結果を科学誌のNatureで公表しています。

DeVries氏ら研究チームは世界中でこれまでに発生した主要な地震118件に関するデータを集めるところからスタート。データはまとめてAI学習用のデータセットとしています。収集したデータは視覚化されており、例えば1992年にアメリカ・カリフォルニア州で発生したランダース地震(マグニチュード7.3)の場合は以下のように表されます。青・赤・黄などの色が並んだ平面が本震、その周辺に浮かぶ半透明の赤いキューブが余震を示しているそうです。


研究では本震によって引き起こされる静的応力変化と余震の位置関係を解析するためにニューラルネットワークが活用されています。そして、解析の中でアルゴリズムが有用なパターンを識別することに成功したそうです。この「有用なパターン」を基に、研究では余震の場所を正確に予測するためのモデルが作成されました。研究チームによると「このシステムは依然として不正確」とのことですが、余震予測において大きな一歩となるものであり、「機械学習ベースの予測システムは余震の危険に晒される地域に避難通知を行うのに役立つ」と記しています。

以下の画像は、研究チームが開発した余震予測システムが「ランダース地震の本震データ」からその後発生する余震について予測したデータを出力したもの。濃い赤色部分はシステムが「余震が発生する」と予測した地域で、黒い点は実際に余震が発生した場所を示しています。なお、画像中央の黄色い線は本震発生時にできた断層を示しています。


研究では意図しない結果も出ており、開発したシステムが地震発生時に重要な「物理量」を特定するのに役立つことが明らかになっています。データセットにニューラルネットワークを適用すると、予測結果が出力されるのではなく、予測に重要となる特定要因の組み合わせが見極められるようになるとのことで、「これは自然現象をよりよく理解するための潜在的な物理理論を見つけ出すための新しい可能性を開くものです」と研究チームは記しています。

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in ソフトウェア,   サイエンス, Posted by logu_ii

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