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「子どもをゲームからうまく脱却させる」方法とは?


子どもがゲームに熱中していることについて、「ゲーム依存症の傾向があるのではないか?」と心配する親はたくさんいるはず。海外メディアのThe Next Web(TNW)は、さまざまな心理学者の研究結果などから「子どもをゲームからうまく脱却させる方法」を提案しています。

Kid’s video game obsession stems from unmet psychological needs, not video games
https://thenextweb.com/syndication/2018/08/26/kids-video-game-obsession-stems-from-unmet-psychological-needs-not-video-games/

「買い物依存症」や「ギャンブル依存症」など依存症という言葉はさまざまなところで使用されています。しかし、依存症は「日常生活に著しい影響を及ぼすほど何かに執着すること」を指しているため、子どもが数時間ゲームを遊ぶからといって「ゲーム依存症」であるとはいえません。それでも、多くの親は子どもが年を重ねるごとに「勉強や手伝いをしなくなり、ゲームに没頭する時間が増えている」ことを気にかけることが多いものです。TNWは、子どものゲームプレイ時間が年々高まる傾向について、「多くの子どもは成長とともに勉強や手伝いを嫌う傾向にあるため、ゲームなどに熱中してしまうのは当然のことだ」と断言しています。


しかし、ゲームをすることが必ずしも悪いというわけではありません。オックスフォード大学で心理学の准教授を務めるアンドリュー・プシビルスキ氏の研究では「1日1時間ゲームをプレイすると幸福度が上昇し、3時間以上プレイすると幸福度が下がる」ことを示しており、ゲームを短時間プレイすることが幸福度の上昇につながることが明らかになりました。しかし、多くの子どもたちはゲームを1時間でやめようとはせず、3時間以上プレイすることがあります。

TNWはこれについて「人の成長に必要とされる3つの要素が関係している」と説明しています。カーネギーメロン大学で心理学の教授を務めるエドワード・デシ氏とロチェスター大学で心理学の教授を務めるリチャード・ライアン氏は「人は成長のために、熟練することで得られる『能力』、自分で選択したことに自由に取り組める『自律性』、他人との関係性を感じられる『関連性』を得ようとする」と述べています。


しかし、TNWは「子どもたちの多くはこれら3要素を現実世界からは得られない」と指摘しており、「子どもたちが睡眠時間を除いた1日の生活の中で最も長く過ごすことになる学校では物事を教えられるばかりで、人間に必要な3つの要素『能力』『自律性』『関連性』を得られず、家でプレイするゲームから得ようとしている」と述べています。実際、フォートナイトのようにうまくデザインされたゲームでは、目標達成のためにプレイスキルを磨くことで得られる「能力」、問題解決のためにさまざまな戦術を試す「自律性」、他のプレイヤーとの協力プレイやコミュニケーションをとることで「関連性」を得ることができます。

しかし、TNWは「ゲームで得られる3つの要素が、人間の求めるレベルには達していない」と断言しており、「どんなゲームでも、現実世界で困難な目標を達成したり、新しいスキルを学んだりして得た『能力』や実際に世界を自由に探索して得られる『自律性』、実在の人物とのコミュニケーションを通して得られる『関連性』に勝ることはない」と述べています。このため、同社はゲームを止めさせる最も効果的な方法は「子どもたちを現実世界に解き放って色んな人とコミュニケーションをとらせたり、謎解きをさせたりするのが一番良い」としています。


もちろん、子どもたちを現実世界に解き放って、自由に行動させるのは犯罪などの脅威から良い方法とは言えません。そこで、TNWは子どもたちにゲームで得られる以上に「能力」「自律性」「関連性」の3要素を獲得させる現実的な方法として「親が子どものやっているゲームをやって、子どもにゲームプレイのコーチをお願いすることです」と説明しています。

子どもがゲームのコーチになるということは、人に教えるための「能力」、どうやったら親のプレイスキルを素人の状態から玄人レベルに高められるかの方法を練るのに必要な「自律性」、人とコミュニケーションを行う「関連性」の3つを同時に得ることができます。子どもが親のコーチをすることで3要素を得られることから、TNWは「最終的に子どものゲームプレイ時間を減らすことが期待できる」と述べています。

また、普段から「ゲームをやめて勉強しなさい」と口うるさく言ってきた親の場合でも、この方法をとることで、子どもとの敵対的関係も解消できるとTNWは説明しています。

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in ゲーム, Posted by darkhorse_log

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