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なぜインドで3000億円のビットコイン詐欺が発生したのか?


仮想通貨Bitcoin(ビットコイン)をめぐって30億ドル(約3300億円)規模の巨大詐欺がインドで発生しました。ナレンドラ・モディ首相率いる政権与党も絡むという疑惑まで登場している巨額詐欺の発生の背景について、Bloombergがまとめています。

How to Lose $3 Billion of Bitcoin in India - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-08-09/cryptokidnapping-or-how-to-lose-3-billion-of-bitcoin-in-india

インドで発生したビットコインをめぐる巨額詐欺が明るみになった発端は、2018年2月にインドのグジャラート州の首相官邸に不動産業を営む実業家のシャイレッシュ・バット氏が、「警察に誘拐され、当時180万ドル(約2億円)相当の価値があった200BTCを解放と引き換えに奪われた」と訴え出たことです。かつてモディ首相が首長を務めたグジャラード州で発生した身代金誘拐事件には、捜査機関のCriminal Investigation Department(CID)からエリート捜査官が投入され、さっそく捜査が始まりました。

すると、この事件には複数の警察官などが関与していたことが明らかに。そして、8人の警官が起訴され事件が解明され始めると、なんとモディ首相が率いるインド人民党の元議員であるキリット・パラディヤ氏やその叔父のナリン・コタディヤ氏の主導によって事件が発生したという疑いが高まっています。なお、誘拐を訴えたバット氏自身にも嫌疑がかかり、逮捕されています。

ちなみにコタディア氏は、ビデオメッセージを使って、「バット氏が詐欺の責任を負うべき。バット氏は他の政治家の関与が明るみになりうる証拠の流出を恐れている」と主張しています。コタディア氏の主張は、YouTubeに再投稿された以下のムービーで確認できます。

'Shailesh Bhatt is the mastermind behind the bitcoins extortion conspiracy', says Nalin Kotadia - YouTube


さらに、政権与党のからむマネーロンダリングの疑いがかかる事件を契機に、ビットコインを用いた巨額の詐欺がインド全土で発生していた疑いが濃厚になっています。CIDのアシッシュ・パラディヤ捜査官によると、バット氏は2016年後半から2017年初めに、仮想通貨ファームBitConnectでビットコインへの投資をしていたとのこと。このBitConnectの共同創業者の一人であるサティッシュ・カンバハニ氏は、世界中の個人投資家を相手に詐欺を行っており、アメリカだけでも6件の投資詐欺の告発を受けているとCrypto Watchdogsは指摘しています。

パラディヤ捜査官


ビットコイン価格は2017年に1BTCで1000ドル(約11万円)から1万9700ドル(約220万円)まで急騰したため、 BitConnectへの投資は大きなリターンを生んでいたとのこと。バット氏を含むグジャラート州の多くの投資家はBitConnectでビットコイン投資を行っていたそうです。

インドの多くの個人投資家がビットコイン投資にのめりこんだ背景には、ビットコイン価格の急騰だけでなくモディ首相の政策が大きな影響を与えたとみられています。インドでは政府が把握できない違法な経済活動がGDPの20%を占めるという実態があるそうで、この状況を打開するため、モディ首相は2016年11月に突如として1000ルピー紙幣と500ルピー紙幣という2種類の高額紙幣を廃止すると宣言しました。

高額紙幣を無効にしたインドが目指すのは「キャッシュレス社会」 - GIGAZINE


60日以内に新紙幣に交換したり金融機関に預け入れたりしなければ従来の高額紙幣は紙くずになってしまうという強硬な政策は、現金の形で不正に貯蓄されているブラックマネーを市場から締め出すことを目的に実行されました。

結果的に15兆ルピー(約23兆円)分の銀行券が無効になりましたが、インドの投資家の多くは「手元の現金が無価値になる前に仮想通貨に換える」という手段に出たとのこと。Googleによると、モディ首相が与えた60日間の猶予期間中に、インドでは「現金の非現金化」「ブラックマネーの資金洗浄法」という検索が急増し、これらの検索のほとんどはグジャラート州から行われたものだそうです。


インド人のビットコインなどの仮想通貨投資熱の急激な高まりは世界中の仮想通貨取引所で確認されており、インド人の参入によって25%もの仮想通貨相場の押上げがあったと試算されています。なお、CIDによると当初はブラックマネーの資金洗浄目的だった仮想通貨購入でしたが、仮想通貨相場の高騰とともに、家や車を売ってまで仮想通貨投資を行う動きも確認されたそうです。


結局、BitConnectによる仮想通貨詐欺事件によってインドで発生した被害は30億ドル(約3300億円)にのぼるとのこと。インド全土で発生した巨額のビットコイン詐欺被害はモディ首相の奇策によって仮想通貨投資熱が高まったことが原因ですが、前述のビットコイン身代金誘拐事件について政権与党の不正疑惑を追及するインド人民党のライバルである野党のインド国民会議は、バット氏を誘拐して強奪されたビットコインはマネーロンダリングに利用され、インド人民党の政治資金に悪用されたと主張して今なお事件の全容解明を訴えており、モディ首相も少なからず責任追及されているようです。

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