デザイン

渾身の新ロゴが「ブリーフに見える」と指摘されてしまった企業は一体どうしたのか?


アメリカのフィラデルフィアに拠点を置くRJMetricsは、中小企業向けにデータ分析ソフトウェアを提供しているソフトウェア会社です。そのRJMetricsが2012年の春にハッカソンを行い、新しい視覚的アイデンティティとしてロゴのデザインを行ったところ、この新ロゴが「ブリーフに見える」ということで別の意味で話題となってしまいました。

Our Logo Looks Like Underpants: A Case Study in Internationalization
https://blog.rjmetrics.com/2013/10/09/our-logo-looks-like-underpants-a-case-study-in-internationalization/

RJMetricsが作ったという新しいロゴがコレ


新しいロゴを発表してから数週間後、RJMetricsは以下のようなつぶやきに遭遇します。

「RJMetricsはどうしてロゴがYフロントなんだ?」


RJMetricsのCEOであるロバート・J・ムーアさんは「Yフロント」という言葉を聞いたことがなかったため、最初は意味がわからなかったそうです。しかし、そのほかのツイートでも「RJMetricsのツイートが広告で表示された。彼らのロゴはYフロントみたいだね」など、RJMetricsのロゴがYフロントみたいだと指摘する声が多いことに気づきます。


「君達のロゴ、Yフロントに見えるんだけど??」


「ロゴが巨大なYフロントに見えるんだけど、これはわざと?」


そして、「Yフロント(y-fronts)」とGoogle検索したところ、これがブリーフを指す言葉であることを知ります。


新しいロゴのお披露目にRJMetricsはプロモツイートを使用しており、このツイートを見た何千人ものユーザーの中の一部が「オレンジ色のブリーフに見える」と指摘していたわけです。確かに並べるとブリーフに見えなくもありません。


残念なことに、ロゴをデザインしている間はRJMetricsの誰も「ロゴがブリーフに見える」とは思わなかったそうです。また、「ロゴがブリーフに見える」とつぶやくTwitterアカウントのプロフィールを簡単にチェックしてみると、ロンドン・エールズベリー・グロスタシャー・イーストサセックスといったイギリスの地名ばかりだったそうで、あらゆる国の人が「ロゴがブリーフに見える」とつぶやいていたわけではないことに気づきます。

世界中にツイートを宣伝していたはずなのにイギリスからだけ「ロゴがブリーフに見える」という声が挙がったことを不思議に思ったムーアさんは、Google Surveysを使い、アメリカとイギリスでそれぞれランダムに選ばれた1000人に対して質問を行いました。

その質問というのが、「この物体はあなたには何に見えますか?」というもの。


どちらの国でも最も多かった回答は「サッカー」もしくは「サッカーボール」でした。2番目に多かった回答が十二面体などの「幾何学的形状」で、Yフロントもしくは下着と答えた割合はアメリカでは0.2%(1000人中2人)、イギリスでも2.6%(1000人中26人)と全体のごく一部のみでした。


ムーアさんは「A brief history of y-fronts(Yフロントの簡単な歴史)」という寄稿を発見して読み、なぜイギリス人がロゴをYフロントと見まちがえたのかについて、考え得る5つの説を挙げています。

・RJMetricsのロゴの中には上下逆さまのYがあり、これが同じ「Y」を名前に持つYフロントを思い起こさせた
・白い背景によりロゴの端部分がゴムバンドのように見えた
・アメリカの下着メーカーであるJockeyが定着し、下着が「ジョッキー」と呼ばれるようになったため、アメリカではYフロントという回答が少なかった
・Yフロント(ブリーフ)はイギリスではアメリカよりも一般的な下着であるため
・イギリスの子どもたちは「俺はお前がYフロントを履いていると思う」などとおしゃべりすることがあり、こういったやり取りなどからYフロントがイギリス人の精神に深く浸透している可能性があるため


これらが正しいのかそれとも全く別の要因があるのかは不明ですが、ムーアさんは「Yフロントはイギリス特有のもののように思える」としており、「RJMetricsがロゴを作成した際にはチーム内にイギリス人がひとりもいなかったため、これ(ロゴがブリーフに見える現象)を完全に見逃してしまった」と記しています。

その後、RJMetrics内ではすぐさま「ロゴがオレンジ色のブリーフに見える」ということが共有されることとなり、オレンジ色の下着を着用することがRJMetrics愛好家であることを示す暗黙の了解になりつつあるとも記しています。


しかし、残念ながらロゴを一新することでマーケティング上の効果は得られなかったそうで、RJMetricsはロゴの白線部分を細くすることでより十二面体に見えるようロゴに変更を加えたそうです。


この変更を加えた後、再びGoogle Surveysを使ってイギリスの消費者に対して「このロゴが何に見えるか?」というアンケート調査を実施。その結果、1000人中4人だけが「Yフロント(ブリーフ)」と回答したため、ロゴ変更による効果はしっかりと感じられることとなりました。また、ロゴを変更したことで「ロゴがサッカーボールに見える」と回答した人の数と、「ロゴが幾何学鉄形状に見える」と回答した人の数が同程度になり、元のロゴよりも正しく形を認識してもらえるようになったとムーアさんは記しています。

これらの体験から、ムーアさんは以下のような教訓が得られたとしており、「毎日が何か新しいことを学ぶことが可能で、この経験に失望することはありません」としています。

・国際的なビジネスを行うということは、新しい画像や用語もすべて国際的にテストするということを意味します
・毎月何千人もの新しい人々が我々のビジネスに触れるため、見知らぬ人はためらいを持たずに間違いを指摘してきます
・ハッカソンは新しいアイデアを開始し、概念を証明するための素晴らしいリソースになり得ますが、大きなビジネス上の意志決定のためのデューディリジェンスを回避するために使われるべきではありません
・大規模でグローバルなオーディエンスに向けて新しいロゴをテストすることは、Google Surveysを使えば数回クリックするだけで可能になります

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in デザイン, Posted by logu_ii