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マクドナルドの懸賞キャンペーンを意のままに操って25億円相当をだまし取った詐欺集団の手口とは?

By Zhao !

世界の多くの国のマクドナルドでは、ボードゲーム「モノポリー」とコラボした大型プレゼントキャンペーンがたびたび実施されています。高級スポーツカーや100万ドル(約1億円)という豪華な賞品があたるキャンペーンは毎回大きく盛り上がるのですが、1990年代から2000年代にかけてアメリカでは、このキャンペーンに不正に関わることで意のままに豪華賞品をゲットしてしまった詐欺集団が存在していました。

How an Ex-Cop Rigged McDonald’s Monopoly Game and Stole Millions
https://www.thedailybeast.com/how-an-ex-cop-rigged-mcdonalds-monopoly-game-and-stole-millions

マクドナルドのモノポリーキャンペーンは、アメリカやカナダ、オーストラリア、フランス、ドイツ、香港など世界の多くの国のマクドナルドで実施されています。参加者はまず店頭に置かれた「ゲームボード」という台紙をゲットします。

By Mike Mozart

台紙には、このように色分けされたマス目が作られており、色ごとに豪華賞品が用意されています。

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そのマス目に、ハンバーガーやドリンクなどを買った時にゲットできる「トークン」の中から、色が一致するものを貼り付けるというルール。最高賞には高級車や海外旅行といった豪華賞品や、100万ドル(約1億円)にものぼる高額商品が設定されています。

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そんなマクドナルドのプレゼントキャンペーンは、1995年から2001年にかけて数人の詐欺集団によって乗っ取られていたことが後に明らかになりました。主犯格の男性ジェローム・ジェイコブソン受刑者は約30人にもなる協力者を集め、彼らにキャンペーンの高額商品をゲットさせるかわりに、リベートを受け取るという一種の「エコシステム」を構築して多額の利益をだまし取っていました。

ジェイコブソン受刑者がそのような手口を構築できた理由は、彼が勤めていた会社「サイモン・マーケティング」がマクドナルドのモノポリーキャンペーンを運営していた企業だったというところにあります。しかもジェイコブソン受刑者はこのキャンペーンに関するセキュリティの責任者だったことから、「当たり」のゲームトークンを簡単に手に入れてしまうことができるという立場にありました。

By Like_the_Grand_Canyon

自らの立場がもたらす誘惑に勝てなかったというジェイコブソン受刑者は、まず自分が考えた仕組みが機能するかどうかを確かめるため、実際に100万ドル(約1億円)に当選したようにつくりあげたゲームブックを封筒に入れ、郵便でテネシー州のセントジュード児童病院に寄付する形で送付しました。消印付きの匿名の封書を受け取った病院が中身を確認すると、そこには約1億円に当選したゲームブックが入っていたということで、病院は大騒ぎに。マクドナルドの担当者が病院を訪れ、ルーペを使って詳細に確認したところ、このゲームブックとトークンは「本物」であることが確認されました。

メディアはこぞってこの封筒の送り主を見つけようとしましたが、誰もジェイコブソン受刑者にたどり着くことはできませんでした。このゲームのルールでは賞品の譲渡を禁じられているために賞金はしばらく支払われなかったようですが、マクドナルドは例外を認め、2014年に最初の5万ドル(約550万円)を病院に支払っています。

このテストケースによって自身の計画の確実性を確認したジェイコブソン受刑者は、実際の犯行に乗り出していきました。知人などにこっそりと話を持ちかけ、当選賞品の譲渡と引き換えにリベートを受け取るというジェイコブソン受刑者の計画は少しずつ範囲が広がっていきます。そんな時に出会ったのが、アトランタ在住でさまざまな悪事に関わっていたジェロメーロ・コロンボ氏だったとのこと。マフィアを連想させるファミリーネームを持つコロンボ氏は、ジェイコブソン受刑者の計画にも関わるようになります。

コロンボ氏との共同で詐欺行為は拡大を続けます。詐欺行為をいとわない協力者を次々と得ることができるようになると、ジェイコブソン受刑者の計画には拍車がかかりました。この頃、ジェイコブソン受刑者はファーストネームをもじった「アンクル・ジェリー」と呼ばれるようになっており、1998年頃になると2人のタッグは絶好調の段階に入ったとのこと。2人はマフィアのようないでたちで活動を続け、協力者に高級スポーツカーや豪華海外旅行、多額の賞金などを次々とに与える代わりに、多額のリベートを受け取ってきました。

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そんな2人の関係が終わりを迎えたのが、1998年5月7日のことだったとのこと。妻のロビンさんと息子といっしょに自動車で高速道路を走っていたところ、大型トラックに進路を阻まれ、そして大型ピックアップトラックにものすごい勢いで追突されてコンクリート壁にたたきつけられるという「事故」がおこりました。

ロビンさんと息子は無事脱出できたそうですが、コロンボ氏は危険な状態に。病院に運ばれて延命措置を受けていたコロンボ氏でしたが、事故から2週間後に還らぬ人となりました。しかしジェイコブソン受刑者の計画は滞りなく継続されたといいます。協力者を無作為に広く募っていたことから、コロンボ氏の代役を見つけることはさほど難しくはなかったようで、ジェイコブソン受刑者はその後も同様の犯行を続けます。

うまく行っているように見えていたジェイコブソン受刑者の計画ですが、実は水面下で捜査が開始されていました。2000年、FBIに「マクドナルドのモノポリーキャンペーンが『アンクル・ジェリー』という人物によって操作されている」という匿名の通報電話が入りました。FBIジャクソンビルフィールドオフィスのリチャード・デント特別捜査官は捜査を開始し、実際に疑わしい計画が実行されていることを把握。マクドナルドにも通報し、犯人逮捕につながる確実な証拠をつかむために関係者に対する盗聴を含む捜査を続けました。

By Jonathan

2001年5月30日、マクドナルドはデント捜査官に50万ドル(約5500万円)の当選者が出たことを通知。デント捜査官は即座に当選者の背後を調べたところ、ジェイコブソン受刑者が住む近くのエリアに住む人物であることを確認しました。盗聴捜査の申請を行っている間、デント捜査官はマクドナルドに対して賞金の支払いを遅らせるよう指示したのですが、これが詐欺グループに焦りを生じさせ、後に功を奏することになったとのことです。

その後、同年7月にFBIはジェイコブソン受刑者とその協力者を徹底的にマーク。取引の現場を押さえることには失敗しましたが、その後協力者の口座に多額の入金があったことを受け、関係者の一斉逮捕に踏み切りました。

2001年8月22日、FBIはジェイコブソン受刑者を含む8人を逮捕。6時間に及んだ取り調べの中でデント捜査官は、ジェイコブソン受刑者に犯行を裏付ける証拠を提示したところ、ジェイコブソン受刑者は犯行を認めるに至りました。12年に渡る詐欺行為では、60件の不正な商品の請求が行われ、その被害額は2400万ドル(約27億円)にものぼることが判明しました。

ジェイコブソン受刑者には、9件の訴訟で5年の服役刑が科されたことにより45年の刑務所暮らしが決定。また、ジェイコブソン受刑者が暮らしていた住宅からは、FBIの職員によってホンダのスポーツカー「S2000」やアキュラの高級車、ミニバン、そして86年型シボレー・エルカミーノなどの高級車が次々と運び出されていったそうです。ジェイコブソン受刑者が勤めていたサイモン・マーケティングとマクドナルドとの関係は契約不履行により解消されましたが、マクドナルドによるサイモン・マーケティングへの不正行為の訴えは退けられ、サイモン・マーケティングはマクドナルドから1660万ドル(約18億円)の契約料を受け取っています。

なお、ジェイコブソン受刑者は自身の犯罪行為について「人生で最大の失敗を犯した」と振り返っているそうです。

By Wojtek Gurak

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in メモ, Posted by logx_tm