×
動画

本の側面にきれいな絵を描く「小口絵師」の世界最後の1人に迫ったムービー


ヨーロッパには、分厚い本の側面に絵を描く「Fore-Edge Painting」という本の装飾技法が存在します。日本では「小口絵」ともいわれるこの技法は、近年ではほとんど見られなくなりましたが、世界最後の小口絵師に迫ったムービーがYouTubeで公開されています。

A Hidden Art Form You’ll Flip For


小口絵はまるで魔法のような絵画です。


それは普通の人の目には見えず、小口絵を見る特別な方法を知っている人だけが見ることができます。


たとえ今、小口絵を見ることができていても……


あっという間に消え失せてしまいます。


イギリス在住のマーティン・フロスト氏は、世界で唯一の小口絵師として活躍する人物。


本の小口に絵を描くのが、フロスト氏の仕事です。


フロスト氏の描く小口絵は、本の小口に並ぶページを微妙に斜めにズラすときれいに見えますが……


ページを元に戻すと、たちまち見えなくなってしまいます。


小口絵を施した本の側面は金色に塗られていることがあるそうで、こうすると側面を見ても小口絵が仕込まれているとは気づけません。


小口絵の歴史は1660年ごろにまでさかのぼり……


18世紀になると大いに流行しました。


フロスト氏はイラストレーターとして仕事をしている中で、小口絵を描く人物に出会ったそうです。


「彼は私に小口絵の仕事を見せてくれました」


「それを見て私は、『これは面白そうだぞ!』と思ったんです」とフロスト氏は小口絵に興味を持ったきっかけを話しました。


フロスト氏が小口絵に出会ったのは、40年以上も昔のこと。


小口絵を描いてくれとフロスト氏に依頼が来る本は、ほとんどがアンティークな古い本だそうです。


フロスト氏は古めかしいシェイクスピアの本を取り出しました。


1860年代に作られた革で装丁されたこの本には、小口絵がほどこされており……


ちょうど真ん中でページを開くことにより、左右で違った絵が見える仕掛けになっています。


1920年代に出版されたこの本には……


2人の人魚が描かれていました。


実は、この本にはさらに仕掛けがあるようで……


反対側にページを傾けると、先ほどの人魚とは別の絵が浮かび上がりました。2つの絵を重ねて描くことも、小口絵では可能なようです。


多くの人が「一体どれくらいの時間が小口絵の製作にかかるの?」とフロスト氏に聞いてくるとのこと。


とても小さい本なら数時間で描けることもあるそうですが……


普通サイズの本であれば、1日半~2日ほどかかるとフロスト氏は答えました。


巨大な聖書のような本になると、完成まで1週間かかることもあるそうです。


料金は完成までの時間とほぼ比例しているとのことで……


1週間かかるような本であれば、およそ700ポンド(約10万円)近くの料金になるとフロスト氏は語ります。


フロスト氏が分厚いケースから取り出したのは……


ハリー・ポッターの小口絵。キラキラと光るラメのような加工が施されており、本の側面に描かれたものとは思えません。


本を閉じると絵は消えたものの、ラメ加工はそのまま残って本をきれいに輝かせていました。


フロスト氏は、「私が知る限り、私は世界で唯一の商業小口絵師です」と話します。


「これからも目が見え、手が動く限り描き続けるでしょう」とフロスト氏は語りました。

・関連記事
世界に1枚しかない「マジック:ザ・ギャザリング」のオリジナル原画がなんと800万円で落札される - GIGAZINE

11歳の少年が鉛筆だけで描く「ハイパーリアリズムアート」 - GIGAZINE

ゴッホはいかに日本の芸術から影響を受けたのか? - GIGAZINE

1世紀以上もアメリカ人に愛され続ける絵画「ポーカーをする犬」とは? - GIGAZINE

本を美しく修復する方法、中世の場合 - GIGAZINE

in 動画,   アート, Posted by log1h_ik